● 東京都を対象から外して,それ以外は予定どおり実施することになったらしい。国の施策だからといって,全国一律にやらなければならないと決まったものではない。対象エリアを限定した法律を作ることもできるのだし,東京を外すことに法的な問題はない。
問題は,そういう形式的なことではなくて,東京を外すことの是非だ。
● GoTo事業は何のためにやるのか。観光事業者を救済するためにカンフルを打つためだろう。
日本で最大の観光地はどこかといえば,京都でも沖縄でもなく,圧倒的に東京ではないか。国内最大の観光地を救済から外すのは単純に解せない。
感染者増大が著しいから,は理由にならない。逆だ。そういうことなら要救済度が高いということだ。感染者増大が著しい地域で観光業に従事しているのだから,お客の減少は他地域より著しくなると考えるのが道理というものだ。
● 国が税金を投入してやる以上,東京は裕福だからという理由で外していいとはなるまい。唯一,国が東京除外を決めたことを正当化できるのは,都知事が都民に都外に出るのは控えるよう要請しているからそれを尊重したまでだ,というものだ。
が,だとすると,GoTo事業の実施延期を求めていた知事は多いわけだから,なぜそれは尊重しなかったのかということになる。
● 国と自治体が対立したときに,自治体の方が正しかったということは,ぼくが知る範囲では一度もない。自治体の言うとおりにしていたら,全体最適から遠ざかるばかりだ。国は国の最適を考えて手を打てばいいので,極論すれば自治体の要望など無視すればいい。
そんなことは百も承知,二百も合点だろうから,都知事が何を言っているかには関係なく,国としてどうすればいいのかを考えて,その結果がこうなったということなのだろう。東京を除外したのは都知事の意向とは無関係に,そうするのがいいからそうしたのですよ,と。
● 国の人口の1割を占める東京都からの来訪者には“GoTo”を適用しない。東京都で観光業を営む事業者には“GoTo”の恩恵を与えない。
これでコロナ禍に苦しむ事業者を救済できるのか。いや,そもそも“GoTo”で救えるとは限らないとしても,その効果が大きく減殺されてしまうのではないか。
東京を外すくらいなら,外せるくらいなら,全国的に実施を先送りすべきだったろう。
● 結局,コロナ観とでも呼ぶべきものが態度を決めさせる。正しく怖れよと言われるけれども,今は正しく怖れているのだろうかという問題だ。
その前提としてコロナとはこういうもので,こういう対策を取っていれば防げる(あるいは,防げない)というのが,国民,市民の共通了解事項になっていなければならないのだが,現状ではどうもそうなっていない。
専門家,非専門家がいろんなことを言っている。いい放題に近い状況かと思う。ぼくはテレビは見ないのだけれども,コロナを飯の種にしている人がいて,テレビ局も彼や彼女を都合よく使っているようだ。マスメディアのお祭り大好き(何事も大事にせずんばやまず)体質も,事態を見えにくくしているだろう。
● 検査はした方がいいのか,しても仕方がないのか。それすら論はまとまっていない。
三密と言われるけれども,3つのうちの2つまでなら感染はしないのか,1つでもあればまずいのか。
ウィルスにマスクは効果があるのかないのか。三密のうち2つまでならあってもかまわないなら,基本的にマスクは必要とされないはずだろう。
● そうしたことが皆目ハッキリしないから,いたずらに怖れているのがひょっとすると今の状況かもしれない。正しい情報が行き渡れば,給付金だのGoToキャンペーンだのと,膨大な税金を使わなくてもすんだかもしれない。
すまなかったかもしれないが,その場合であってもカッチリと情報を掴めていれば,こちらの腹の座り方が違ってくる。
● しかし,まぁ,こういう重大な局面ほど水と油が一緒になって情報経路を埋めることになるものなのだろう。東日本大震災のときのネット状況も同じだったのではないか。
心ある専門家は黙っているわけではない。一生懸命に情報を出している。が,ノイズの裡に埋もれてしまう。そういうものなのだろうと考えるほかはない。
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