2025年7月26日土曜日

2025.07.26 秩父へ

● “青春18” の2日目。秩父に行く。秩父に用事があるのか? ない。秩父に限らず,用事のあるところなんかあるわけない。
 秩父鉄道と西武秩父線に乗ろうと思う。これまた,乗らなきゃいけない理由なんかない。是が非でも乗りたいかというと,それほどでもない。でも,乗っておきましょ。

● 小金井始発の上野東京ライン平塚行き。栗橋か久喜まではガラガラのプラチナシート。
 その久喜まで乗る。久喜からは東武伊勢崎線で羽生へ。
 羽生から秩父鉄道。熊谷〜皆野間には若い頃に乗っている。もちろん,記憶は完全に消滅しているが,乗ったことだけは間違いない。
 あらためて,始点から終点の三峰口まで通して乗る。運賃は1,200円。乗車券はQRコードをタッチするタイプ。那覇のゆいレールと同じだけど,受け入れられているんかな。

● 2両編成の電車。お客さんはけっこう多い。北関東の埃っぽい平地を走る。行田市を過ぎると登り勾配を体感できる。
 熊谷でかなりの人が降り,同じくらいの人が乗ってきた。
 熊谷からはひと駅ずつ降りる人がいて空いてくるのかと思ったのだが,全然そんなことはない。ほぼ全員が秩父まで行く行楽列車でありました。夏休みだしね。
 ただ,インバウンド優位ではない。日本人が多い。家族連れと徒党を組んでるジジイたち。

● 波久礼駅で熊谷方面に向かう貨物列車を見送る。中身は秩父名物セメントの原料っぽい。石灰岩。
 長瀞でだいぶ空いた。秩父,御花畑でドッと降りるのかというと,意外にそうでもない。先まで乗り続ける人が多い。

● 一眼レフを抱えたジジイのグループが煩くてしょうがない。少しは大人しくしてられんのか。
 そのジジイたちも1人,2人と降りていく。撮影現場のメボシはそれぞれつけているようだ。

● ようやっと三峰口に着く。ここまで来るのに,峡谷(?)を橋で渡ることはあったが,トンネルを潜ることはなかった。トンネルは1つもなかった。
 ということは,このルートが昔からの往還ということですか。秩父の表玄関は長瀞であり,皆野であるよ,と。

● 秩父鉄道の終点ではあるものの,この先がありますよ,ここは途中ですよ,という風情。峠の茶屋のように思えるお休み処。
 ハイキングというのかトレッキングというのか,それをやろうとすると2泊はしたいかな。

● 駅の隣に三峰口駅そば店があったので,寄ってみた。寄るでしょ,これはね。天玉そば,650円。地の食材はないと思う。それでいいのだ。
 秩父も暑い。東京と変わるまい。いつもこんなに暑いのですかと,オバチャンに訊くと,自分は寄居から来たのでよくはわからないのだが,と言う。熊谷に近いところだとも言っていたな。
 待て待て,寄居から通っているわけじゃあるまい。秩父に嫁に来たのじゃないのか。

● 三峰口から秩父駅まで引き返す。下ることになる。秩父の中心街はずいぶんと下ったところにあるのだ。
 まず言っておきたいのだが,秩父に秘境感はない。普通の地方都市だ。只者じゃない感はある。長い間の人の営みの堆積が感じられるというか。会津若松に感じるのと同じもの。
 が,ここは秘境ではない。天空の街という感じでもない。秩父に特別な思い込みを持っちゃいけない。

● ただし,繰り返すけれども,只者じゃない感がある。
 そう思わせる理由の1つが秩父神社の存在。秩父神社の他にも,立派な神社があるらしい。観音霊場もある。神社仏閣の密度は相当なものだろう。

● 秩父神社の近くに「喫茶カルネ」っていうお店があるんですよ。コーヒーとカレーの店なんですけど,ホットサンドが美味しいんです。最期の晩餐はカルネのホットサンドにしようって決めてるんです,私。
 秩父育ちで東京で仕事をしている人が,こう言っていた。ここまで言われては行かないわけにもいくまい。

● というわけでね,ホットサンドとコーヒーのランチ,1,100円。
 店内の空気感は相当いい。音響機器を選ぶだけでこういう空気を作れるのなら苦労はない。店主の人間性がどうしたって出ちゃう。つまり,いい店です。
 けど,ホットサンド,うーん,旨いは旨いんだが,これを最期の晩餐に,うーん・・・・・・

● 立派すぎる市役所も見て,帰りは西武秩父線で。現在の表玄関はこちらでしょうねぇ。観光スポットへのバスの便もここから出ている。バスターミナルでもある。
 池袋から直結。特急だと80分で着いてしまう。特急券は900円。JR普通車のグリーン券と同額だ。

● 西武駅のホームから秩父鉄道の電車を見る。秩父鉄道のレールがすぐ近くを通っている。
 西武駅のホームの標識。影森,三峰口方面とあるが,現在は秩父鉄道への乗入れはしていないようだ。

西武特急
● 今回は特急ではなく各駅停車に乗車。最初に乗るのは各駅停車がいいと思っている。特急は速いし楽だけれども,入ってくる情報量は各駅停車の方が圧倒的に多いからだ。
 秩父鉄道と違って,西武線はトンネルだらけ。西武秩父駅を出るとすぐにトンネルに入る。その後も次々にトンネルを潜るのだが,芦ヶ久保駅を出ると長いトンネルに入る。
 しかも,そのトンネル内は複線になってるっぽいんだな。トンネルを抜けると正丸駅。

● トンネルの合間に集落が見える。その集落を見やりながら,これは難所だったろうと思う。
 秩父鉄道が羽生〜三峰口間を全通したのは1930年なのに対して,西武線の開業は1969年。だいぶ遅かった。土木技術の進歩を待つ必要があった。

● 西武線で入っていたら秩父に多少の秘境感を感じたかもしれないな,とも思った。
 大雑把に言うと,秩父鉄道は荒川に沿い,西武線は高麗川に沿う。高麗川には流域というものがない。勝手に流れ下っていたのだろう。

● 吾野から秩父までを秩父線と言い,池袋から吾野までは池袋線らしいのだが,その合理性はよくわからない。
 吾野を過ぎてもトンネルがある。トンネルが基準になっているわけではないらしい。

● 東飯能で下車。JR八高線のホームに移動して,川越行きに乗換え。川越で埼京線に乗り継いで大宮。
 このエリアは路線名と運転系統に乖離があるのだが,八王子〜高麗川〜川越〜新宿と準環状線があるのだと思っておくのが最も自然かと思う。

● 東飯能で電車がなかなか来なくてね。しかも,ホームの屋根が太陽光を遮る役を果たしてなくて,容赦なく殺人光線が降り注ぐ。だいぶ消耗した。
 大宮で宇都宮線に乗ったのだが,ちょうど線路内発煙騒ぎがあって,宇都宮線が運転見合せになった(高崎線で高崎に出て,両毛線経由で帰ろうかと思いましたよ)。2つのアクシデントを乗り越えて,無事に帰宅。

● 大宮駅構内の「そばいち」で “2枚盛り” を食べた。670円。
 今日は朝もパンを食べてから出かけたし,出先で3回食べているから,明日の体重はまた増えていることだろう。

● 秩父に行って思うのは,秩父に温泉が出なくてよかったなということだ。温泉旅館がまったくないわけではない。皆野や小鹿野にはいくつかあるようだし,秩父市にもあるにはある。が,点在するに留まる。
 もし,大々的に温泉が湧き出していたら,秩父は日本全国どこにでもあるようなつまらない温泉街になってしまったことだろう。
 温泉街はどこも苦境に喘いでいる。廃墟がそこかしこにある。温泉が出なかった秩父はそれを免れた。そうして,これだけの風格を今に伝えることができた。

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