2022年7月28日木曜日

2022.07.28 東京散歩:東京駅~銀座~新橋

● 東京駅から新橋まで歩いた。主には文具店を覗いて行ったのだが,それは別にまとめてあるので,ここではそれ以外のアレやコレを。
 東京駅前の KITTE。今日から香港ミニチュア展を開催するようだ。ぼくが行ったときにはプレス招待中。一般人は入れなかった(16時から)。
 もちろん,中国政府が噛んだ香港のPR企画だ。乗ってしまうんだな,こういうものに。

● これを見るためだけにもう一度 KITTE に来るかといえば,当然,ノー。今の香港に行ってみたいとは思わないからで,なぜ行ってみたいと思わないかというと,第1にかつての香港が持っていた魅力を現在の香港は保持していないからだ。
 かつての香港の魅力はといえば,
1 買物天国。ブランド品が格安に買えた(多くは偽物だったらしいのだが)。
2 食の都 広東料理の本場。飲茶,朝のお粥や麺。今の経営者になる前の「糖朝」も魅力的だった。
3 都市景観 特に尖沙咀から見る香港島。
4 人種の坩堝 白・黒・黄色・褐色と,いろんな人が歩いている。どんな異物も呑み込むような。
5 活気 人の歩く速度がすごい。東京は何とゆっくりなんだろう。

 このうち,現在でも残っているのは2と3だけになった。物価は日本以上に高くなった。平均的日本人が香港で暮らすのは無理だと思う。
 街を歩いているのは,黄色と褐色だけになった。返還後,まず白人がいなくなり,次いで黒人がいなくなった。人が歩く速さも普通になった。いまはたぶん東京と変わらないと思う。
 そこに今回の騒乱がったわけだ。今の香港は中国そのもので,わざわざ中国に行きたいと思うかという話。

● そこに来て,ウクライナ動乱を機に発生した円安だ。最近,かなり円が戻してきているが,現状ではまだ国内旅行の方が得られる満足が大きいのではないか。いや,それ以前に日本人の所得水準が応対的に大きく下がってしまったために,アジアを含む外国に出ると,面白いようにお金が飛んでいく実感に見舞われるだけのような気がする。
 吉野家の牛丼が400円やそこらで食べられるのは日本くらいのものだろう。貧乏な日本人がなけなしのお金を持って外国に行くのは,かつての東南アジアや韓国の人が,貯金をはたいて日本に来るようなものだ。やっても仕方がない。国内で400円の牛丼を食べている方が平和だろうよ。
 ブランド品のからくりにもぼくらは気づいているはずで,ブランドに群がるみっともなさもぼくらの先人がたっぷりやってくれているから,今さら外国にブランド品を買うために外国に行きたいということにもならないだろうしね。

● 灼熱地獄の銀座並木通り。それでもほとんどの人がマスクしてる。
 それなのに,今日(28日)の都内の感染者は40,406人だそうですよ。マスクなんて効果ないよと事実が教えてくれてますよ。マスク,外しませんか,皆さん。これでマスクって,コントを超えて茶番になっちゃうよ。
 銀座はちょっと路地に入るとこんな神社があったりする。ちゃんとお世話をしている人がいる。キレイになっているから。

● 新橋駅のすぐそばのビル。これって前からあったんだっけ,根室食堂。一献,傾けたくなりますな。
 根室って,ぼくは1回しか行ったことがない。ビジネスホテルに泊まって,街でサンマの刺身を食べた。冬だったと思う。
 サンマの刺身って今はわりと普通にあるようでもあるけれど,サンマを刺身で食べたのはそのときが初めてだった。

● 今日は昼食をたべてしまった。新橋駅前の「小諸そば」で2枚盛りイカ天付き。値段は変わらずの500円。大丈夫なのかと心配になる。もちろん,ありがたいんだけどさ。

● 旧新橋停車場に行ってみた。鉄道開業150年記念の展示。当時の様子を描いた絵などを展示している。
 新橋~横浜の鉄道工事で難所が2つあったらしい。1つは品川の海上築堤工事。もう1つは六郷川橋梁。すべて木橋だったのだが,六郷川橋梁は長さが最長。明治4年に完成したが,明治10年に鉄橋に替えられた。
 今は当たり前に乗っているが,当時の陸蒸気は庶民が乗れるものじゃなかったろう。駅は社交場でもあったんじゃないか。

● しかし,それがわずか150年前の出来事だったとは。150年をわずかと感じるのは,長く生きてしまった老人ならではかもしれんがね。

2022年7月27日水曜日

2022.07.27 川崎浮世絵ギャラリー 月岡芳年「新形三十六怪撰」後期

● 川崎浮世絵ギャラリー。芳年新形三十六怪撰の後期展示が16日から始まっている。
 今回は美人画も。美人の顔がみな同じ。この様式美(?)はどこから来ているんだろうか。
 描かれている美人は遊女か芸者。これはわかる。当時,絵になるのは遊女か芸者しかいなかったろうから。

● この頃は日本画が揺るぎなく確立していたのだろうが,そこから透けて見える中国。これはどうしようもないんでしょうねぇ。中国なしで,今の日本文化はなかったでしょうからね。
 日本だけじゃなくて,朝鮮も越南も暹羅も,周辺国はみな同じでしょ。こぞって中国嫌いなのも共通している。韓国も国民感情は反中国じゃないかと思う。

● このギャラリーに那珂川町の馬頭広重美術館の展示ポスターが張ってあった。「二つの百人一首」展。今月いっぱいの展示。
 日本画とか浮世絵とかを専ら企画展示する美術館の協議会のようなものがあるのだろうか。あるんでしょうね。が,川崎の人がこのポスターを見て,那珂川町に行ってみようかと思うかといえば,たぶん,それはない。
 それでもポスターが貼ってありました,ということです。

● 川崎に来ているときには,こうして「浮世絵ギャラリー」に来てたりするんだけども,地元にいるときに馬頭広重美術館に展示替えの度に行っているかといえば,ぜんぜん行ってない。まだ一度しか行ったことがないんだから。
 普段は美術館なんかに行かないくせに,パリに行くとルーブルやオルセーに行かないと気がすまない観光客のようなものか,オレは。



2022年7月21日木曜日

2022.07.21 横浜散歩:関内~横浜駅

● 横浜の文具店を色々と回ったので,勢い,横浜を歩くことになった。
まず,関内からこの地下道に入って伊勢佐木町に行った。
 この地下道にはピアノが置かれている。このピアノを使って,ユーチューバーの演奏家がけっこう動画を上げている。
 たとえば,これこれ(ぼくはどちらのチャンネルも好きで良く見ているのだが)。

● しかし,この地下道ってそんなに垢抜けたところじゃなかったんですね。地下街の一部はホームレス諸兄の無料ホテルになっている。
 ぼくが行ったのはだいぶ日が高くなってからだったけれど,多くの諸兄がまだグッスリとお休み中だった。長くホテルとして使うつもりなら,娑婆の活動態様に合わせた方がいいのではないですか,諸兄。昼になっても寝てるのは反発を招きやすいのでは。

● なぁ,爺さんよ。そんなことができるくらいだったらホームレスなんかやっちゃいねーよ。そうだろ,わかるだろ,なぁ。娑婆の決まりがイヤでホームレスになったんだからよ。
 と返されて,終わりですかね。

● 関内から桜木町へは地上を歩くしかないんでしょ。二度目の梅雨も明けたか。頭のテッペンに穴が空きそうな強烈な太陽光が降り注ぐ。

● スキあらば,地下に潜りたい。モグラにならうのが正解だ。
 ぴおシティあるダイソーの広告。そうですか,頑張ってください。これからもお世話になりますよ,ダイソーさん。

● みなとみらいからグランモール公園を歩いて横浜駅まで。涼しさを演出するには水が一番でしょうねぇ。流れのある水は,少なくとも涼しさを演出はしてくれる。
 少し迷ってしまった(行き過ぎた)。横浜には何度も来ているが,横浜駅で降りたことはない。桜木町か関内だ。横浜駅の周辺に何があるのか,全くわかっていない。そんなことも迷った理由の1つだろう。

2022年7月13日水曜日

2022.07.13 税金で旅行費用を補填してもらって 2

● 現在施行中の県民旅割というのは,宿泊料が20,000円だったら,それが半額の10,000円になり,さらに1人あたり2,000円(2人で停まっていれば4,000円)の小遣いをくれるというものだ(現金と違って,どこででも遣えるというものではないけど)。
 しかも,あとえばJRホテルメンバーズに登録して,JR系列のホテルに泊まると,最初の20,000円を基準にポイントが付く。
 今,泊まらないで,いつ泊まるんだ? って話だねぇ。コロナ様々だねぇ。という不謹慎な感想を持ってしまうわけだ。今のうちに一生分,泊まってやるぞ。

● その県民旅割は7月14日までの予定だった。ところが,また延長された。8月末日まで。拙いなぁ。行っちゃうだろうなぁ。
 子供たちが夏休みになったらロートルは遠慮しなきゃってのもあるし,いくら安いとは言っても老後の生活資金の先食いを続けることになる。ホテル泊がたて込むと,ロートルなりのルーティンが崩れたままになってしまう。
 それでも,目先の快適さに喜んで負けちゃうんだよ。ここまで酷暑になると,軽井沢や那須は避暑地の役割を果たさない。ホテルに逃げ込むに限る。

● 旅割が延長されたということは,全国版のGoToは実施されないってこと。
 関東在のぼくらは,東京を除く関東(+山梨)に泊まらないと旅割の恩恵がないのだが,率直に申して,首都圏以外に行きたいとは思わない。神奈川と千葉が入っているので,東京が入っていないことの弱点はカバーできる。つまり,これで何の問題もない。

● が,福島や長野に住んでる人の中にも首都圏を訪ねたい人はたくさんいるだろう。そうした需要を見込んで首都圏には受皿ができている。
 特に,夏休みに子供にかこつけてTDRに行きたい人には,関東ブロックかそれ以外かで大きな差が出ちゃう。とりわけ,静岡県民は気の毒だ。

● というわけで,ブロック制ははっきり軛だ。全国一区のGoToが望ましい。
 誰もがそう思いながら実施できないのは,できない理由があってのこと。今回は感染拡大のためGoTo開始を延期し,その代わり,県民割を8月末日まで延長したということなのだが,全国版のGoToが刺激効果はあるだろう。

● 都市部のホテルで家でやっていることをする。特別なことをやろうとしない。だったら家にいればいいじゃん,と言われたい。
 旅するように暮らし,暮らすように旅をする,という格言があるらしい。力点は前半にあるが,この場合の旅は移動と言い換えていいだろう。ハードさを内包しない移動。
 要するに,中途半端な向上心なんて捨てちゃおうよ,ってことね。そのために老後資金の先食いを続けちゃうんだよねぇ。

2022年7月12日火曜日

2022.07.12 新浦安を散歩

● 現時点で新浦安は駅の周辺100メートルくらいしか知らない。まさに駅前を点として知っているに過ぎない。せっかく新浦安に泊まっているのだから,せめて点から短くても線にしてみよう。
 というわけで,駅から海が見えるところまで歩いてみた。シンボルロードと呼ばれる駅から伸びている道路をまっすぐ行くだけだけどね。

明海大学
● 駅前のイオンを過ぎると明海(メイカイ)大学。このあたりは明海(アケミ)1丁目。
 明海大学の実質的設立は1988年。国内唯一の不動産学部がある。1992年にできた。すでにバブルの破綻が明らかだった頃のはずだが,設立準備を進めているときには,バブルがはじけた後に土地神話が崩壊するとは誰も思っていなかったろう。
 難関資格の1つである不動産鑑定士は仕事がなくなっていると聞く。学生は集まっているんだろうかと気になるところだが,少なくとも定員割れは起こしていないようだ。

● 首都圏の私立大学としてはかなり広い。埋立地で広い土地を確保できたからだとは容易に想像できるが,グランドも含めて施設は整っているように見える。
 道路とフラットで,キャンパスを塀で囲んだりしていない。東大に代表されるが,大学ってのは刑務所と同じで塀で囲まれているものだ,と思っているのは少し古いのかもしれない。
 街に対して開放されている造りにするのが,けっこう前から当たり前になっているっぽい。北千住の東京電機大学がその代表だが,他にもいくつか思いつく。

● 学内食堂で生ビールも飲めるらしい。そういう時代になったのかとも思うのだが,学内で飲酒っていうのはどうなのよ。
 ありなんですかねぇ。ビールを出す時間は夕方以降とかに制限されてはいるんだろうけどね。

● 道路を挟んだ対面には,ホテルエミオン東京ベイ。ここまで来て泊まる人がいるのかと思ったのだが,それはぼくが歩いているからだ。
 東京ディズニーリゾート・パートナーホテルになっている。バス送迎すれば舞浜はすぐそこだ。
 後刻,相方から,私も泊まったことがあるんだよと聞いた。昔,幼かった息子とディズニーランドに来て,帰るつもりがもう1泊してこうかという気分になって,このホテルに泊まったんだよ,と。
 アップグレードでかなりいい部屋に泊まれたという。温泉があるらしい。

● ここから海まではけっこうある。途中,多いのは高層アパートだ。集合住宅群だ。将来の幽霊屋敷を膨大に作ってしまったんじゃないか。大丈夫なのか。
 これが定番ではあるのだが,人口は減少期に入っているんだからね。頑張って子どもを4人産む夫婦がポコポコ出たくらいでどうにかなる問題じゃないからね。

● 海が近づくと再びホテルが現れる。ディズニーホテルなんですね,これ。大きなのは東急。
 柵の向こうに広がる海は,もちろん東京湾。海から後を振り返ると,松林になっている。海岸に三保の松原を造ろうとするのは,日本人のDNAですかねぇ。

● 明海大学まで来ると,授業を終えた学生さんが三々五々,キャンパスを出てくるところだった。塀で囲ってないから,キャンパスからそのまま公道に出る。
 長らく見られなかった風景だ。こういうあたりまえの景色が消えていたのがコロナ禍というものだった。
 人が集うこと,群れること,語らうこと,共に飲食することを,コロナは禁止していたのだ。相当に異様だ。自己の判断で群れることを拒否するというのとは違う。群れることを許されなかったのだ。
 どうやら正常に近づいてきた。コロナウィルスの状況が同じでも,もっと早くこういう景色を取り戻すこともできたような気がするが,今さらそれを言っても仕方がない。

● というわけで,このコースはバスも走っているが,新浦安駅から散歩するのにちょうどいい距離かも。

2022.07.12 東京ディズニーリゾートを見に行く

● ちば旅割の恩恵で,新浦安駅前のホテルに泊まっている。2泊の予定。今日はその2日目で1日を現地で使える。
 何をしようか。京葉線で新木場まで行って,新木場でメトロの24時間券を買って,東京都内をフラフラするのもいいな。いったんはそれに傾いたのだけども,浦安にいるんだから幕張とか千葉方面に行くのもいいよな。
 で,結局,新浦安からひと駅乗って,舞浜に行ってみることにした。

● といって,パークに入るつもりはない。初老の男が1人で入園してどうするんだという話だね。
 Disnyリゾートラインの1日券を買った。パークには入らないけど,周辺をウロウロしよう。お客さんを見て過ごそう。

● イクスピアリは,当然,検温実施中。たぶん,市中のホテルやレストランより厳格にやっているように見える。
 検温なんか事実上やめてしまっているところも増えた。それが理に合った対応だと思う。が,ディズニーは理が示すところをはるかに超えた対応をしているようだ。わかる気がする。ラフすぎる言い方をすればノブレス・オブリージュだ。

● ディズニーランドは永遠に完成しないとは,ディズニーの矜持を示すわかりやすいフレーズだ。東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテルもなかなか完成しないね。
 オークラとヒルトンの間に新しいホテルができる?(→ 後刻,ググったら,すでに完成した東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテルであるらしい)
 昔は東急だったところがニッコーに替わったのはいいとして,こちら側にも新しいホテルを建設中のようだ。

● ディズニーの矜持を示すフレーズの2つめを考えた。土地を空き地のままにしておくのは犯罪である。
 ディズニーにも無限の集客力があるわけではないだろうけど,いやいや,凄いものだよ。

● ディズニーホテルでは,ぼくはミラコスタに数回泊まったことがあるだけだが,シーができて5周年のときですでに水回りにはガタが来ていた。建設を急ぐあまり,養生を充分に行わなかったのかと思われるが,ホテル単体として見た場合にはディズニーホテルはさほどのものではないと思った。泊まるならオフィシャルの方が断然いい。
 しかも,ディズニーホテルの辞書に値引きという言葉はないから,1泊7万円とか平気でする。そこまでTDRに貢ぐこともあるまいと思う。そこを簡単に踏み越えていくのがディズニーフリークというものかもしれないけれど。

● コロナ禍の最盛期に舞浜に来たことがある。コロナが収束して真っ先に回復するのはここだなと思った。それほどにディズニー愛を秘めた(と思える)男女がやってきていたのだった。もちろん,数は多くはなかったけれども,スキあらば来るぞ,そのために自分は生きているのだぞ,というところに行っちゃってる人たち。
 が,今日のディズニーシーは,夏休み前の平日ではあっても,閑散の度が強い。まだ入場制限を外していない。外れたときがコロナが収束したときだと考えればいい。そう思いたくなるほど,TDRは慎重を期している。

● ただし,今日の入場者数は制限ラインにも届いていないだろう。今日,これからネットでチケットを買って入場できると思う。
 ディズニー神話にも陰りが出てるんだろうか。だとすると,その理由は入場料の値上げですかねぇ。ぼくが行ってた頃は5,500円。今は時節変動だが,まぁ8,400円と考えていいか。
 デフレ下でTDRだけが値上げを続けた。理由があっての値上げなのだろうが,TDRといえども値上げの反作用から自由でいられるわけはない。

● ディズニーランドも閑散。出でよ,ディズニー愛の善男善女。
 東京ディズニーランドホテルは,ディズニーホテルの中でも最もアピール度が高いかな。幼い女の子は泊まりたがるだろうな。いや,オバチャンも泊まりたがるだろうなぁ。

● 仮装は下層。と言ってしまっては言葉足らず。
 お金持ちごっこも面白いけど,下層ごっこ(あるいはお馬鹿ごっこ)はもっと面白い。時々,無性にやりたくなる。そ
ういうことなんでしょうね。ディズニーランドは “ごっこ” ができるから楽しいんだよね。仮装というほどの仮装をしている人は少ないんだけどさ。

2022年7月11日月曜日

2022.07.11 移動は鉄道中心主義

● 宇都宮線宇都宮行き。今年の春のダイヤ改正から3両編成のワンマン運転になった。最初は3つドア5両だったのが,4つドアになったのを機に4両になり,ついには3両。しかもワンマン運転,と。
 ショボいけど,楽しみはある。たとえば,最前部に立って前方の景色を眺めるのがそうだ。シミュレーションゲームじゃなくて,景色は本物なのだ。小さい子がここに来たがるのは宜なるかなと思う。
 特に,ターミナル駅に近づくと,レールのポイントが次々に現れる。これはかなりワクワクする。

● 逆に最後尾に陣取って流れ去っていく景色を見るのも楽しい。ここなら速度計も見える。鬼怒川鉄橋を時速80㎞で通過。鉄道は在来線の普通車でもかなり速いのだ。田舎ゆえ駅はまばらにしかないから,なおさら速い。
 鉄道にも信号はあるが,道路交通の信号とは別のものだ。交差点もない。駅で停まるとしばらく停車するが,基本的に自動車より速い。

● 問題は駅から離れたところに行くのが面倒なことだ。その面倒を避けるためには,駅の近辺で用がすむよう算段するしかない。あと,バスにはあまり乗りたくないから,駅から歩くことを厭わないように努める。
 一番いいのは,駅から離れたところにあるものはないのと同じ,と乱暴に決めてしまうことだ。

● 当然,自分の家も最寄駅から徒歩圏内になければならない。駅から車に乗らなければならないほど遠方にあっては,奴隷の暮らしを余儀なくされる。
 第一,酔っ払って帰るときに,駅まではこれてもその先が困ってしまう。バスには乗りたくないと言ったところで,田舎にはバスすらないのだ。タクシーになってしまう。
 ところが,酔った状態でタクシーに乗ると気が滅入ってきません? 悪く酔いが回りそうな。ぼくはわりとそれがある。できればタクシーにも乗りたくない。

● 歩いて帰れるところに家があるのは,家が家であるための基本的な条件だ。歩いて帰れないところにある家なんて家じゃない。
 そこだけは上手くやったと思う。けっこう痛い目にも合っていたので,駅近は譲れない条件だと思っていた。

● 車は自由だが,その自由を成立させるための不自由を引き受けなければならない。
 車は道路があるところならどこにでも行ける。道路だけはどこにでもある。鉄道がないところにも道路はある。バスが走っていなくても道路はある。移動範囲が格段に広がる。
 鉄道を使うには時刻表が必須だ。ダイヤに拘束される。10分しか待ちたくないと言ったところで,30分後にしか来ないのであればそれを待つしかない。車ならそんなことはない。思い立ったが吉日をそのとおりに実行するには自動車が必要だ。

● しかし,車は自分が運転しなければ走らない。運転すると運転以外の行為を同時にすることができない(せいぜい,音楽を聴くことぐらいだ)。これが困る。
 もうひとつ,運転は疲れる。運転するのが好きな人が多くて,そういう人は疲れるどころではなくスカッとすると言うのかもしれないが,ぼくは運転があまり好きじゃない。疲れる。運転している時間がくつろぎにならない。

● 車を本当に有効利用するなら,運転手を雇うことが必須だ。自分で運転をしてはダメだ。運転を人に任せられるのであれば,車内で仕事も調べものもできるだろう(そういうことをやって車酔いしないのであれば)。
 だから自動運転が実現すれば画期的なことなのだが,ぼくが生きてる間に普及するのかどうか。自動運転ならオープンカーでビールを飲みながら行楽地に行きたい。

● さらに,車を維持するのは高くつく。通勤にしか車を使わないという人が多いと思うのだが,仮に片道30分だとすると往復で1時間。あとの23時間は寝かせておくわけだ。たったそれだけしか使わないのに,税金,車検,保険,ガソリン代,車庫,自動車本体と面白いほどお金がかかる。
 退職して最初にやったのは車を廃車することだった。廃車してみてわかったのは,余計なものを持ってしまっていたのだなぁ,ずいぶんと高くつく通勤を長きにわたってやっていたのだなぁ,ということだ。
 廃車してセイセイしている。不自由というのはそういうことだ。

2022年7月8日金曜日

2022.07.08 夜の東京を歩いてみた

● 相方が「都区内パス」を買って東京のソコやココに行ってきたらしい。夜はぼくがその「都区内パス」で東京に出た。川崎からなので,ひと駅乗って蒲田でいったん下車してから,「都区内パス」で改札を入り直すことになる。
 面倒だけれども仕方がない。田舎と違って数分待てば次の電車が来るしね。

● 東京駅で降りて,ガード下の店を覗きながら有楽町へ。Friday Night ゆえか,どの店も混んでいる。コロナ前より入っているんじゃないか。
 日本人はこんなに享楽的な民族だったっけ。と感じるのは,コロナでガランとしているのを何度も見ているせいかな。

● 晴海通りから銀座に入る。ノーマスクでガハハハハと笑いながら歩いている女の人がいてね。
 いや,ぜんぜんいいんですけどね。あんまり豪快だったもんで,ちょっとギョッとした。何者だ,とね。

● 中央通りからみゆき通りに入り,並木通りを歩いて新橋へ。路駐の車で道路が埋まる光景が復活。夜の銀座帝国が元に戻るのは,さすがに無理だろうと思っていたのだが。
 客を見送りに道路に出てくるお姉さんたちを3回見かけた。こちらがドギマギするほど,キレイな人がいる。これが銀座クオリティーなのかい。

● 酒は気の置けない友人(ぼくにはいないが)と安酒を酌み交わすのが最も高級な飲み方だと思っている。気の置けない友人というのが異性であることもあるかもしれないが,酒の場に女性は必須ではない。
 まして接待を業とする女性がいるところで飲むなんてのは,邪道も邪道,何を考えてそんなことをやっているのかというくらいのものだ(スナックというのは今でもあるが,これは居酒屋の一種だ)。
 そんなことをするくらいだったら,知り合いの女性と飲みに行けばいいではないか。職業婦人のいるところでお金を落とすよりも,彼女に奢る方がずっと活きたお金の使い方だろう。

● が,今夜見たお姉さんたちには,そんな浅い理屈などひと息で吹き飛ばすほどの美貌とオーラがあったね。気を張っているのだろうな。
 たんまりとお金を持っていたら,銀座にひょっこり出かけたかもしれないな。そして,手もなく捻られていただろう。

● 安倍元総理が暗殺されても,人々の日常には1ミリの隙間もできずに,いつものとおり回っている。それは当然そうなのだが。
 新橋から京浜東北線に乗って川崎のホテルに戻った。

2022.07.08 岡本太郎美術館

● 岡本太郎美術館に行こうと思う。が,それは川崎市を縦に動くことを意味する。川崎(区)から東京や横浜に行くのは造作もないのだが,川崎市内を縦に動くのははるかな困難を伴うという川崎問題。その川崎問題に挑戦する気力があるか?
 WALKMANで007のテーマを聴いて気持ちを高ぶらせた。それでは足りず,エルガーの「威風堂々」まで聴いて,南武線の車輌に乗りこんだ。

● 登戸で降りて,1.8kmほど歩く。生田緑地の木陰に入るとさすがに涼しいのだが,そこに至るまでがこの時期には堪えますな。
 美術館前の「母の塔」を場所を変えながら見上げる。どこから見るのが正式なのだろうとアホなことを思ってみた。正式なんてあるわけがない。

● 岡本太郎美術館は二度目。前回は新宿から入った。川崎からJR南武線に乗るよりも,新宿から小田急に乗った方が運賃も安いんじゃないか。
 入館料は1,000円。65歳以上は800円で,ぼくはこれに該当するわけだ。が,一般券で入場。どういうわけだか,自動券売機があるのに人がいて,あれこれ世話をやいてくれる。65歳以上は800円でいいんですよと言われなかったのが何気に嬉しくて,喜んで1,000円券を買いましたよ。

● 岡本太郎美術館が川崎にあるのは,太郎が生まれたのが母親の実家で,その母親の実家が川崎市(高津区)にあったという縁なのだと思うのだが,生まれてすぐに東京に移っているので,太郎と川崎の関係はほぼ何もない。出生地という以外に太郎の足跡を川崎市内で見つけるのは難しい。
 ではあっても,川崎市に岡本太郎美術館があって,かなりの作品がここに集められている。ぼくらにとっても幸いなことであるに違いない。

● 常設展は,今回は比較的足を止めずに見て回った。
 常設展の他に小松美羽展。狛犬をモチーフにした作品で知られる人らしい。「山犬様」がタイトルに入った作品が多くあった。
 美術館に行くと疲れるのは,作品から投射されるエネルギーを受けとめきれずに,オーバーフローしてしまうからかもしれない。疲れるのがイヤで,時間をかけないようになってしまうのだが,それでもけっこう疲れる。ずっと立ちっ放しだからというそれだけではないよねぇ。

● ともあれ,川崎問題に挑戦し,そして勝利した。ミッション(?)を果たして帰還したのだが,平日の日中なのに南武線は混んでいる。帰りは川崎駅に着くまで座れなかった。
 沿線の方々は毎日,挑戦することを余儀なくされているのだろう。どうぞ,御身お大切に。

● ところで。岡本太郎美術館は9月から来店の1月末日まで休館する。太郎パワーを注入するのは,この夏の間に。