● 川崎のホテルに泊まっている。明日,帰るのだけども,神奈川県にいるんだから鎌倉に行ってみようか。前回行ったのは5年ほども前だろうか。
鶴岡八幡宮に参って,シラス丼を食べて,あとは何をしたのだったか,よく憶えていない。
では行ってみるか。川崎から東海道線に乗って大船。堂々たる大規模駅の佇まい。駅っていうのは,こうでなきゃね。常磐線の松戸駅にも似た趣を感じたことを思い出した。
● 不意に脈絡のないことを言いたくなった。鎌倉女子大学っていうのがあるんですよね。で,みんな,鎌倉まで行っちゃうの。そうじゃなくて,鎌倉女子大学は大船にあるんですよ。大船駅で降りなきゃダメなの。
大船にあるのに何で鎌倉女子大学なんだよと思いたくなってしまうけれども,大船は鎌倉市なんですよね,行政区域としては。
● 大船っていうと,交通(特に鉄道)の要衝。鉄道は東海道線の他に,横須賀線が通るし,根岸線の終着駅でもある。さらに,湘南モノレール(江ノ島線)もある。
鎌倉はひとつ奥に引っ込んだところというイメージがあるのに対して,大船は表街道の結節点なので,大船が鎌倉市であることがどうもピンと来ないのが,神奈川県外に住む者の普通の感覚なのではないか。ぼくも最近まで,大船は独立した市なのだと思っていた。
● 着きましたよ。洞窟のようなところを入って行く。一度来たことがあるつもりでいたんだけど,まったく記憶がない。
雨ざらしの大仏様。形はピタリと決っている。大船観音と比べちゃいけないのだ。
長きにわたって人々の祈りを受けとめてきたという事実がそうさせるのだろうけれども,もっと下世話な理由がある。大仏様の後ろに広がる山の曲線と緑が,借景として優れているからだ。
● ここも修学旅行の中学生たちがメインのお客さま。青春を絵に描いたような行動中の男女生徒がいてね。女子生徒が,大仏様を掌に載せるような構図なんだろうか,そういうポーズを作って,男子生徒が写真に収める。いい思い出になるだろう。
幸せって,畢竟,こういうことの多寡で決まるんだよね。そんなもんなんだよ。人生なんて。高尚なものじゃないのさ。些細なエピソードの積み重ねでしょ。
が,ここまで来る人はいなさそうだ。中学生も大仏を見て満足するようだ。こちら側にも土産物屋があるんだけど,人が来ないんだから売れない道理だ。お気の毒。
13世紀に造られ,大仏殿も建てられたが,14世紀に損壊。おそらく,それ以後はずっと雨ざらしのまま衆生のために祈っておられる。雨ざらしの国宝はこれだけではあるまいか。
意外なことに,鎌倉にある国宝はこの鎌倉大仏が唯一であるらしい。
なるほど,ここは女性の好みに沿うものが,紫陽花以外にもいくつもある。その1つが,海の見える風景。そこに休憩スペースがあるのもグッド。今日のように天気が良くて野外にいるのが辛くない気温のときには,ベンチに座って風に愛撫してもらう快感が味わえる。
● 端正な聖観音像もアピールするかも。あと,胎道潜り的なのも,女性はわりと好きなんじゃないか,と。
● これだけ回れれば充分だ。帰りは長谷駅から江ノ電。けっこう充実の半日旅行でしたよ。午前中は雨と風で,これはホテルに閉じこもっているしかないなと思いましたが。
まぁ,それでも全然かまわないんだけども,久しぶりの鎌倉,良かったです。
頼朝はどうしてこんな狭い鎌倉に幕府を開いたんだろう。占い師に鎌倉がいいって言われたからじゃないの? そうなのかぁ。
というわけで,頼朝は占い師に訊いて開府の地を鎌倉に決めたのだということに,わが家では決した。
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