● 夜,東京駅から有楽町駅まで,ガード下の飲み屋街を歩いてみる。毎度のことながら,平日の中日なのに活気がある。どの店もギューギューの満員。コロナは遠くなりにけり。
こうして飲むのでないと劇場性が満たされない。リアルにならない。
● ポツンと立っている女性もいる。マッチ売りの少女だろうか。
ここでこういう女性を見かけたことは,今まではなかった。これもコロナ禍で逼塞を余儀なくされていた営業形態なんだろうかね。蠢けるようになったのなら,慶賀に耐えない。
職業に貴賤はないのでね。もしぼくに娘がいて,娘がそういう仕事に就いたら受け容れられるかというと,まったく自信はないのだけれども,それでも職業に貴賤はない。
● 店内の様子が外から見えるようになっているところが大半だ。店内で談笑しつつ飲み食いしている人たち,酔って大きな声で話しながら道路を歩いている人たち。
ほとんどは会社の同じセクションのグループかと思われるのだけど,そうじゃないのもいる。手を繋いで歩いている男女。同じ会社でデキちゃったらしいのだけどね。社内結婚は止めた方がいいぞ。社内の女に捕まるな。と,ぼくなんぞは思うのだが,君の場合はもう遅いね。
というわけで,いろんな人生がそこに転がっている。と思えるのは,錯覚か?
● さらに歩いて銀座並木通り。クラブ密集地の8丁目にかかると,何回か声をかけられた。飲みに行くの,ワタシ,ママさんね,と言う(たぶん)韓国人の女性。ここは上野か。
今の銀座はキャバクラ化が進んでいる? あるいは高級居酒屋化が進行中なんだろうかね。
コロナ禍で黒服が道路に出るようにはなっていたけど,黒服以外にもいろんなのが道路に出るようになった。夜の銀座も息を吹き返していると思うのだが,そうなればなったで新規参入や出戻りが増えるんだろうか。
● 客層はガード下とは違う。経営者や得体の知れない若手実業家だったりするのだろうが,やってることは同じ。
所詮は貧乏人の金持ちゴッコだ。接待も含めて,その域を出ないものでしょ。ゴッコに至っていない分だけ,ガード下の方が高貴かもしれないよ。
というわけで,銀座に落ちてる人生も大部分は悲しさに満ちている。これが基本色で,コロナがどうなろうと関係ないようだ。
● 新橋。新橋が最も元気な時間帯ですかなぁ。新橋は昼間もすごいが,この時間帯も喧騒に満ちている。こいつら,明朝,起きれるのか。って,自分も通ってきた道ではありますよ。何とかなるんですよ。
日本人サラリーマンの多くは,何だかんだ言って会社が好きなんですかねぇ。つーか,会社しかないわけですかねぇ。
● こうして酔っ払っている勤め人の男女を見ていると,それを見ている自分は社会の当事者を降りてるんだなぁと実感できる。当事者を降りた自分は,至って気楽。
そのことを痛感しましたよ。隠居って悪くないなぁと思うんでした。