2021年3月5日金曜日

2021.03.05 ビバ! インターネット

● この時期,とにかく群れてはいけないのだから,群れるのが嫌いな人にとっては追い風だ。
 ぼくは昨年4月から完全引退してずっと家にいる生活になったので,勤勉な人と同列に並べるのはアレなんだけど,コロナを逆風だと感じたことはない。大手を振って群れない生活をできるんだから,時代が自分に味方していると思っている。

● 会社や役所でも歓迎会だの忘年会だのという宴会がなくなった。そんなことのために幹事をやらされる人がいたのだからお気の毒にもほどがあるというものだが,それももはや遠い昔のことのように思えるのではないか。
 喜んでいるのは若い人たちだけではない。部課長もホッとしているだろう。部下と飲みたくて飲んでたわけじゃない。半ばは責任感からだ。若い人の話を聞いてやれと言われ,しかしその方法がわからず,昔からある飲み会に流れていただけのことだ。

● 昨年は何も困っていないのに10万円ももらえたり,東京のホテルにあり得ないほどの安い値段で泊まれたりと,コロナのおかげでいいことだらけだった。
 10万円はもうないらしいが(なくていいと思う),GoToトラベルは黄金週間前には再開されるだろう。払った税金を取り戻すつもりで,どんどん活用するのがよい。しかも,それが国策に協力することになるのだから,誰に何と言われようと,後ろめたく思う必要などない。

● ともあれ,群れない生活ができるのはコロナの追い風だ。が,もうひとつ,ある。インターネットだ。
 今や,引退後のQOLを決める第1要因はインターネットだ。インターネットを味方につけるか,敵に回すか,敵でも味方でもなく関わりのない存在にするかで,QOLが大きく変わってくる。

● 隣近所との付き合いを大事にしろ,自治会活動に参加することで地域とのつながりを保つことが重要だ,と,つい最近まで言われていた。
 が,この1年間はその自治会活動も事実上の休眠状態になった。その結果,困ったという人はおそらく1人もいないのではないか。自治会など要らないものだということが,誰の目にも明らかになったと言っていいだろう。
 そういうものの比重は大きく低下した。リアルよりもネットの方が,個人の生活に及ぼす影響が大きい。特に,引退後のロートル世代にとってはそうだ。

● インターネットは全世紀末に登場したもので,その以前にはなかった。しかし,今では個人生活のインフラで最も重要なものがインターネットだと言っていいだろう。
 回線が太く速くなって,動画や音声がリアルと同様に扱えるようになった。エンタメの多くはネットで満たせるようになったし,いわゆるコミュニケーションもネットで行えるようになった。
 リアルに比べると,特に個対個のコミュニケーションには限界があるが,限界を取り払って野放図にコミュニケーションするなんてのはあり得ないわけで,じつは限界があるくらいがちょうどいい。

● そこにコロナだ。群れること,移動すること,喋ることが忌避されるわけだから,その欠落を補うものとしてネットの存在感は格段に大きくなった。リモートワークもインターネットがあればこそ成立する。
 そのリモートワークをやらざるを得なくなっている現役世代の人たちは,ZOOMを使いこなして,その予想以上の効用に感嘆する局面が何度もあったのではないか。

● ぼくらロートルはそういうことはない。ZOOMでオンライン飲み会だとかオンライン雑談会をやろうとすればやれるのだろうけれども,群れることが嫌いだった人間があえてそんなことをするはずもないし,声がかかるわけもない。というか,群れることが嫌いな人の知り合いに,そんなことをしようと言いだすヤツはいない。
 だから,ネットの使い方はコロナ以前と変わるところはない。変わらない使い方でも,これがなかったら引退後の家にいる生活にこれほどスムーズに移行できたかどうか。

● 最近の定年組は,現役時代に仕事でパソコンを使っていた。メールもネットも使っていた。
 10年前に辞めていった人たちに比べれば,圧倒的にITリテラシーは高い。ブログにもSNSにも抵抗はないだろう。そうしたものに対して,自分の方から壁を造ってしまうという愚は犯さないはずだ。
 でれば,コロナ禍の今も,家の中にあって,さほどの不自由感もなく,閉じ込められたという閉塞感も持つことなく,ストレスフリーで日々を回せているのではないか。

● というわけで,自分が引退するときにインターネットがあってくれたことが,しみじみとありがたい。ビバ! インターネット!!

0 件のコメント:

コメントを投稿