● 那須と名がつく自治体は,栃木県に3つある。那須塩原市,那須烏山市,那須町。那珂川流域の広いエリアがかつての(平成合併前の)那須郡で,もっとはるか遡れば那須国となる。
那須町はその那須の最も北にある町。ではあるのだけれども,那須町だけでも面積はかなり広い。別荘地であり,ハイカラなイメージがあり,温泉を抱えるのが,那須高原と称されるエリア。
町役場があり,東北本線の駅があるのが黒田原。ほかに,芦野,伊王野。
● おそらく,これらのエリアはそれぞれ独立している。町としてのまとまりはほぼないんじゃないかと思う。車を使わずに那須高原に行こうと思えば,那須塩原から入るしかない。黒田原からじゃ行けない。
芦野,伊王野は黒羽や大田原から行くことになるだろう。那須町というのは,それらのエリアからなる合州国のようなものだ。
● 今回は黒田原に行った。黒磯で乗り換えて,2駅目が黒田原。この駅に降りるのは,これが3度目か4度目か。この駅には自動改札機などという無粋極まるものはない。ちなみに,無人駅ではない。
観光客は那須高原に行く。ここには居住者しかいない。ガランとしている。静かだ。駅舎にはお婆さんがひとり,ポツンと座っていた。列車を待っているふうでもない。ただそこにいるという感じで。
● 那須町文化センター。立派な施設だ。鄙には稀な。いや,実際には稀じゃないんだよね。田舎のこの種の施設って,だいたい立派。
あらかたは,東京都民が払った税金で建てられていると思うんだが。東京から吸いあげた税金を地方にばらまいているわけだものな。
● 途中,ファミマで買ったお茶とおにぎり(360円)で昼食にした。文化センターのロビー(?)で。けっこう優雅な気分だよ。庭園も見えるしね。
手入れの状態はさすがにホテル並みとはいかないけれども,それでもまぁ,わが家にはこんなに広い庭はないわけでね。
● 那須町文化センターからの帰りは,黒田原ではなく高久駅まで歩いてみることにした。スマホの地図を見て,黒田原に戻るのも高久に出るのもたいした違いはあるまいと思ってたんだけど,よく見るよろし。たいした違いがあった。
ちょっとしたハイキング。しかも夜道。しかも雨。
● 困ったことのひとつは,歩道にはびこっている雑草だ。けっこうな背丈のものがあって,両側から真ん中にせり出している。それらに触れずに歩くことはできない。
降り続けている雨で雑草もきちんと濡れている。ゆえに,こちらも濡れることになる。
● 途中から歩道がなくなった。こんなところを歩かれたんじゃ,ドライバーには迷惑だったろう。
一本道なので迷うことはないんだけども,ひょっとして行きすぎてしまったからと心配になるほど,なかなか高久駅に到着しない。
● 高久駅は一度だけ下車したことがある。はるかな昔,とはいってもすでに中年のまっただ中ではあったのだが,この駅で下車した。
那須三十三観音霊場というのがある。那須国をくまなく回ることになるんだけども,そこを歩いてまわろうと思ったことがあるのだ。思っただけではなくて,実行に移した。
一度にまわりきることは無理なので,休日に少しずつ。前回終えたところまで行って,続きをやるっていう方法で。その何回目かに高久駅で降りることになったのだ。
ちなみに,途中までやってそのままになっている。今のところ,再開のめどは立っていない。
● というわけで,周辺の風景は知っているつもり。この“つもり”がくせ者なんだよね。たった一度の記憶だし,しかもそのときは昼間だったし,晴れていた。
今日は夜で雨。“つもり”がまったくアテにならない。
● “つもり”とはまったく違うたたずまいの高久駅に到着。唐突に着いた感じがした。
この駅は無人駅。黒磯行きの電車に乗ったのはぼくひとり。降りた人はいなかった。
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