2日前に奥様がおっしゃるのだ。
やい,謹んで拝聴しやがれ。ゴールデンウィークの終盤に安いプランが出たぞい。どうする? 行くか行かないか。行かないなら1人で行くがな。
行きます,行きます,どうぞお連れください,とぼくは答えたのだった。
● が,ぼく,素足にサンダルなんだよね。この陽気じゃ靴下なんかはきたくないし,ましてそれを靴で覆うなんてまっぴらだ。それはいいとして,これでホテルに行くのはね。
といって,今から家に帰ってってのはありえない。素足にサンダルのままで向かうことにした。
● 東武なので直通はない。栃木と南栗橋で乗り換えることになる。が,乗り換えはスムーズ。南栗橋からは黙っていても半蔵門線に乗り入れて,最寄駅の水天宮前まで連れて行ってくれる。
ロイヤルパークホテルを定宿にするようになってから,東武線がかなり身近になった。
● ここから押上まで1,200円。押上から半蔵門線に入り,水天宮前まで170円。JRよりだいぶ安くなるのもありがたい。
しかも,だ。JRより安いのにJRより長く乗っていられるのだ。ぼくは乗っているのが好きなので,こういうのは大歓迎だ。
● だったら,毎回東武を使えばいいじゃないかと言われるか。それはダメだ。宇都宮はJR駅と東武駅が離れているのだ。北極と南極ほども離れている。
わが家の最寄駅はJRなので,宇都宮で東武に乗り換えるのはあり得ない。今回はたまたま宇都宮市文化会館にいたので,東武駅が近かったというだけのことだ。
● 東武線の魅力はほかにもあって,東京に入ると主には墨田区を走ることだ。元日にはわざわざ玉ノ井や鳩の街をウロウロしてみたのだが,東武ならわざわざ行かなくても,曳舟で停まるのだし,各停に乗り換えれば東向島はすぐそこ。
となると,なかなか行かないけどね。いつでも行けると思うと,行かないものだな。
● というわけで,快適な東武の旅でロイヤルパークホテルに到着。水天宮前駅から直結なのだから,じつにもってどうしようもなく便利。
最近,ロイヤルパークに傾きっぱなしなのは,この駅直結も大きな理由だ。以前は,東京駅から歩いたり,上野駅で日比谷線に乗り換えたり(人形町で降りて少し歩く),同じく上野駅で銀座線に乗り換えて,三越前でさらに乗り換えるなんてことをやっていたのだが,久喜か栗橋でJRから東武線に乗り換えてしまった方が,駅直結の利便性がさらに活きることを発見。
● とにかくホテルに着いた。奥様は先に着いて,ラウンジでぼくをお待ちだ。
素足にサンダルでラウンジに行った。あまり動き回らないようにした。本当はさ,サンダルも脱いじゃって素足で歩き回りたいよね。こういうところに小石はないんだからね。
いつもはない肉団子が今日はあった。それでグイグイ飲んだ。
● ところで,ラウンジは満席だった。これほど混んでいるのには初めて遭遇する。これなら安いプランを出さなくても埋まったのじゃないかと思うんだけど,そこは長年のデータに基づいてプロがやっていることだし,その安いプランが出たために,今,ぼくはここにいられるわけだから,この点については,疑問を挟まないことにする。
● 夜の人形町を歩いてみた。「兔屋」に行った。が,閉店後。22時頃だったか。「兔屋」は21時までの営業なのだった。
ので,「いなせ」で500円ラーメンを。ここは2度目。お客さんは若い人が多い。
● 女性も1人で来てたりする。女性の1人外食,普通になったよねぇ。昔前とは隔世の感がある。
四半世紀前,初めてシンガポールに行って,ホーカーズでご飯を食べた。そのときに,若い女の子が1人で食べているのを見かけた。そんな子が何人もいた。
それがすごくかっこよく見えた。自立しているというか,自分の生活を自分でコントロールしているというか。1人だけど何か問題でも,という風情をぼくは勝手に感じ取って,かっこいいなぁと思ったんだよね。
● 当時の日本では女性の1人外食はほぼなかった。それは落後した女性のシンボルのようなものだった。1人なのに家ではなく外で食べているのは,寂しいことであり,女子力(当時はそんな言葉はなかったと思うが)がないことの表明と受けとめる空気があったのではなかったか。
今は,吉野屋でも駅の立ち食いそばスタンドでも,女性が1人で食べている光景を普通に見かけるようになった。これひとつ取っても,時代は確実に進歩しているのだと判断していいと,ぼくは思う。
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