2020年8月15日土曜日

2020.08.15 宇都宮にも色街のなごり

● 東武線で東京に行こうと思う。となると,JR宇都宮駅から東武宇都宮駅まで移動しなければならない。大通りを行くのが最も紛れがないのだが,最もつまらないルートでもある。
 裏通りというのか路地というのか,そうしたところを歩いて行きたい。ま,何度もそうしているのだけども,まだ歩いていないところがあるはずだ。

● そうして歩いて行ったら,稲荷社を祀っているところがあった。小ぶりでなかなかいいたたずまいの稲荷社だ。地域の有力者か年寄りかは知らないが,こまめに掃除をしているのだろう。長く手をかけてこないと,こういうたたずまいにはならないものだ。
 稲荷社を祀っているというのは,自営で商売をしている人が多いか,少なくともかつては多かったことの証明ではないかとも思う。

● 質屋がある。質屋とは何かといえば,最も原初的といっていい金融業だ。担保を取って金を融通することを業とする者だ。したがって,担保価値がわかる者でなければならない。
 昔は担保になるものがたくさんあったわけではなかろうから,その知識を得るのはさほどに難しいことではなかったのかもね。
 その質屋が今に至るも残っているのは,この一帯には昔ながらの生業(なりわい)が残っているということであろうか。

● 2階に格子の手すりがついた木造の建物も見える。旅館だったのかもしれないし,宴会主体の酒類提供業者だったかもしれないが,提供していたのはおそらく酒だけではなかったろうと思える風情の建物だ。
 ひょっとすると娼妓が常駐していたのかもしれないと,想像を逞しくしてみる。江戸時代まで遡る必要はない。大正あたりから昭和30年くらいまでの賑わいはどんなものだったのかと映像を作ってみればいいだろう。

● これは現役の旅館なんだろうか。だとすれば,どんな人が泊まっているんだろうか。商人宿という言葉が昔あったが,今はビジネスホテルが取って代わっている。
 こうした旅館がそのまま営業しているとすれば,すこぶる珍しい例になるのではないか。が,おそらくもう営業はしていないのではないかと思う。

● この旅館の先には酒場が軒を連ねていたのだろう。それらの多くもすでに廃業しているんだろうかな。
 が,殷賑を保っていた時代,このあたりをそぞろ歩く男や女のざわめきが聞こえてくるようではないか。

● これは三角地の角に建つ建物だ。かつてはカフェでもあったろうか。
 いや,新しい建物かもしれないのだが,女給がいたカフェだと措定すると何だか楽しくなってくるではないか。

● 写真の右側には釜川が流れている。このあたり,釜川のほとりなのだ。いよいよ,条件は揃ってきた。このあたりはかつて色街だったところなのじゃないか。
 これほどにそのなごりをとどめているのは,かなり珍しいのではあるまいか。また歩いてみたいものだ。

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