● というニュースをネットで見た。「2013年7月以降で初の転出超過」ということらしい。
いったん郊外に出て行った施設や人の都心回帰。その代表は大学。これがコロナ以前の潮流だったと思う。それが逆転した。
テレワークが定着して毎日出勤しなくてもよくなり,家で仕事をしなければならないとなれば,職住近接の必要はなく,自宅に仕事場が要る。もうひと部屋,必要だ。都心の狭い家より,郊外の大きめな家がいい。
となると,都心のステイタスは下がる。特に,オフィス需要は大きく減退する。空き家が増える。
● しかし,今,この流れに乗るべきか。ということを地方の在のぼくが考えても仕方がないわけなんだけど,つい考えたくなる。
都心のオフィス&居住需要減 → 都心の賃料が下がる → それを見計らって都心に引っ越す が,正しいような。通勤が減っても,タイムセービングの必要性は変わらないでしょ。なら,都心でしょ。山手線の内側でしょ。
● 都心の人口が減り,オフィスも減ると,どうなるか? 都心が空洞化して,人がいなくなるんだろうか。のみならず,ホノルルのダウンタウンのように治安にも問題があるようになるんだろうか。
なんてことにはなるはずがない。都心の芯には皇居があるのだ。治安が悪くて都心には住めなくなるなどということは,東京に限ってはあり得ない。
● コロナは所詮は一時的なもので,したがってそれをめぐる人の動きの変化も一過性のもので,コロナが収束すれば何もかもコロナ以前に戻るのか。それとも,たとえワクチンが開発されようとも,完全にコロナ以前に戻ることはあり得ないんだろうか。
ザックリ言えば,後者になるように思われる。テレワークの良さというのは(ぼくは未経験なんだけれども)たしかにあるのだろう。満員電車で通勤しなくていい。毎日,嫌いな上司のアホ面を見なくていい。くだらない飲み会に出なくていい。会社にしたって,高い家賃を払ってオフィスを借りなくてすむ。通勤手当の支払いもしなくていい。
そういった良さがある以上,コロナが収束してもコロナ以前に完全に戻るとは考えにくい。
● もしコロナがなければ,テレワークなんてのが日本で始まっただろうか。始まったとしても,随分先になったことだろう。その意味では,今回のコロナはある意味,神風になったと言えるかもしれない。
通勤にしろ,旅行にしろ,人の移動が元には戻らないとすると,色んなものが過剰になる。人が動かないって,必要なものをグッと少なくするんだねぇ。
● GoToトラベルも緊急避難的な措置として必要だと思うが,GoToトラベルを実施しても,宿泊施設や飲食店は以前より少なくてすむはずのものだ。
今年の冬は野菜が安い。特に白菜とキャベツと大根が安いと感じる。飲食店に納入する分が減ったからだと聞くのだが,その分,自宅で食べているはずだろう。人は食べないではいられないのだから,トータルでは需要は減らないはずだが,実際に売行きは落ちているらしい。飲食店でのフードロス分が減ったということなんだろうか。
酒も同じだ。飲み屋には行かないとしても,その分は自宅で飲んでいるのじゃないかと思うのだが,酒類の売上げも減っている。人の移動が減ると,食糧も酒も少なくてすむようになるらしいのだ。
● 最近感じるのは,芸人・タレント・俳優に過剰感が増していることだ。芸能事務所のプレゼンスも低下しているだろう。これはコロナよりも,大衆のテレビ離れによるものかと思われるものだが。
今,会社を定年で退職する人たちは,ずっと会社でパソコンを使ってきているし,スマホも普通に使っているだろう。高齢者はデジタルが苦手という風潮はもはや過去のものだ。らくらくスマホのような商品はいずれは消えてなくなるものだ。
したがって,若者のテレビ離れはすでに完了していて,これから高齢者のテレビ離れが加速していく。
● このようにして,色んなものが供給過剰になっている。優勝劣敗がより鮮明になるだろうし,業界ごと消えてしまうところも出てくるかもしれない。
コロナがなくても,いずれはそうなったのだろうが,コロナがその動きを見えやすくした。
● してみると,都心のオフィス需要も元には戻らない。しかし,東京の都心がそのままズルズルとその地位を下げるとは思われない。
どういうことが起こってくるのか,少し楽しみでもある。
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