2015年8月25日火曜日

2015.08.24 都会の風に憧れたものだが

● 都会に住んでいる人は,それとわかる風貌をまとっている。昔はそれに憧れたものだし,自分がそれをまとっていないことがコンプレックスでもあった。
 でも,今はそんなものはどうでもいい。ぼくだけじゃなく,つまり年の功というわけでもなく,都市vs田舎という図式で,田舎がコンプレックスを抱くっていうのが薄くなっているように思われる。

● 流行とかモードとかという問題ではなくて,昔は田舎が都会に対してコンプレックスを抱かざるをえない実質があったのだと思う。生活水準が都鄙ではだいぶ違っていたっていう。二重構造と呼ばれた問題だ。これ,たしかにあったのだとぼくは根深く思っているのだ。
 それが,解消された。基本的な生活水準はもう田舎も都会もさほど変わらない。

● もちろん,地方には多くの問題があるっちゃある。シャッター通りだとか,人口減少だとか。
 でも,当の地方人がそれを深刻に捉えているかといえば,自分と自分の周囲を見る限り,そんなことはないと言わざるを得ない。いたってノンビリしたものだ。

● ある程度の生活水準に達し,それが安定すれば,上昇志向だとか立身出世だとか高偏差値だとかっていうのは,輝きを減ずる。善し悪しの問題ではなくて,メカニカルにそうなるものだろう。
 いよいよ,鄙が都に対してコンプレックスを抱く理由がなくなる。

● 交通網の高速化とインターネットの普及も大きい。買い物もネットですませれば,居住地はどこでもよくなる。どこにいても,欲しいものが買える(働く場さえ確保できれば)。
 知に関してはいっそうそうなっているように思える。たいていのものは独学ですませられるようになっているのではないか。

● 若い頃は今居るところじゃないところに住みたいと思った。どこがいいか,友人とよく話したものだった。札幌,博多,金沢,京都・・・・・・。
 もちろん,わずかな情報と思いこみで喋っているわけだから,他愛もない内容になる。でも,ぼくはずっと東京がいいと思っていた。どんなに住環境が劣悪だったとしても,住むならやっぱり東京だろ。

● が,今は栃木でいいと思っている。今いるところでいい。ここにいれば,満員電車の中で痴漢の濡れ衣を着せられる可能性も皆無といっていいし,自転車で田舎道をゆっくり走れる。
 コンビニも居酒屋も百円ショップもある。やりたいと思うことはだいたいできている。

● 東京は住むところではなく,遊びにいくところになった。新幹線など使わずとも2時間で行けるのだ。何の不便があるだろう。
 東京から近すぎず遠すぎずというエリアの,鉄道駅から徒歩圏内に住居を構えること。そこさえ上手くやれば,東京は自分の奥座敷になる。そう思えるような環境ができている。

● というわけなので,都会の風に現れたスマートで洗練された風貌に憧れる気持ちは消滅して久しい。

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