2018年10月13日土曜日

2018.10.13 居酒屋の快

● 久しぶりの外飲み。こちらの店に行くつもりだった。ところが,予約なしじゃ入れず。土曜の夜なのに。
 ここは新橋じゃないのだ。田舎なのだ。予約なしでは入れないほどに混んでいる居酒屋は珍しい。金曜の夜ならあるんだけど。

● 商売繁盛でけっこうなことだ。が,予約することにはけっこう抵抗がある。特に少人数の場合は。
 だいたい,高級レストランじゃなくて居酒屋なのだ。フラッと入ってフラッと飲み始めたいのだ。事前の手続きが必要になるのは困るのだ。

● と言ってみても仕方がない。ので,こちらへ。
 こちらで2時間近く飲んでから,先ほど入れなかったところへ移動。今度は入れた。

● 予約というのは,店側でも歓迎できないところがあるのではないか。つまり,時間と人数がグループごとに違うわけで,どうしたってデッドスペースとデッドタイムができてしまうからだ。ピースがピタッとはまることなどない(と思う)。
 予約なんか受け付けないことにして,来たお客さんからどんどん入れていく方が,かえってムダを出さずにすむかもしれない。流行っている店ならば。

● いや,そういうものじゃないね。やはり予約してもらった方が合理的だよね。事前に概要がわかるし,心構えも作りやすい。
 お客も予約してあれば安心だ。長い目(いや,中くらいの目)で見れば,店の評判や信用を増すことにもなるんだろう。

● 流行っている店には流行っているなりの理由がある。出てくる料理が旨くて安い。儲けてやろう感がない。
 それ以前に,空気がいい。空気の核になるのは店主の欲と人がらだろうか。欲というのは,不転退の決意と言い換えてもいい。自分はこれでやっていくんだという覚悟のようなもの。
 どうもこの空気というのは,作為して作れるものではないようだ。したがって,この商売は息子が後を継いでもたいてはうまくいかないだろう。世襲に馴染まない。一代限りの仕事だ。

● 空気の核になるのは店主の欲と人がらだとして,それを分厚く覆うマントルになるのはお客だ。狭くない店内にしっかりお客さんが入っていて,そのお客さんの顔がとてもいいのだ。
 笑顔が多い。そちこちから笑い声が聞こえてくる。無遠慮に見つめてしまうほどだ。というか,見惚れてしまうほどだ。

● 寄席の笑いとは別種の笑いだ。文字どおり,人間(じんかん)から出てくる笑い。うぅ~む。これほどの笑い声を作り出せる場というのは,そうそうないのじゃないかなぁ。
 いいお客さんが多いということでもあるし,酒が介在する悦楽だからでもあるし,店がいいというのでもある。店(店主)がそれに相応しいお客を呼ぶのだろうし,お客が店を作るのでもあるだろう。
 ともかくこういう場を提供できている。この店の社会貢献度は相当なものだと思う。

● ぼくは飲食もひとりですることが多いので,ラーメン屋でも居酒屋でも,テーブル席を減らしてカウンター席を増やせばいいのにとしょっちゅう思っているんだけど,この店はカウンターはちょっとしかない。テーブル席と座敷席で埋まっている。
 酒はひとりで飲むものではないという店主の思想(?)の反映というのではなく,一人で来るお客さんはほとんどいないのだろう。

● ぼくはチェーン店というのを否定しない。大いなる工夫が詰まっている。すこぶるお世話にもなっている。居酒屋にもチェーン店があっていいと思う。
 が,居酒屋だけは個人経営の店の方がいいような。個人に向いている,あるいは個人を表現しやすいのが,居酒屋という業態であるような気もする。

● もうひとつ,感じることがある。居酒屋では地域一番店というのがあって,その一番店に一極集中,二番店以下は青息吐息という状況がだんだん鮮明になってきているのではないか。勝ち負けの差がくっきりしてきている。地方の場合ね。都会は知らない。
 で,いったんそういう差ができてしまうと,それを逆転するのはほぼ不可能。

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