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2025年5月9日金曜日

2025.05.09 奈良茶飯

● 川崎に繁く通うようになったのはコロナ禍のとき。何せ,宿泊料金があり得ないくらいに安くなった。GOTOだの旅行支援だのが始まると,それなりに高くはなったが(そのための旅行支援なのだから,そうなって当然。旅行支援の効果があったということだ),その代わり,食事や土産品の購入に使えるクーポンが配られた。
 この機を逃してなるかと,ミューザの隣のホテルに,入りびたるところまでは行かなかったが,けっこう頻繁に通うことになった。宿泊中に神奈川に緊急事態宣言が出るなんてこともあったが,緊急事態宣言を意に介した記憶もあまりない。
 そうは言っても,二度目のワクチン接種を終えたときにはホッとしたけどね。

● このホテルは2020年に開業して,開業早々,コロナにぶつかってしまったが,2020年は五輪が開催されるはずだったのだから,同じようなホテルはけっこうな数,あったはずだ。
 できたばかりの新しいホテルに安く泊まれたわけで,あのとき思いきって散財しておいて良かったと,今でも自分の判断を褒めてやりたい。

● 川崎に行き始めた当初は,わりと川崎について勉強したと言うかね,旧東海道を歩いてみたり,「東海道かわさき宿交流館」にも何度か行った。
 そこで知ったのが奈良茶飯というやつ。六郷川(多摩川)を渡しで渡って川崎宿に入ると,万年屋という旅籠(元は一膳飯屋)があり,そこで旅人に供されたのが奈良茶飯。小豆や大豆,栗を炊き込んだ炊き込みご飯だったらしいのだが,これが評判を呼んだらしい。

● それがどんなものだったかは学究(?)が微細に調べていると思う。再現しようとすればできるはすだと思っているが,それは見たことも食べたこともない。
 ぼくが持つ疑問は,川崎で出していたのに,なぜ奈良という名前が付いたのか,ということくらいだ。

● 奈良茶飯の忠実な再現ではないけれども,現代風に洗練させた「奈良茶飯風おこわ」が川崎の名物のひとつになってるらしい。
 江戸時代のものそのままでは現代人の口には合わないどころか,食欲をそそらないだろうし,稗や粟など原材料の手当も難しかろう。価格も洒落にならないものになるかもしれない。

● 川崎の名物と言っても,「奈良茶飯風おこわ」を販売しているところは限られている(「東照」には確実にある)。それをミューザの隣のホテルでは朝食に出している。
 そういうホテルは他にもあるのだろうと思うが,ミューザの隣のホテルに来れば確実に奈良茶飯にありつける。なので,何度も食べている。
 江戸時代の栗は野趣に富んだものだったろうが,今様の奈良茶飯は砂糖漬けのお菓子のような栗を使っているほんのりと甘みがある。

● ところが,その奈良茶飯,かつては毎日供されていたのに,2日に1回になり,3日に1回になり,ついには3連泊しても出て来ないことがあるようになった。原価もけっこうかかりそうだから,間遠くなったのもわかるんですけどね。
 今回も3連泊で,今日が3回目の朝食になるのだが,出て来ないだろうなと諦めてたんですけどね。

● というわけで,王者の朝食,3日目。出て来たんですよ,奈良茶飯。久しぶりのご対面。君はまだ生きていたんだねぇ。
 奈良茶飯のときは蜆の味噌汁もセットになる。これらを食べて,江戸時代の旅籠に泊まった旅人の気分に浸るのはさすがに無理だけれども,妄想(よく言えば,思いを馳せる)の資にすることはできる。
 何より,単純に旨いのでね。餅米だから食べすぎると後が辛い。大人なんだから,そのあたりは弁えてほどほどに。

● その蜆汁,今回は食べなかったんですよね。というのも,豚汁もあったからで,ぼくは豚汁に走ってしまったわけなんですよ。
 あと,焼きそばもあってね。これも不定期なんですかね。麺はかなり柔らかめ。けど,これも旨くてね。
 野菜は大きめにザックリと切ってある。これがいいんですかね。味付けはオイスターソースを使っているようなんだけれども,それ以外はわかりません。
 焼きそば定食にしたいくらいなんだけどね。奈良茶飯をそんなふうにしたくはないから,焼きそばだけをお代わりしましたよ。

2025年5月8日木曜日

2025.05.08 川崎は都市の最先端である

● 王者の朝食,2日目。朝食のメニューは毎日の定番の他に,2日に1回,3日に1回,さらには不定期で登場するものがある。
 今日は野菜炒めがあってね。豚肉も入っているので,肉野菜炒めですかね。これはご飯に載せて,丼にして食べる。別盛りにしたっていいんだけども,ぼくは丼にしたくなる。汁も余さず喰うには丼の方がいいんですよ。

● 筑前煮。これは肉ジャガと交替で1日置きに出る。この筑前煮が絶妙に旨いんですよ。
 特別なものが入っているわけではないし,特殊な味付けをしているわけでもない。けれども,ほどの良さの妙と言いますかねぇ。いくつか食べた筑前煮の中で,ここで出されるものが最も旨い。
 酒が欲しくなるというわけではない。酒なしで全然OK。まぁね,ぼくが里芋好きというのはあると思いますよ。他に,牛蒡と人参。根菜がタンと摂れる。こらさえ食べとけば安心という,あまり知的とは言えない思い込みもある。

● そばとうどんも1日交替。汁はカレー汁。普通の汁もあるが,以前はカレー汁だけだった。
 そのままでもスープカレーになると思う。刻みネギを多めにして,ご飯にかけてもよろしかろうと思うのだが,やったことはない。

● ヨーグルトには黄色のマンゴーソース。金運を体内に入れることにする。
 年金暮らしの身にドバッと臨時収入が入って来たら嬉しいね。入ってきても貯金なんていう,自分のところで留めてしまうことはしないで,必ず全額使うからさ。次に流しますよ。
 そうだな,やっぱ今やってるような贅沢につぎ込むかな。

● 川崎に来ると思うことがひとつある。川崎市民は垢抜けることをなぜ頑なに拒否しているのだろうか。そんなものはどうでもいいじゃないか,と考えてるんだろうか。
 特にそれを思うのが新百合。あれだけの基盤があるのに,なぜ? 駅近に昭和音大があるのに,なぜあれを景観に取り込まない?

● 唯一の例外が,川崎駅西口の景観。ラゾーナの存在は大きい。東芝の工場跡地が一変した。ここだけが川崎で見ることのできる21世紀的な都市空間だ(ただし,小杉は行ったことがないので知らない)。
 しかぁし。だから川崎はダメだと言ってるんじゃないですからね。北関東の田んぼの村の住人にとっては,川崎は楽に呼吸ができるほとんど唯一の大都市だ。無防備でいられる気安さがある。

● 横浜だとそうは行かない。横浜は誇り高き独立国という気がする。東京に対して独立している。しかも,東京を格下に見ている風を感じることがある。
 その分,かすかなムラ意識の存在を覚えるわけで,田舎の原住民であるぼくなんぞは,横浜に行ってみたいとはあまり思わない。東海道線でひと駅の違いしかなくても,川崎は近いが横浜は遠い。

● 川崎市は東西に極端に短く,南北に長い。その長い川崎市の南端に川崎がある。
 そうして,南端の川崎には東海道線と京急が東西に走り,小杉には湘南新宿ラインと東急東横線がやはり東西に走る。溝の口には東急田園都市線。渋谷からメトロ半蔵門線に乗り入れるから,都心まで乗り換えなしで行ける。登戸には小田急。こちらもメトロ千代田線に乗り入れる。

● 川崎のどこに住んでいても,東京はすぐそこにある。横浜も近い。
 ところが,川崎を南北に縦断しようとすると,南武線に乗らなければならない。できれば乗りたくない路線だろう。

● というわけで,川崎市という市域はあっても,川崎に求心力は存在しない。それが開放的で緩やかな空気感を作っているのではないかと思っている。
 よそ者が入って行っても拒まれることはないという気楽さを産んでいるのてはないかな,と。この気楽さがありがたい。
 ひょっとすると,川崎は最先端の都市なのかもしれないよ。他の都市も川崎を見習え。

● その川崎が垢抜けていないということは,都市的洗練などという言葉は,あさっての方向を向いた世迷い言なのかもしれないな。
 そんなものは邪魔なだけかもしれん。要らないものである可能性がある。

● ラゾーナ1階の店で買ったイチゴ大福。旨かったです。大福である以上,主役はイチゴではありません。皮とあんこですからね。
 今日はラゾーナの食品売場でいくつかの惣菜と弁当を買って,部屋食にした。こういうのもいいね。これでも充分に非日常を感じられるもん。

2025年5月7日水曜日

2025.05.07 王者の朝食

● ホテルの朝食で第一に指を屈すべきはどこか。
 ぼくの狭い体験からすると,東京ステーションホテルではないかと思う。あの時間帯になぜあれだけの品数をあの水準で用意することができるのか。現代の奇跡のひとつに数えてもいいような気がする。
 プリンス高輪の「パテオ」で供される朝食も好きだ。日本庭園の借景がテンションを上げてくれる。今だと,宿泊客の過半はインバウンドの外国人だが,彼らが嬉しそうにパンを頬ばるのを眺めるのも味わい深いものだ。

● が,一番好きなのをひとつ挙げろと言われれば,ミューザの隣のホテルの朝食ということになる。
 ぼくは和食党なので,朝食も基本,白米主体になる。バイキング方式なので,移り気な気分によって選ぶのだが,東京ステーションホテルとは違って,選べなくて呆然と佇むといったことにはならない。品数がべら棒に多いわけではない。

● 結果,毎回同じような選択になるのだが,右の写真のようなもので,何の変哲もない,いたって普通のおかずと味噌汁でご飯を食べることになる。
 どうです? 普通でしょ。

● ところが,これらの何の変哲もない料理の一つひとつが,何と言うのか,ほどがいいのだ。“ほどがいい” という言い方が適当かどうか。染み染みと旨いと感じるのだ。
 鮭の切り身を焼いたのなんか,どこで食べてもそうそう変わるまいと思うのだが,塩味といい焼き上がりの火の通り方といい,ほどがいいのだ(ま,ぼくはちょっとだけ醤油をつけてしまうんだけどね)。
 だし巻き卵,然り。フワフワすぎず,しっかりしすぎず,誠にどうもほどがいい。

● 王者の朝食とはかくもあらん,と食べるたびに思う。ぼくのような者が食べていいのか。
 ダメだと言われても食べるけれども,ミューザの隣のホテルに泊まる大きな楽しみにこの朝食がある。

● 結局,温泉(?)と朝食だね。このふたつ。朝食だけが良くて,他はダメということは通常はない。
 ビジネスホテルだと,飲食部門は他業者に委託しているところがあって,飲食はいいのに他はどうも,と感じることが皆無ではないにしても,そういうことはまぁまぁない。

● マグロの漬けと大和芋のとろろもある。出川哲朗の実家で作っている海苔もある(いい海苔なんですわ)。
 その海苔を千切ってご飯に敷き,そこに漬けマグロととろろを載せて,丼にするのもここでの慣わしになっている。つまりは,食べすぎることになる。1日2食を厳守しないと,エラいことになりそうだ。

● 〆も決まっていて,ヨーグルトとカットフルーツ。ヨーグルトにかけるソースは,モテ運を増加させるピンク(赤)のイチゴソース。
 いちいち断るのも野暮天だけど,こんなことをしてもモテませんからね。ね。西に黄色で金運アップというのを信じる人はいないと思うんだけども,時々,例外がいるんじゃないかと思ってさ。
 パイナップルも甘くて旨い。基本,手抜きがないと感じる。

● 今日は幸区を歩いて来た。観光のメダマは特にはないエリアだと思う。しいて言えば,多摩川の眺望かな。
 ラゾーナの近くにある女躰神社。女躰大神って,御神体を拝観したくなるね。
 かつての日本人はおおらかで,余計な思考操作を加えなかったのだと考えるのが一番シックリ来ますか? 女躰は即ち神になり得るもの。

● ただし,神として祀り上げられるものと祀り上げるものとでは,祀り上げる方が上位。その出発点において,神より人間の方が上位なんだよね。
 祀り上げた後でも,神って人間の都合で無実の罪を着せられたり,いいように使われたりするからな。

● さて,今日は何を食べるか。いや,王者の朝食を食べてしまっているのだから,もう何でもいいやという気分なのではある。
 結局,昨日と同じカプリチョーザ。昨日は白だったので,今日は赤ワインを飲みましたよ。九条ネギのペペロンチーノ。
 正直に言うと,自分にはサイゼリヤで充分だなと思いながら美味しくいただきましたよ。

● お客さんの中には,若い男女もいる。ある程度まで親しくなった仲なんでしょうね。初デートじゃカプリには来ないでしょ。こなれた仲になってから来るところじゃないですか。そうは言っても,高校生にとってはそれなりにハレの場ではあるんだと思う。
 君たちの仲は結婚に発展することはないだろうけど(あってしまったら,むしろ不幸につながりやすいぞ),何だか羨ましいわ。一度しか通れない道だから。
 がんばれ,若者。今の楽しさも不甲斐なさも,後になれば笑える話になるぞ。今しかできないことを一所懸命にやっておけ。

2025年5月6日火曜日

2025.05.06 川崎温泉

● GWの最終日。川崎に向かっている。今日はホテルの宿泊料がドォンと安くなるんですよ。
 数日,川崎で遊ぶつもり。それができるのが年寄りの特権ですから。ミューザの隣のホテルに投宿。

● チェックインして,さて,どこに行こうか。まず,何か食べよう。何にしようか。
 ラゾーナのカプリチョーザになった。久しぶりだ。カプリチョーザ,美味しいよねぇ。
 イカとツナのサラダの酸味がちょうど良かった。ワインはこれくらいでホンワカ酔える。これが適量。弱くなったよ。けど,飲みに来てるんじゃないからな。

● 温泉にバッタリと行かなくなって約10年。行けば,やっぱ温泉っていいなぁとなるに違いないのだが,足が向かなくなった。
 理由のひとつは,都市部のホテルの風呂が良くなったからだ。ユニットバスは過去のもの。大きめの浴槽に,シャワーブースなどという中途半端なものではなく,洗い場付きがあたりまえになった。

● 身体を拭いてすぐにベッドに寝転がれる。エアコンで身体の粗熱を取るときの気持ち良さ。そうして,サッと都市の雑踏に入って行ける。
 自然もいい,露天風呂からあがって風にあたるのもいい。が,人工装置がダメだとは思わない。

● で,ぼくが最も好きな浴槽がミューザの隣のホテルのもの。入浴剤を入れれば,そこは即ち川崎温泉。ぼくはあまり使わないのだが,レインシャワーもあるぞ。
 ま,ぼくがあまり自然を重視しないのは,売るほど自然が溢れるところで育ったせいもあると思うのだが。


2024年7月15日月曜日

2024.07.15 川崎のミューザの隣のホテル

● 川崎に来た。ミューザの隣のホテルに投宿。なぜ来たのか。理由は特にないのだが,強いて言えば避暑のため。
 日本に天然の避暑地はなくなった。軽井沢も日光も那須高原も等しなみに暑い。北海道も稚内まで行けばだいぶ違うのかもしれないけれども,札幌ではどうにもならない。

● 避暑地なんてのはぼくの世界にはないものだから,最初からどうでもいいんだけれども,ともかく避暑地は人工の施設に求めるしかなくなった。
 第一にはホテル。となると,沖縄にも避暑地はある。おかしいと言えばおかしい状況になった。
 今どきはイアコンがどのご家庭にもあるだろうから,自宅が一番の避暑地になるはずだが,ずっと家にいると気分が塞いでくる。会社勤めをしていればそうはならないだろうけどね。

● 夕食は奮発してホテルのビュッフェ。北海道フェアをやっていて,食べ放題メニューの中に蟹があったのでね。かなりの混みよう,予約必須。
 平日なら6,000円なんだけども,今日は日曜日なので6,900円。白州のハイボールを1杯だけ飲んだ。酒は飲もうと思えばいくらでも飲めた。が,調子こいていいことはあまりないからね。
 前にいたスタッフと似た人がいた。その人が戻ってきたと勘違いして,タメ口をきいてしまったのが,痛恨の失敗。

● 甘いものも食べちまったよ。左の写真のおはぎの下の平べったいのは,「かわっぴら餅」という川崎の名物らしい。
 こういう手のかかる作り方の餡ころ餅を各家庭で作っていたとは思えないから,新参の名物
なのじゃないか。

● 食べた中
で一番旨かったのは生ハムメロン。左の写真の小っちゃいやつ。
 蟹はけっこうな期間,冷凍保存されていたやつだと思う。6,900円で食べ放題の蟹だからね,どうしたってそうなりますよ。

● ホテルの朝食。ですが,昨夜もここでディナーブッフェを詰め込んでるわけですよ。腹なんか減ってない。
 2食連続ブッフェなんて無理なんですよ。人の道から外れてるんですよ。助けてください,姐さん。

● というわけで,トマトとコーン,芋煮汁を取って来ましたよ。
 芋煮汁は牛蒡たっぷり。ささがきにする機械ってのがあるんですかね。手でやったんですか。牛蒡を使った料理=手がかかっている,という公式がぼくの中にあってですね。

● 芋煮汁はお代わりしましたよ。昨夜食べた数々の料理を思いだしながら,こういうのがいいんだよ,と思っちまったんですよ,姐さん。
 右側の椀はカレーそば。

● なめこ汁と餃子。なめこ汁はしっかりした味噌汁になっていて,ぼく好み。
 こういうのに遭うと,ご飯にぶっかけたくなるんですよ。そんなことをしようものなら,わが社の上司から速攻で鉄槌が下るので,やりませんがね。ご飯み入れるのははさすがに厳しかったし。

● で,ヨーグルトとフルーツで締めたんですけどね。朝食のメインルートは歩けませんでしたよ。
 このホテルには朝食を食べに来てるんですよ。どうしたら良かったんでしょうか,姐さん。つーか,終わってみれば,けっこう食べてますかね。

● このホテルでも外国人客が増えてる。顕著に増えてる。この時間から,3階の多目的ラウンジは中国語で満ちている。
 彼らが自国通貨を円に替えて,日本で使ってくれてなければ,今頃は1ドル=180円になっていたかもしれない。宿泊,飲食,観光という業界を越えて,彼らは日本の救世主かもしれんね。

2022年11月4日金曜日

2022.11.04 川崎市内観光

● ミューザの隣のホテルをチェックアウト。荷物を預かってもらって,相方を市内観光に案内する。
 駅東口のカオスを抜けて,まず向かったのは稲毛神社。川崎の大宮。たこ焼きや縁起物の屋台が出ていた。
 縁起物を買うことに対して,侮蔑感を持つサラリーマンが多いのではないかと思っている。かつての自分がそうだったから。商売人はこういうものをおろそかにしない。
 切実さか違うからだ。サラリーマンは毎月給料日になれば給与が振り込まれる。自分で商売をしている人にそんな保証はないのだ。

● 稲毛神社から堀之内を通って旧東海道に出る。ここはぼくも初めて歩く。大宮の隣に歓楽街があるのは洋の東西を問わず,人が集まる都市の約束事になっている。川崎もその例にもれないということ。
 今の歓楽街は昼間から営業しているが(店から出てきた若いニイチャンと出くわした),それでも昼間は砂漠感というか,乾ききった感じがする。歩くなら夜だ。客引きが煩いかもしれないが,それくらいのことは仕方がない。
 川崎の堀之内は,吉原に次いで関東で2番目に大きい歓楽街であるらしい。何事によらず,関東で2位はすごいよ。

● 脱線するんだけれども,北関東では群馬県の太田だ。川崎の場合は,わざわざ行こうとするのでなければそこを通らなくてすむのに対して,太田はそこを通らないとどこにも行けない。
 太田はあれをどうするつもりなのか。法令違反はないんだろうから,いかんともしがたいのか。あれある限り,太田市は両毛地方の雄であることを許されない。老いたりとはいえ,館林がその座に就くことになるだろう。

● 旧東海道に出て,六郷の渡しを見せる。相方は,さほど興味はないらしい。
 川崎宿に入ってすぐのところに万年屋があった。旅人に奈良茶飯を出してた旅籠。ハタゴって音の響きがいいよねぇ。本陣にしか泊まれない殿様も,一度でいいから旅籠に泊まってみたいと思ったんじゃないかなぁ。

● 吉原の隣に山谷があり,横浜の伊勢佐木町歓楽街の隣に寿町があり,大阪の飛田新地の隣には釜ヶ崎がある。歓楽街とドヤ街は隣り合っていることが多い。
 川崎でも堀之内の隣の旧東海道エリアは,ドヤ街ではないのだが,山谷の空気に近い。川崎市では旧東海道を観光資源の1つにするつもりで,交流館を建てたり掲示板や標識を設置しているのだが,なかなか難しいかもしれない。品川の旧東海道の方が,歩いていて気持ちが弾む感じになる。

● 旧東海道に「東照」という和菓子屋がある。トウショウと読みたくなるがトウテルという。
 初めて入ってみた。冷凍の奈良茶飯を商っている。買って帰ろうかと思ったんだけど,再来週,また来て同じホテルに泊まる予定だ。朝食で食べられる。結局,何も買わないで出てしまった。

2022年10月17日月曜日

2022.10.17 全国旅行支援,まずは川崎

● 川崎に来た。ミューザの隣のメトロポリタン川崎に今回は3泊。1泊朝食付き20,000円。3泊だから60,000円。それが全国旅行支援のおかげで36,000円になる。4割引き。2人で泊まってこの価格。
 でもって,18,000円分のクーポンが渡される。県民割のときは宿泊日の翌日までに使わなければいけなかったのが,チェックアウト日から1週間以内に使えばいいことになっていた。自由度が増えた。

● ただし,このクーポンは使えるところが意外に少ない。県民割のときからそうで,全国旅行支援になれば少しは増えるのかと思っていたのだけど,そういうわけでもない。
 この状況を見ると,全国旅行支援などに頼らずともうちは大丈夫だよと言っている飲食店が多い,したがって全国旅行支援を実施する必要性に乏しい,とも考えられる。

● あるいは手続きが煩瑣で,ギリギリの人数でやっている飲食店ではそんな事務処理に割いている余力はないのかもしれない。
 役人は煩瑣が大好きだからね。どうでもいいような重箱の隅の厳格性を要求するのが好きだ。そうしないと自分たちが要らなくなることを知っているのかもしれない。
 手続きを厳格にして,それが守られたかどうかを確認するくらいしか,自分たちにできることはないことは,さすがにわかっているわけだ。いずれはAIが取って代わってくれるでしょうけどね。

● ちなみに,県民割のときには宿泊費は半額の30,000円になった。クーポンが12,000円分。トータルでは同じといえば,同じ。
 けど,クーポンをたくさんもらうより,その分宿泊費を安くしてくれた方がありがたい。現金の負担が減る方が,使えるところが少ない金券をもらうより嬉しいわけよね。

● このホテルは東京五輪をあてこんで2020年5月に開業した。そういうホテルはいくつもあったが,コロナで散々な目に合わされたのは誰もが知るところ。
 ぼくらが初めてこのホテルに泊まったのは,2020年12月。以来,宿泊した日数でいえばダントツでこのホテルが多い。昨年の5月には15連泊した。15連泊できるということは住もうと思えば住めるということだ。

● 館内にコインランドリーがあるのが助かるし,複数のコンビニやショッピングセンターが至近距離にあるので,食事に困ることもない。
 高級ビジネスホテルと言えなくもないが,直営のレストランの他に,テナントとして入っている日本料理の店がある。日本料理の店には行ったことがないが,直営レストランの水準に文句を言う人はたぶんいないと思う。

● 浴室とトイレがセパレートになっていることを始めとして,部屋(ぼくらが泊まっているのは標準的な部屋。広さは30㎡)の居住性,ベッドの寝心地に問題はない。とりわけ,浴室の使い勝手は出色。テレビはインターネットに対応している。Amazonプライムビデオや Netflix も見ることができる。
 バスタオル等の補充についても,連絡すれば対応は速やかだ。このあたりは,外資系を含めたシティホテルにひけを取らない。
 以上を要するに,このホテルはコスパがいい。ぼくのような育ちの悪い人間は,どうしてもコスパを重視してしまうことになるのだが,このホテルは泊まらなきゃ損だと思っている。

● 住める理由の第一は,しかし,そういうことではなくて,3階に宿泊者専用のラウンジがあることだ。
 コインランドリーもここにあるのだが,電子レンジも2台置いてある。シューティングゲームのゲーム機もある。ノートパソコンも2台用意してあり,プリンターに接続されている。全方位対応というかね。
 それ以外に作業用の大テーブルがドンとあって,パソコン作業やノートや資料を広げての作業ができるようになっている。今どきだから,用意されたパソコンを使う人はほぼいない。自分のパソコンを持ち込む。コンセントとUSBの充電ポートもある。

● 客室にはデスクはない(頼めば持ってきてもらえると聞いたことはあるが,実際に持ってきてもらったことはない)。少し前まではシティホテルでもデスクがあるのがあたりまえだったが,新しいホテルはそうでもなくなっている。
 デスクが使えないと少々以上に不自由だったりする。どうしてもデスクがなければという人はビジネスホテルに泊まるのが間違いがないが,このホテルには3階の大テーブルがデスク以上の役割を果たす。

● 客室に1人でいると,どうしたって閉塞感を味わうことになる。ずっといるのは辛い。が,このホテルのラウンジは広い。南側は窓が大きく取ってあって,開放感がある。
 しかも,時期による例外はあるが,だいたい空いている。椅子が6つ置いてあるのだが(コロナが収束すれば8人で使えるようになると思う),6つとも埋まったことはぼくが記憶する限りではない。一番多かったのが4人。

● 要するに,たいてい空いている。これだけの広さの部屋が1つ,無駄に放置されているという見方もできなくはない。ほかに使い途はないのかという議論は,ひょっとすると運営側にはあるのかもしれない。
 しかし,この無駄が居心地の良さやゆとり,ある種のリッチ感を作ってもいる。高級ビジネスホテルにさせない要因のひとつは,このラウンジという名前のワークルームがあることだ。

● ぼくは,ここで過ごす時間が長い方の宿泊客の1人だと思うのだが,スマホをいじって遊んでいることが多い。
 パソコンは持ち歩かないし,持ち歩く必要にも迫られないが,スマホ持ち込んで1日の見聞をまとめてツイートするなんてことは,ここでやっている。

● というわけなので,このホテルに何をしに来たのかと言えば,第1に朝食を食べに。第2に入浴のため。第3に完全遮光でグッスリ眠るため。
 すぐに朝食にするわけにはいかないので,まずは風呂に入った。温泉の大浴場の良さは認めつつ,今どきのホテルは風呂(というより,水回り全体)が良くなってますよね。ここは近年のホントに顕著な変化でしょう。

● クラシックホテルという言葉があって,古くからあるホテルを珍重する気風があるけれども,実際にお客を泊めるのであれば,水回りだけは現代風に直しておかなければならないだろうし,直していると思う。
 ぼく一個は新しいホテルに泊まるのがいいと思う。2020年の五輪に間に合うように開業して,コロナの洗礼を受けることになったホテルは押し並べて狙い目ではないかと思っている。でなければ,五輪に備えて全面改装をしたホテル。その意味でも川崎のこのホテルは,ぼくらのお気に入りになっている。

● まだある。ホテルはどんなホテルでも,ホテル単体ではホテルとして完結できない。どの街に存在しているか。それが大きい。
 ホテルは街を背負うことになる。街に背負われることになると言ってもかまわない。舞台の魅力というか,ホテルがある場の魅力に助けられることもあるだろうし,その逆もあるかもしれない。ホテルによってはそのホテルがあることが,街の魅力になることもあるかもしれないが。

● そこで川崎の魅力はいかほどかということになる。川崎市は地形からして独特で,東西に極端に短く,南北(正確には,南東-北西)に長い。細長い市域に150万人が蝟集して暮らすメガロポリスだ。昔からの川崎はその南端に位置する。ぼくが知っている川崎も,その南端の川崎にすぎない。
 地形の然らしめるところだが,川崎市のどこにいても,東京や横浜に出るのは簡単だ。が,川崎を縦断するのは容易じゃない。新百合から南端の川崎に行かなければならないとなると,かなり億劫ではないか。

● その故か,川崎には内に向かうベクトルはないように思われる(あっても非常に微弱)。川崎市はあっても川崎市民はいないという状況が現出しやすいのではないか。
 しかし,内に向かっていないということは,よそ者によそ者と感じさせない開放感があるということであって,それがつまり都市性の核になるものだ。内に向かうベクトルはムラ意識を生みやすいが,それがないのを都市という。
 ひょっとすると,川崎は日本で最も都市度(?)の高い街かもしれない。東北や北関東からの移民が楽に呼吸できるだろうから,それらの移民がじつはかなり多いのではないかと愚察する。
 ちなみに言うと,横浜にはかすかに横浜村を感じることがある。

● トワイライトというのとはちょっと違うけど,夜の帳が降りてきたラゾーナ。整然とした人工的な都市空間。川崎で唯一,川崎らしからぬエリアというかね。
 こういうのがそこら中にできてしまうと,川崎が川崎でなくなってしまう。それはいけませんよ。

● アトレとラゾーナの食品売場を回って,肴の買出し。でもって,部屋飲み。
 以前は,こういうのに貧乏臭い趣がありましたか? コロナがそれを払拭した。実際,気安くていい。他者と関わらないですむ。酔ったら3歩歩いてベッドにひっくり返ればいい。

● 川崎駅東口のドンキに。ドンキにしか売っていない入浴剤があるんですよ。13包で398円の安いやつ。それがわが家のお気に入りなんですわ。
 ということで,川崎もホテルも良し。

2022年7月8日金曜日

2022.07.08 岡本太郎美術館

● 岡本太郎美術館に行こうと思う。が,それは川崎市を縦に動くことを意味する。川崎(区)から東京や横浜に行くのは造作もないのだが,川崎市内を縦に動くのははるかな困難を伴うという川崎問題。その川崎問題に挑戦する気力があるか?
 WALKMANで007のテーマを聴いて気持ちを高ぶらせた。それでは足りず,エルガーの「威風堂々」まで聴いて,南武線の車輌に乗りこんだ。

● 登戸で降りて,1.8kmほど歩く。生田緑地の木陰に入るとさすがに涼しいのだが,そこに至るまでがこの時期には堪えますな。
 美術館前の「母の塔」を場所を変えながら見上げる。どこから見るのが正式なのだろうとアホなことを思ってみた。正式なんてあるわけがない。

● 岡本太郎美術館は二度目。前回は新宿から入った。川崎からJR南武線に乗るよりも,新宿から小田急に乗った方が運賃も安いんじゃないか。
 入館料は1,000円。65歳以上は800円で,ぼくはこれに該当するわけだ。が,一般券で入場。どういうわけだか,自動券売機があるのに人がいて,あれこれ世話をやいてくれる。65歳以上は800円でいいんですよと言われなかったのが何気に嬉しくて,喜んで1,000円券を買いましたよ。

● 岡本太郎美術館が川崎にあるのは,太郎が生まれたのが母親の実家で,その母親の実家が川崎市(高津区)にあったという縁なのだと思うのだが,生まれてすぐに東京に移っているので,太郎と川崎の関係はほぼ何もない。出生地という以外に太郎の足跡を川崎市内で見つけるのは難しい。
 ではあっても,川崎市に岡本太郎美術館があって,かなりの作品がここに集められている。ぼくらにとっても幸いなことであるに違いない。

● 常設展は,今回は比較的足を止めずに見て回った。
 常設展の他に小松美羽展。狛犬をモチーフにした作品で知られる人らしい。「山犬様」がタイトルに入った作品が多くあった。
 美術館に行くと疲れるのは,作品から投射されるエネルギーを受けとめきれずに,オーバーフローしてしまうからかもしれない。疲れるのがイヤで,時間をかけないようになってしまうのだが,それでもけっこう疲れる。ずっと立ちっ放しだからというそれだけではないよねぇ。

● ともあれ,川崎問題に挑戦し,そして勝利した。ミッション(?)を果たして帰還したのだが,平日の日中なのに南武線は混んでいる。帰りは川崎駅に着くまで座れなかった。
 沿線の方々は毎日,挑戦することを余儀なくされているのだろう。どうぞ,御身お大切に。

● ところで。岡本太郎美術館は9月から来店の1月末日まで休館する。太郎パワーを注入するのは,この夏の間に。