夜になるとどんな風情を醸すんだろうか。飲むのを前提に来てみたいところだ。東京ではそんな街が次々にできてしまうから困る。一応,酒についてはドクターストップがかかっている身の上でもあるし。
ちなみに,隅田川との合流点はすぐそこだ。合流点の手前にある水門が邪魔をして,ここから合流点は見えないけれども。
● 小名木川を渡ってどこに行こうとしているかといえば,芭蕉記念館だ。隅田川の東側のこのエリアは,芭蕉のゆかりでもあり,伊能忠敬もすんでいたようであり,端倪すべからざる場所であるようなのだ。
ぼくは俳句をものすることもしないし,芭蕉の句を味わえる鑑賞力もないのだが(古池や蛙飛びこむ水の音 からぼくがイメージできる光景は極めて貧弱なものでしかない),だからといって芭蕉を素通りしていいものかどうか。
● 『おくのほそ道』は4年前に初めて読んだ。角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズの1冊。ひょっとすると,高校生のときに読んでいるかもしれないのだが,当時の自分はもはや自分ではない。
見たまんまを書いているのではなくて,芭蕉があえてフィクションを付与しているっぽい。紀行文には違いないのだろうけど,それだけにはとどまらないようだ。
驚くべき簡潔さ。ほんとに短い作品だ。何度も書き直しているんだろうか。いきなりこれができたわけではないのだろう。
入館料は200円。小さな建物だ。2階には和室の会議室もあって,地元の句会のメンバーが打合せをしているようだった。
芭蕉にまつわる諸々が展示されている。芭蕉の旅の軌跡をたどることもできるし,芭蕉の句を格調高い書体で読むこともできるのだが,すでに芭蕉についてある程度知っている人なら楽しめると思うけれど,そうじゃないとなかなか厳しいかも。
簡素なものだ。当時の草鞋を模したものを見るのは初めてだ。こんなもので歩いていたのか。ぼくらがこれで歩くと,親指と人指指の間の皮膚が切れて血が出るだろうな。路面から受ける衝撃を吸収するゴム底もないわけで,これじゃかなり疲れそうだよ。
これで江戸から東北を回って大垣まで歩いたのか,とうたた感慨に浸ったわけだ。ぼくらは相当に過保護というか,江戸時代の日本人から見たら重装備もいいところだよ。
ここに来るのは二度目だ。7月25日にも来ている。散歩するのにもいいところだと思う。
今なら新幹線でパパッと行けるし,治安の問題もない。追いはぎや泥棒とも無縁だ。江戸時代にはどの程度の重さがあったのだろうなぁ。
(追記 2020.10.04)
芭蕉庵史跡展望庭園。昨日は川辺から眺めただけの芭蕉像に会いに行った。視線の先には隅田川があるわけだが,その向こうに松島の月を見ていたんでしょうなぁ。千住まで舟で行って,そこから歩き始めるプランを考えていたんでしょう。
芭蕉46歳で「奥の細道」に出立し,5年後に亡くなっている。
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