2022年5月29日日曜日

2022.05.29 川崎がひどい言われようで

● 有隣堂が You Tube で発信している「有隣堂しか知らない世界」は,小咄を聞いているようで面白く,時間も短いので,だいたいは見ている。複数回見ているのもある。
 MCのブッコローが丸めようとしないところがいい。そういう方針で作っている。有隣堂の社員が話者として登場するのだが,業界や会社側に立つんじゃなくて,あなた個人を出してくださいという感じて作成しているようだ。
 とはいっても,カットされるところもけっこう大量にあるっぽいのだが。まぁ,そりゃそうだろうね,と。

● で,今回は「神奈川あるあるの世界」。有隣堂の社員ではなく,「神奈川のあるあるを題材にしたコミック『#神奈川に住んでるエルフ』の著者である,鎧田(よろいだ)氏が登場」。
 鎧田さん,若い(30代か)女性。職業は漫画家。

● この中で川崎がひどい言われようだ。ブッコローが,川崎は日本有数の工業都市で,駅周辺には商業施設もできて栄えているし,休日も大変賑わってますよねぇ,まぁ,だいぶ変わってきたんじゃないですかぁ,とジャブをかます。
 鎧田さんに至っては,初めて川崎に来たときは地面が汚いと感じたとか,東急東横線では英語の本を持った人を見かけたが,南武線で本を持っている人を見たことがないとか,川崎に住むのは嫌だ,ラッパーがいそうで怖いとか,じつにストレートだ。

● それにブッコローが追い打ちをかける。幸せな人生とは南武線にどれだけ乗らずにすむかだ,と言いだす。
 武蔵小杉や登戸など人口稠密なところを走るのに,短い6両編成。19~20時の乗車率は198%に達することもあるんだそうだ。
 南武線は川崎市民のための路線だろうから,川崎市民である以上,幸せな人生は送れない。

● 小気味いいほどにこき下ろしている。ぼくは田舎も田舎,栃木の在に住んでいる者だから,はっきり他人事だ。
 アハハハと笑ってみているのだが,川崎市民もそれを楽しんでいるのだろうな。その程度には成熟してますよ,と。
 有隣堂だってそう踏んでこの動画を流している。だって,川崎にも有隣堂の店舗はあるんだからね。

● ちなみに,川崎との接点はミューザだった。何度かミューザに行くうちに,ミューザの隣に新しいホテルができて,そのホテルに泊まるようになった。
 横浜は取り澄ました感じがするが,川崎はサッと入っていける。駅にしたって,横浜駅は巨大すぎる。川崎駅くらいでいいのだ。

● 横浜は誇り高き独立国だ。何に対して独立しているかというと東京に対してだが,横浜人は東京を一格下に見ているのではないかと思うことがある。
 川崎はそんなプライドは持っていない。そもそも,行政区域としての川崎市はあるが,川崎市民はいない。川崎在住の新宿区民,渋谷区民,品川区民がいるだけだ。川崎市を縦断するのは難しいのだ。麻生区の住民にしたら,川崎区に行くよりは新宿に出る方がよっぽど世話なしだ。
 これを別の言い方で表現すれば,川崎は開放的だ。外に対して開いている。閉じようがないのだ。そういうところは居心地がいい。

● かつては公害のイメージがあった。川崎病という言葉は,川崎にだいぶダメージを与えたろう。
 現在にいたるも,風俗の街,ドヤ街,酔っ払いが多い,治安が悪い・・・・・・と思っている人が多いのではないか。駅西側が再開発で垢抜けたといっても,そこはそれ,川崎だからねぇ,と。
 たしかに,川崎駅の東口を出ると,それっぽい印象を受ける。そして,そこが川崎の中心街なのだ。やっぱりと思ってしまうのだが,そういうエリアは大都市ならば必ずある。川崎の場合は,それが駅から見えるところにあるというだけだ。
 風俗街である堀之内や南町も旧東海道から見えてしまう。もうちょっと奥まったところにあるとイメージはかなり違ってくるはずだ。しかし,よその大都市も奥まったところにあるだけのことで,あるのは同じだ。

● ただ,それだけのことなので,さほどに構える必要はない。川崎の開放的な雑踏を楽しめばよいと思う。
 川崎に泊まって東京見物するのに何の支障もないし,川崎駅周辺には書店が多いことも知っておいた方がいいだろう。

2022年5月27日金曜日

2022.05.27 鎌倉半日旅行

● 川崎のホテルに泊まっている。明日,帰るのだけども,神奈川県にいるんだから鎌倉に行ってみようか。前回行ったのは5年ほども前だろうか。
 鶴岡八幡宮に参って,シラス丼を食べて,あとは何をしたのだったか,よく憶えていない。

大船駅
● 今日は午後から晴れた。気温も初夏という言い方では足りないほどに上がってきた。
 では行ってみるか。川崎から東海道線に乗って大船。堂々たる大規模駅の佇まい。駅っていうのは,こうでなきゃね。常磐線の松戸駅にも似た趣を感じたことを思い出した。

● 不意に脈絡のないことを言いたくなった。鎌倉女子大学っていうのがあるんですよね。で,みんな,鎌倉まで行っちゃうの。そうじゃなくて,鎌倉女子大学は大船にあるんですよ。大船駅で降りなきゃダメなの。
 大船にあるのに何で鎌倉女子大学なんだよと思いたくなってしまうけれども,大船は鎌倉市なんですよね,行政区域としては。

● 大船っていうと,交通(特に鉄道)の要衝。鉄道は東海道線の他に,横須賀線が通るし,根岸線の終着駅でもある。さらに,湘南モノレール(江ノ島線)もある。
 鎌倉はひとつ奥に引っ込んだところというイメージがあるのに対して,大船は表街道の結節点なので,大船が鎌倉市であることがどうもピンと来ないのが,神奈川県外に住む者の普通の感覚なのではないか。ぼくも最近まで,大船は独立した市なのだと思っていた。

鎌倉駅
● ともあれ,大船で横須賀線に乗り換えて,鎌倉に着いた。川崎からだと意外に遠いな。乗り換えがあるから,いっそうそう感じるのかもしれないけど。電車賃は570円。
 銭洗弁財天に行ってみようかとなった。鎌倉駅から片道1.2km。チンタラと歩いていった。修学旅行の女子中学生に追い越されてね。

● 着きましたよ。洞窟のようなところを入って行く。一度来たことがあるつもりでいたんだけど,まったく記憶がない。
 独特の境内。修験道と関係があるのかないのか。七福神社,下之水神宮。これらは比較的最近の製造ですかな。宇賀福神社という名称も古くからのものなのか,そうではないのか。

● これを維持していくのは大変だろう。何が大変かといえば,お金がかかるという意味で大変だ。といって,決まった参拝料を取っているわけではない。
 その代わり,銭を洗うためのザルを用意していて有料で使わせるし(使わなくてもいい。それ以前に,銭など洗わなくたって別にいいわけだ),御籤や何やらお金を任意で出してもらうための用意は豊富にある。

七福神社
● ここに来る途中に,お洒落なスタバがあったので,帰りはそこに寄って駅に戻るつもりでいたのだけど,鎌倉大仏はこちらという標識があって。せっかくだから行ってみるか,となって。
下之水神宮
 鎌倉だとわかって見るからか,風情ありげな道路を歩いてね。が,住宅街の側溝から人糞の臭いが漂ってるところがあってね。鎌倉でもこれがあるかと思いましたよ。
 そんなことをするのは,昔から住んでる人に決まっている。新参者はそういうことはしない
からな。

● ともあれ,高徳院に着いた。ここには間違いなく来ている。社会人になってからなんだけど,さて,どんな人と来たのだったか。
 雨ざらしの大仏様。形はピタリと決っている。大船観音と比べちゃいけないのだ。
 長きにわたって人々の祈りを受けとめてきたという事実がそうさせるのだろうけれども,もっと下世話な理由がある。大仏様の後ろに広がる山の曲線と緑が,借景として優れているからだ。

● ここも修学旅行の中学生たちがメインのお客さま。青春を絵に描いたような行動中の男女生徒がいてね。女子生徒が,大仏様を掌に載せるような構図なんだろうか,そういうポーズを作って,男子生徒が写真に収める。いい思い出になるだろう。
 幸せって,畢竟,こういうことの多寡で決まるんだよね。そんなもんなんだよ。人生なんて。高尚なものじゃないのさ。些細なエピソードの積み重ねでしょ。

● 大仏様がおわす奥に,観月堂なるお堂がある。観音像を収めてある。大仏様はこれを守っておられるのでは。
 が,ここまで来る人はいなさそうだ。中学生も大仏を見て満足するようだ。こちら側にも土産物屋があるんだけど,人が来ないんだから売れない道理だ。お気の毒。

● 一応,念のために申しあげれば,高徳院の本尊は大仏様ですからね。
13世紀に造られ,大仏殿も建てられたが,14世紀に損壊。おそらく,それ以後はずっと雨ざらしのまま衆生のために祈っておられる。雨ざらしの国宝はこれだけではあるまいか。
 意外なことに,鎌倉にある国宝はこの鎌倉大仏が唯一であるらしい。

● ここまで来れば,長谷寺。紫陽花には少し早いのだろうけど,その分,さほどに混んでもおらず,暑からず。
 なるほど,ここは女性の好みに沿うものが,紫陽花以外にもいくつもある。その1つが,海の見える風景。そこに休憩スペースがあるのも
グッド。今日のように天気が良くて野外にいるのが辛くない気温のときには,ベンチに座って風に愛撫してもらう快感が味わえる。

● 端正な聖観音像もアピールするかも。あと,胎道潜り的なのも,女性はわりと好きなんじゃないか,と。
 真言宗のお寺かと思ったのだが,そうではなく,浄土宗系
であるらしい。

● これだけ回れれば充分だ。帰りは長谷駅から江ノ電。けっこう充実の半日旅行でしたよ。午前中は雨と風で,これはホテルに閉じこもっているしかないなと思いましたが。
 まぁ,それでも全然かまわないんだけども,久しぶりの鎌倉,良かったです。

● ところで。
 頼朝はどうしてこんな狭い鎌倉に幕府を開いたんだろう。占い師に鎌倉がいいって言われたからじゃないの? そうなのかぁ。
 というわけで,頼朝は占い師に訊いて開府の地を鎌倉に決めたのだということに,わが家では決した。


2022年5月26日木曜日

2022.05.26 東京散歩:銀座~北千住~南千住~人形町~中目黒

● 今日も東京詣。銀座中央通り。人が戻ってきていると思うのだけど,暇人がこんなにいるという言い方も可。忙しければ,平日の昼間に銀座を歩いているはずがない。
 と,暇人筆頭のぼくが申しております。つーか,暇っていいものだよ。

● 今日もこれを見てきた。これを見るためだけに蔦屋書店に。
 胴体は扁平に,かつ角々とさせて,肉感を殺している。対して,千手の,特に何も持っていない指の,艶めかしさ。グイグイ迫ってきますよ。変態なのかな,俺。

● さて,昨日は東西線でフラフラした。今日は日比谷線でフラフラしようと思う。
 銀座から日比谷線に乗って,まずは北千住。東口を出れば,そこは東京電機大学のキャンパス。巷との境がないゆえに,コロナ禍の対応には苦慮したろう。
 が,学問の府は巷にあるべきだというのは間違っていないと思う。巷のためにではなく,学問の府のために。栄華の巷を低く見ながら学問ができるような牧歌的な時代は,とっくに終わっているだろうから。

● 北千住駅の日比谷線ホームは高いところにあって,都会的な風情。
 ハングル表記が今となっては寒々しい。日本人の対韓感情が極限まで悪化して久しいからさ。お前ら来なくてもいいよ,というのが大方の日本人の感覚でしょ。ぼくもそう。隣国だから仲良くしなくちゃいけないなどと思うのが間違いだ。
 とはいうものの,欧米諸国では外国人旅行者を無条件で受入れている。日本もそろそろインバウンドを再開しなきゃしようがない。よその国と足並みを揃えるというよりも,このままでは日本経済がドミノが倒れるように倒れてしまいかねない。
 中国人は中国の事情で来ることができないけれども,それ以外の国からはどんどん来てもらわないと。その中には韓国も含まれる。

● ひと駅乗って,南千住。山谷の最寄駅。雰囲気がちょっと独特。が,この空気,嫌いじゃないんですよ。
 もし東京に住むなら,このあたりは有力候補。家賃も安そうだし。日比谷線のほかにJR常磐線,つくばエクスプレスの駅もある。
 問題は,歩道橋を昇降しないと,明治通り側に出れないこと。駅のホームから直接,歩道橋に出してくれれば,移動が少なくてすむんだが,そうは問屋が卸してくれない。

● 泪橋交差点。左に行けば白鬚橋から玉ノ井,真っ直ぐ進めば浅草,吉原は右に曲がるとやや近道。ここから引返せば千住宿(日光街道)。
 風情がまとまって存在する。正確には,それぞれの風情の結節点に山谷はある。
 日比谷線が走っているんだから都心にはスッと出ることができるし,JR常磐線とつくばエクスプレスも通っている。交通の便はかなりいいのだ。

● コロナ以前は外国人の旅行者が大勢いた。日本の安宿はカプセルホテルだが,女性が泊まれるカプセルホテルは少ない。カップルで来ている外国人バックパッカーが目を付けたのが山谷で,彼ら彼女らに目を付けたのが山谷だった。
 かつての木賃宿を改造して彼らに提供した。1泊2千円で泊まれる。彼らはレンタサイクルを漕いで,朝から晩まで東京を満喫するのだから,宿は寝れれば充分。山谷の安宿とはいえ,清潔さはジャパン・クォリティーなのだし。

● 駅前には芭蕉像。ここで隅田川を上がって,日光道中を歩き出したわけだ。
 路程を正確に書き留めることになど囚われずに,簡素で解釈の余地が大いにある,日本人好みの紀行文学の傑作が生まれたわけですよ。

● 人形町。すっかり馴染んだ気になっているが,ぼくの片思いでしょ。
 短い期間だけれども,ここに吉原があった。何か具体的なものが残っているわけではないが,元吉原の気配を無理にでも感じようとする楽しみがある。

● 日比谷線はここまでが下町エリア。この先はセレブエリアに乗入れて行く。したがって,この先に降りたい駅はないので,中目黒まで来てしまった。
 中目黒も多面性を持った街だ。駅前通りは下町っぽい。立食いそば屋やラーメン屋が並んでいる。が,目黒川を渡ると,表情が一変する。

メトロ24時間券
● 目黒川を渡ると東京音大がある。東京音大って,音大の中でもお嬢さん度,お坊ちゃん度が一番高いイメージなんですよね。近寄りがたいほどだ。
 ちなみに,最も庶民的なのが武蔵野音大。あくまでもイメージですけどね。

● その目黒川も不思議な川で,三面張の典型的な都市型河川なのに,風情があるんですよねぇ。樹木のトンネルを作ってて。この辺だけなんですかねぇ。
 品川に行くと,目黒川が北品川と南品川を分ける境界になっている。

2022年5月25日水曜日

2022.05.25 東京散歩:早稲田~神楽坂~門前仲町~銀座

メトロ24時間券
● 23日から28日まで5泊6日で川崎に来ている。もちろん,予定があって来ているのではない。やるべきことなど何もない。家にいるときもそうなんだけどさ。
 この状態が精神不安定の元になる人もいるやに聞くのだが,ぼくは生来の怠け者なのだろう,こんないい状態を手放してたまるかと思っている。

● ともあれ。せっかく川崎に泊まっているのに,東京くんだりまでやって来た。メトロ東西線上を移動しようと思う。
 まず,早稲田に。戸山公園の箱根山登頂(?)に挑もうと思う。東京特別区内では最高峰らしいので。めでたく最高峰の登頂に成功した。
 ただし,箱根山は人工的な築山であるらしい。自然の山では港区の愛宕山が最高峰。こちらは去年,登頂したんだけど,愛宕山の方が登り甲斐がある。麓の標高の違いでしょうな。

● でも,戸山公園,けっこうワイルド。新宿区にもこういう場所があるんだねぇ。ちなみに,新宿御苑には行ったことがない。
 日本って基本的に高温多雨だもんね。放っておけば雑草がはびこり,さらに放っておけば灌木が生えてきて,そのままにしておけば雑木林になるんでしょ。豊かな土地といえる。その恩恵をぼくらは受けているのだが,こうした庭園や公園は手入れが大変だ。欧州の幾何学的な構成の公園を真似てみても,基本,どうもうまくいかない。汚くなってしまう。手入れが追いつかないからだが,直線を持ち込むのは,日本の場合はそもそもが無理なのではないか。

● 東西線でひと駅,神楽坂。ここに来るのは二度目。早稲田には学生街の空気が戻って来ているが,神楽坂は対照的に年寄りの聖地。
 ということもなく,まぁ普通でした。どこに行っても年寄りが多いのは現代日本の特徴だから。

● 昼時で行列ができている店が1つあった。「龍朋」という中華屋。
 ひとつ脇に入るとお屋敷街。が,お屋敷を見てもさほどに面白いものでもない。

● 赤城神社。長い時間,手を合わせている女性がいた。マサカという坂に出逢ってしまったのか,業を深くせざるを得ない何かがあったのか。単純に信心深い人なのか。
 神社内神社の螢雪天神もあって,こちらは自ら受験生に訴求している。食事や喫茶ができる施設もある。

● 赤城神社の隣に「小諸そば」があって,繁盛してた。宜なるかな。
 先に見た「龍朋」は,どちらかといえばよそから来た人たちが並んでいるふうだったのに対して,とこの「小諸そば」はここで働いている勤め人が食べに来ている。勤め人が昼食に求めるものは,安くて早いことだ。味は不味いのは困るが,そこそこ旨けりゃいい。そうそう旨さの追求ばかりしているわけにはいかないのだ。

● 続いて,門前仲町。古石場文化センターに小津安二郎を紹介しているコーナーがあると聞いたので。少し迷いながら到着。
 深川には何度も来ている。深川不動尊だったり,江戸資料館だったり,伊能忠敬だったり,松尾芭蕉だったりしたわけだが,小津安二郎も深川ゆかりでしたか。
 小津映画は,最近もDVDを8本見た。どれが1本ということになれば「東京物語」になるのだろうが,ぼくは「晩春」が好きだ。

● 小津家って深川の大地主だったんですねぇ。小津橋まである。橋の名前になっているのは,小津安二郎が世界に認められる前かららしいのだ。
 でも,わかる気がする。新興文化は富裕層から才能が出るというのは,普通のことかな,と。

● 右の写真は小津が子供の頃に遊んだ公園らしいのだが,当然,そんな面影は
残っていない。ここは住むとこじゃないんだよ,というノーティスもある。ここに住んでる方がいらっしゃるのかもしれない。
● 清澄通りに架かる歩道橋のたもとに小津安二郎生誕の地の標識板がある。
 深川が今の深川になったのはそんなに古いことではなく,明治の頃は風光明媚な別荘地だったらしい。その趣を湛えていた頃に小津は生まれたんでしょう。

● なんでもないことは流行に従う
  重大なことは道徳に従う
  芸術のことは自分に従う

 カッコ良すぎでしょうよ,こんなの。
 小津は60歳で亡くなっている。ぼくなんかその年齢をいくつか越えてしまっているのに,この体たらくだからねぇ。ションボリしちゃいますね。そうでしょ,ご同輩。

 小津安二郎生誕の地からちょっと歩くと,芭蕉の採荼庵跡が。こんなところだったのかという驚き。数ヶ月前に両国からここまで歩いたことがあるのだ。まさにこれを見ようと思って。
 探すのに苦労した記憶があってね。こんなわかりやすいところにあったのか,っていうね。
 ちなみに,採荼庵跡の裏側はこんな感じ。もうちょっと何とかならなかったのか。ならなかったんでしょうな。

● 日本橋で銀座線に乗り換えた。で,銀座で下車。G-SIXの蔦屋書店で「暮らしに寄りそう仏たち」を開催中。国宝級の著名仏のミニチュアと,ハッキリ女性の仏の仏画。
 これなんか,ゾクッとするほどの色気があって。とんでもありませんよ。オッパイがなくても色気や艶は醸せるという虚構の世界。いや,これ,虚構じゃないよね。

● 新橋駅前SL広場の小諸そば。2枚盛りイカ天付き,500円。
 神楽坂の小諸そばは昼食時で満席だったが,日がだいぶ西に傾く時刻だと入りやすくなる。やっぱ,ぼくにはこういうのが合ってるわい。