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2019年10月8日火曜日

2019.10.08 林葉直子さん

● ネットで林葉直子さんに関するエッセイを読んだ。書き手は大崎善生さん。

● 父親が彼女の稼ぎを全部使ってしまっていたことは,この記事で初めて知った。
 余命1年を宣告されてからすでに5年生きている。肝臓の数値も良くなっているらしい。禁酒と薬物療法による。
 ケラケラと笑うのは,今も変わらない。

● 休場騒動から彼女が“没落”するのはかなり早かったような記憶があるのだが,休場のときは大崎さんが間に入って,ちゃんと事前に休場届を出したようだ。
 決定的なのは中原誠永世名人との不倫をマスコミに告白したこと。それをすれば将棋界に居場所がなくなることはわかっていたはずだから,すでに将棋などどうでもいいと思っていたんだろうか。
 そのあとは,ヘアヌードの写真を出して,酒浸りになって。

● いろんなものを背負っちゃったようにも思えるし,10代であまりにも有名になってしまったために(アイドル的な売れ方をしてしまった),商業主義の大人たちにいいように使い捨てられたようにも見える。
 どう生きても一局の人生ではあるのだが,振幅の大きすぎる人生はしんどいだろう。実際にやってみればそうでもないんだろうか。

● ぼくなんかは典型的な安定志向だったから,彼女のような破滅型の人生はやれと言われても絶対にできない。ぼくに限るまい。彼女のような人生は送りたくても送れないのが普通の人としたものだろう。
 誰であっても他人の人生に口を出す資格などないわけだが,才能と美貌があっても人生は難しい。

● あの休場のときにもう少しゆったりとできていれば。なぜあそこまで性急に思いつめる必要があったのか。ということは,少し思ってみたりする。
 彼女の唯一の後悔は,もっと将棋を一所懸命やっていれば,ということらしい。

2018年5月2日水曜日

2018.05.02 プロ棋士・長谷部さんのインタビュー記事

● 右は今日(5月2日)の下野新聞。プロ棋士になった長谷部さんのインタビュー記事。

● 奨励会が26歳で強制退会にしているのは,奨励会員を思ってのことだろう。それがなければ,延々と奨励会に居残って,それこそ人生を棒に振ってしまう人が大勢出てしまうだろう。26歳ならギリギリやり直せる。
 26歳というのは絶妙の足切線だと思う。藤井六段じゃないけれど,若くして登場し,猛スピードで駆け上がっていった棋士が,トップを極め,長くその地位にとどまる。26歳を過ぎてから四段に上がれたとしても,その先があるかどうか。

● 長谷部さん,これからも小山に住むと言っている。大きなお世話ながら,東京に住んだ方がいいのでは。
 小山なら新幹線で数十分で東京に出れるから,さしたる支障もないのだろう。けれども,実家で親と住むっていうのは,気安いだろうけど,それじゃダメなんじゃないかな。気安くなくても,ダメだと思う。
 どうしても小山にこだわるというなら,それはそれでいいけれど,アパートを借りて一人暮らしに移行することが最低限だと思う。いや,それはもう実行済みなのかもしれないけれど。

● 将棋界への協力も東京にいた方がたくさんできるんじゃないか。将棋界というとき,栃木県の将棋界と限定を加えない方がいいのでは。県という意識は外した方がいいと,ぼくは思うのだが。
 早い話が,県域などは大昔に人工的に決められたもので,そんなものに縛られているのはバカらしい。

● ちなみに,大学も同じで,自宅から通ったのでは大学に行ったことにならないという意見だ。今は新幹線通学という手もあるので,栃木から東京の大学に通うことは充分に可能だけれども,それをやってしまっては大切な何かを取り逃がしてしまうような気がする。
 というと,東京で生まれ育って東京の大学に行く人はどうなるんだ,ということになるんだけど,そんなもん知るかい。

● まぁ,大学は行かなくたってべつにかまわない。いや,行かない方が賢いかもしれない。要は,その年代では親から離れていないといけないということを言いたいわけなのだが。

2018年4月28日土曜日

2018.04.28 藤井六段の対局

● 藤井六段の対局のハイライトがいくつもYouTubeに上がっている。わからないくせに,ついつい見てしまう。
 解説者の岡目八目がないような気がするね。対局者ほど読めていない。藤井六段の読みについていけてないっていうかね。

● 終盤では詰将棋で鍛えた読みの力がモノを言うんだろうか。見落とさないんだよね。
 定跡とか常識とか,あんまり藤井六段には関係ないような気がする。そういうものに囚われない人なのかも。人間の思考の癖をわかっていて,そこから自由でいる,という感じ。
 対局態度が図々しく見えるのも特徴。もちろん,感嘆した言い方だ。これなら上位者に臆してしまって普段の力が出せないなどという,素人が考えてしまいがちなことはないんじゃないか。

● 史上最年少のタイトルホルダー,史上最年少の永世称号保持者になるのは,ほとんど間違いないような気がしてきた。最速なら今年中にタイトルを取るかもなぁ。
 負けるとニュースになる棋士になった感がある。29連勝を達成した頃は,勢いがある,調子がいいという見方があったし,ぼくもそう思っていたのだが,もうそうじゃない。これは地力だ。

● おそらく,只今現在,最も強い棋士は藤井六段なのではあるまいか。まるで14歳のときの浅田真央みたいだ。

2018年4月6日金曜日

2018.04.06 藤井六段の凄み

● 右は今日の朝日新聞。
 三段の頃は当然,中学生。中学生にして,ここまで深いメタ認知を,自分に対して発動できることに驚く。早熟というのとはちょっと違う。
 卑近な例になるけれども,受験勉強に関してこれができたら,よほどのバカでもない限り,東大くらい受かるぞ。ところがどっこい,このメタ認知ができないんだよ。少なくとも,ぼくはできなかったよ。全然できなかった。
 ん? メタ認知ができないヤツをバカというのか。

● 右は3月26日の読売新聞。
 詰将棋を解くことを推奨していたのは故米長邦雄永世棋聖。自身も若いころに,伊藤宗看「将棋無双」,伊藤看寿「将棋図巧」を解いたという。
 600手を超える長手順の詰将棋を頭の中で解いていくのだから,畏れいる。小さい頃から鍛えれば,人間の脳はそこまでのことをやってのけるのだねぇ。

● 藤井六段,その詰将棋でも棋界第一。
 ちなみに,ぼくは5手詰でお手上げだ。考える気になるのは3手詰まで。

● ほぼ間違いなく,近い将来にタイトルを取り,将棋界の顔になるのだろう(いや,もうなっているか)。
 しかし,問題はある。その頃まで将棋人気が維持されているかどうか。というより,日本将棋連盟というプロ棋士の組織が存続しているかどうか。
 でも,まぁ,仮にプロ棋士という職業が成立しなくなったとしても,藤井六段ほどの人ならば,どんな世界でもやっていけるだろう。そういうプロ棋士は,藤井六段のほかにも,多数いるのじゃなかろうかと思う。

● そのうえで言うんだけど,詰め将棋は典型的にコンピュータの領域だろう。人間はどうやってもコンピュータには適うまい。
 それは,コンピュータが得意なもの(典型的には記憶)はコンピュータに任せておいて,人間はコンピュータにできないことに特化すべきだ,と言われるのと同じ地平にあるものではないだろうか。
 もっとも,記憶をすっかりコンピュータに任せてしまうと,コンピュータができないことをできる人間にはなれないような気がするけどね。

2018年3月15日木曜日

2018.03.15 プロ棋士はこれからどうなる?

● 昔読んだ,将棋の芹沢博文九段のエッセイにこんなのがあったと記憶している。
 囲碁の藤沢秀行棋聖と懇談していたおり(この2人のことだから,当然,酒を飲みながらだろう),囲碁や将棋の奥義を100とすれば,自分たちはどれほど囲碁や将棋をわかっているだろうか,という話になった。
 芹沢九段は4か5と答えたのに対して,藤沢棋聖は2か3と答えた。芹沢九段が,あ,自分は思いあがっていたと思った,という話だった。

● このあたりが将棋や囲碁のロマンの源泉なのだろう。底知れないほどに奥が深いゲームであること。
 将棋界では中学生の藤井六段の活躍と羽生竜王の国民栄誉賞,囲碁界でも井山七冠の国民栄誉賞で,活気に溢れかえっているかに見える。将棋人気は時ならぬものだ。

● が,このロマンの射程距離はいかほどなのか。すでにプロ棋士でもAIに歯が立たない。ひょっとしたら,AIが100のすべてを解き明かすことがあり得るかもと思わせる。底知れないほどの奥の深さを,底が見えるくらいまでにはするのではないか。
 AIはしかし戦いのドラマを生まない。やはり人間でなくては,というところで将棋界も囲碁界も存在することを許されているように思えるのだが,これからもそうであり続けるか。
 ドラマを生む基盤そのものをAIが突き崩していくことがないと言えるか。

● 棋戦のスポンサーになっている新聞社は,人口減少やネットへの移行,自らの報道姿勢の問題などから,各紙とも読者を減らしている。三大紙の少なくともひとつは消滅するかもしれない。棋戦のスポンサーを続ける余力など,なくなってくるのではないか。
 日本将棋連盟の存続自体が危ぶまれるような事態が発生することもあり得るのではないか。将棋も囲碁も,それ自体が消滅してしまうことは絶対にないけれども,プロ棋士という存在は消えるかもしれない。

● もちろん,そうならないように願っている。新聞社に代わって新たなスポンサーが現れてほしい。
 そうはいっても,棋譜や観戦記を掲載して出資分を稼ぐというのが,新聞社の狙いだったのだろうから,新聞社に代わるスポンサーを探すといっても,なかなかに困難だろう。

2018年3月5日月曜日

2018.03.05 栃木県出身のプロ棋士(将棋)が誕生

● 右は今日の下野新聞。栃木県出身のプロ棋士が誕生した。やっほいほい。
 23歳でプロ棋士に。大学に通っていたということは,たとえプロ棋士になれなくても喰っていけるように備えていたということだろう。

● 退路を断つべきだという人もいるかもしれないが,ぼくはこれでいいと思う。備えておくべきなのだ。ヘタすりゃ26歳で人生を終えてしまうことになりかねないのだから。
 奨励会に入れるだけで天才だ。その天才たちがしのぎを削って,プロ棋士(四段)になる。三段リーグは年2シーズン。プロになれるのは年に4人だけだ。これで退路を断てというのは,酷に過ぎる。

● かつて桐山隆さんも挑戦して跳ね返されたのだ(彼は1997年にアマ名人になっている)。プロ棋士になるには,とんでもない高い壁があるのだ。
 米長永世棋聖が言ったとされる「兄貴3人は頭が悪いから東大に行った。私は頭がいいから将棋指しになった」というのは,大衆受けするだけでなく(といって,東大にも入れないような頭の悪さの持ち主はどうしたらいいのか),どこかに一片の真理を含むように思われる。

● ところで。ぼくはこんな妄想をしている。
 来期,谷川九段がA級に復帰して,米長永世棋聖の記録を破って,最年長で名人に復位する。そこに最短でA級に駆けあがってきた藤井八段が挑戦する。
 でもって,谷川の記録を破って史上最年少で名人になる。そうなったら,いくつものドラマが生まれるんだがなぁ。
 もちろん,谷川が藤井を阻止しても,そこはそれ,やはりひとつのドラマが生まれる。そうならないかなぁ。ぼく,谷川九段のファンなので。


(追記)

3月7日に同じ下野新聞に長谷部さんのインタビュー記事が掲載された。
 これまでもずいぶん頑張って来たんだろうけども,ここで気を抜くわけにはいかないだろうなぁ。
 藤井六段の話が出ている。将棋に限らず音楽の演奏家など,その道で個で戦ってきた人は,自他の才能の違いはリアルにわかるものだろう。「苦笑い」するしかないんだろうな。相手は何十年に一人しか出ない天才だもんな。

2018年2月18日日曜日

2018.02.18 藤井五段,朝日杯優勝

● 昨日のこと。
 さあて,今日は朝日トーナメント杯の羽生竜王VS藤井五段戦だ。藤井五段が勝って,さらに決勝戦でも勝つようなことがあれば,史上最年少の優勝者になるし,六段に昇段する。中学生六段は前代未聞。
 すでにC1への昇級は決めているわけだから,いよいよもって天才現るを強く印象づけるし,史上最年少名人の誕生も期待させるじゃないですか。
 時の名人と竜王が中学生の新人に続けて負けるようなことがあっては,タイトルの鼎を問われる。が,そこをひっくり返してきてるんだよね,谷川も羽生も,大物はみんな。

● ありゃりゃ,藤井五段が竜王に勝っちゃったよ。永世七冠が止めると思ったんだが。手応えを感じてるだろうね。
 勝ち方も堂々たるものなんでしょ。ぼくに内容はわからないんだが。

● 藤井五段,続いて,決勝でも勝って優勝。29連勝に次ぐ二度目の勲章。恐るべし。どんだけ凄いんだ。
 寄らば切るといった風情の剣士は二流かい? 淡々としてて,外に凄みを見せないものかね,剣豪は。しかも中学生なんだよね,この剣豪はね。

● 天才集団の中で一頭地を抜く天才中の天才って感じですよ。現時点で,最強の棋士でしょう。
 運とか勢いとかもあると思うんだけど,それを引き寄せるのも実力のうち。というか,実力の大きな部分は,じつはそこにあるんでしょうね。

● で,藤井新六段を称える今日の読売新聞。どうやらプロ棋士にとっても,藤井六段の成長の速さは想定外だったらしい。
 が,スポットライトだけを見て,将棋界なり棋士なりの全体を測ると,当然,誤ることになる。藤井六段の周囲には,夢破れて奨励会を去っていった,何百人もの“天才”がいる。ひとりの“藤井六段”が現れるためには,膨大な数の犠牲者が必要だった。
 圧倒的多数は敗者側に回る。藤井六段の背後は死屍累々のはずだ。実力だから,結果に対して言い訳が効かない。

● まちがっても,わが子を将棋指しにしようなどと思ってはいけない。あなたの子供は,いかに努力したとて,藤井六段にはなれないのだ(おそらく,奨励会にも入れまい)。
 なぜなら,天才ではないからだ。ありていにいえば,凡庸だからだ。

● 休日にヘボ将棋を指している方が,プロ棋士を目指して散っていくよりはるかに幸せというものだ。総じて,なまじな才能を持ってるよりも,凡庸である方が,幸せである。
 と思って,だから自分は幸せなのだ,と自らを慰めようではないか,ご同輩。

● 実力のみで上を目指せるってのは,選ばれた人たちにだけ許される,神から与えられた特権なのかもしれないね。
 普通のサラリーマンは組織に守られている。組織内にいると理不尽なこともあるけれども,逆に楽なこともある。組織のヒエラルキーって,けっこう自分を守ってくれてるところもあると思うよ。

2017年7月7日金曜日

2017.07.07 藤井四段に学べるか

● 右は今日(7月7日)の朝日新聞。
 29連勝で連勝が途絶えた藤井四段の31回目の公式対局。藤井四段は連敗しなかった。こういうところに大物ぶりが現れる。
 区切りの30連勝を周囲も期待していたろうし,本人にも期することろがあったろう。が,叶わなかった。それを引きずって連敗するパターンにはまらないところが凄い。29連勝よりもこの1勝の方が,価値が高いかもしれない。

● そこから,ぼくらが藤井四段に学ぶべきところはあるか。大いにあるんだろう。
 が,学ぶ術はない。これは学べない。ぼくらは彼を凄いなぁと思うんだけど,思うだけ。そこから一歩でも前に行けるかというと,行けない。彼の凄さを知っても,自身は変われない。
 ぼくが藤井四段になることはできない。あたりまえのことなんだけど。

● 「学び」の守備範囲ってけっこう狭くて,学べるものは知識や技法に限られる。それ以外のものに対しては「学び」以外の方法論が必要になると思う。
 では,その方法論があるのかどうか。そこも含めて,そこから先は暗中模索。あるいは思考停止。
 っていうか,ないんじゃないかと思ってるんだけど。そんな方法論は。

● 藤井四段はたぶん,ストイックとは思わないで,ストイックな努力を重ねているのだろう。だから,努力の前に何かがある。
 その何かっていうのは持って生まれたものだよ,とは言ってしまいたくないんだけど,でも,持って生まれたものなんだろうか。だとすると,話はそこで終了となる。

● その藤井四段にしたって,将棋だからストイックな努力を重ねることができる。学校の勉強に対して同じことをやってみろと言われても,おそらくできないでしょ。
 ストイックと思わないでストイックな努力ができる何ものかを持っている人は,でも意外に多くいるかもしれない。そういう人たちは,それだけで幸せな人生を生きていると言っていいのだろう。

2016年7月11日月曜日

2016.07.11 林葉直子さん

● かつて女流プロのアイドル的存在だった林葉直子さん。ネットに現在の画像がある。かつてとはまるで違っていた。
 本人はどう思っているのかわからないけれども,お気楽な外野としては,どこで歯車が狂ってしまったんだろうかと考えてしまう。ずっと女流棋士を続けていれば。

● 石をもて追われるように将棋界を去り,エッセイや漫画原作を書き,ヌード写真集を出し,豊胸手術をし,お店を出してつぶし,自己破産し,酒に溺れて肝硬変になり,その間,中原誠との不倫騒ぎがあり・・・・・・。
 なまじルックスが良かったために,周りに持ちあげられて,使い捨てられた感もあり。多方面に小才もあったのだろう。小器用だったのか。不器用に将棋だけやっていることはできなかったか。

● 師匠が米長さんだったことも災いしたろうか。いろんなことをやっていた師匠だったから。
 でも,師匠が彼女の年齢のときには,将棋の勉強しかしていなかったと思うんだがな。
 奨励会を卒業できなかったことで,女流プロといってもその内実はプロじゃないと醒めていたところがあったのか。そのために将棋への情熱をつないでいくことができなかったのか。

● 1994に「心身ともに疲労を感じ極限状態にあるのですべての活動を停止ししばらく休養したい,棋士としての処遇は日本将棋連盟理事会の決定にしたがう」と休養願いを提出したらしい。このときに,誰か有効なアドバイスをする人はいなかったのか。この時点ですでに味方はいなくなっていたんだろうかねぇ。
 このあと対局場に現れないという失踪事件を起こす。そこから先はすべてが転落のプロセスとしか思えない。
 あそこでどうにかできなかったのかと思う。どうにもできなかったんだろうな,とも思う。

● 以上,大きなお世話だろうけどさ。

2016年6月7日火曜日

2016.06.06 新名人誕生を機に谷川九段の復活を願う

6月1日の朝日新聞
● 将棋界に新名人が誕生した。佐藤天彦名人。誰もが認める第一人者の羽生さんから奪ったのだから,文句のつけようがない。たとえ羽生さんが本調子ではなかったとしても。

● しかし,年輩者とすればだね,谷川九段がもう一度タイトル戦に登場する姿を見たいんだよねぇ。
 将棋連盟の会長になってから,勝率を含めて成績がガタンと落ちた。ついにはA級からも陥落してしまった。
 会長の仕事にそれだけ力を注いでいるということだろうけど,できればその職は誰かに譲って,もう一度現役棋士の本分に力を注ぐってのは許されないことなんだろうか。

● ぼくが谷川九段を知ったのは,21歳で就位した名人を失って,次のタイトルの棋王位に就いた頃。その頃,NHK(教育テレビ)の将棋講座の講師を務めたんだよね。
 その番組をずっと見てた。ほんとに若き獅子という印象だったんですよ。圧倒的に輝いていたよねぇ。

● その後,名人に復位し,永世名人の称号は得たものの,羽生さんが出てきてからは,彼の陰に隠れることが多くなった。
 が,何と言うんだろうか,こすっからく勝ちに行くんじゃなくて,形を求めるというか,谷川流の美学に殉じるというか,素人目にはそんなふうに映っていた。

● 年齢も50歳を過ぎている。棋士としての全盛期はすでに過ぎているのかもしれないけれども,彼だけは特別だと思いたいんだよね。いわゆるファン心理というものだろうけどね。

2015年4月6日月曜日

2015.04.06 谷川九段がB級1組に踏みとどまった

● 21歳で史上最年少の名人になった頃,若き獅子のイメージがありましたね。24,5歳の頃にNHKの将棋講座の講師を務めた。その番組はぼくも見たんだけど,スーツ姿がかっこよかったねぇ。
 以来,ぼくは谷川九段のミーハー的ファン。

● 昨年,32期在位したA級を陥落。B級1組でも不振を続け,あるいは2年連続の降級もあるのかと思わせた。が,終盤,盛り返して,からくも(と言っていいと思うのだが)B級1組にとどまることになった。
 単純に良かったと思いますよ。

● 日本将棋連盟が発行している「将棋世界5月号」に田丸昇九段が次のように書いている。
 理事(会長)になったことで,将棋の成績が落ちているのは明らかだ。しかし谷川はそんな弁解を決してしない。大山は会長の務めを割とマイペースでこなしていた。時には講演などの個人的な仕事を合間にした。(中略) 谷川は会長の務めをまんべんなくこなし,対局以外の時間をほとんど公務に当てている。重要な問題に際して,自身で素案を作る実務的な一面もある。(p71)

2014年5月16日金曜日

2014.05.16 将棋の谷川九段がA級を陥落した

● 昨年はきわどいところで踏みとどまれたものの,今期はついに陥落。史上最年少の21歳で名人位に就き,いずれ谷川時代が来るだろうと思った。どっこい,羽生さんの追いあげが急だった。
 プロの将棋なんてわかるわけもないんだけど,谷川九段って,勝負にこすっからくなれば,もっとタイトルを取れたんじゃなかろうか。自分の流儀というか美学というか,それを重視した人だったように感じる。潔い人っていう印象。森下卓九段にも同じ印象を持ってるんですけどね。

● とはいっても,永世名人。同世代の棋士はとっくに下に落ちている。若いときに急速に駆けあがった人が,長くその地位にとどまるものなのだなぁ。

● 年齢的にもうタイトルは厳しいのか。連盟会長の職にあるし。第一人者はいろんなものを背負わなければならない。

● 電王戦はコンピュータ側の圧倒的な勝利。チェスで世界チャンピオンがIBMのディープ・ブルーに負けたときも,ルールが複雑な将棋では,コンピュータが人間に勝つなんてあり得ないといった論調が支配的だったと記憶している。
 ところが,コンピュータパワーの向上とデータベースの威力でしょうか。もちろん,開発者の努力も。今なら,一手30秒以内という縛りをかければ,プロ棋士が百戦百勝なのかもしれないけれど,それだっていつまでもそうじゃないだろう。
 いずれは囲碁でも人間はコンピュータに勝てなくなるんだろう。

● 素朴な疑問で申しわけないんだけど,究極の戦法というのが,コンピュータによって導かれることはあるんだろうか。
 でも,だから将棋なんかってことにはならないですよね。勝負の綾とか,棋士のこだわりとか美学,解釈というもの,それが色褪せることはないように思う。