● 宇都宮の泉町といえば,すでに死んだ街というイメージがある。ぼく自身,すっかり行かなくなっている。
昔は行きつけのスナックがあった。その店をやっていた女性が膵臓ガンで亡くなった。それ以後,足を踏み入れたことがない。
いや,彼女が亡くなったことも後になって知ったことで,ということは,それ以前に行かなくなっていたってことでしょう。
● はるか昔のことになるけれども,近くにあった市役所が移転して,中央郵便局も遠くなって,このエリアには県庁しかなくなった。それも効いているかもしれない。
でも,そういうこと以前に,皆さん,飲まなくなった。職場単位の飲み会ってほんとに減ってるからね。
● 職場単位の飲み会が減った理由のひとつは,既婚女性が増えたことじゃないかと思っている。家庭を持ってる女性は,飲み会にそうそう付き合うわけにもいかないだろうし。
つまりは,男女雇用機会均等法の施行が,盛り場に打撃を与えた? ぼくも職場単位の飲み会が減るのはいいことだと思っているけど。
● 官官接待というのがやり玉にあがって,実際,そういうものは消滅(少なくとも,激減)したようだ。そんなのも影響があるっちゃあるのかもしれない。
健康志向の影響もあるか。飲酒は悪。煙草もダメ。小津安二郎の映画を見ると,昔の男たちはほんとによく飲んでいた。煙草も吸っていた。
● あと,節約指向というか安値指向。外で飲むのは高くつくよね。給料があがらなくなれば,最初に削られるのはここのところだ。
だから,チェーンの居酒屋がどんどん増えた。それ以前の個人経営のお店よりはたしかに安くなった。
そういうチェーン店は泉町には来ない。駅の近くとか,大通りのシャッター店のあとに入るとか,そういうことになる。
● かくて,地方の盛り場は衰退していく。
チェーン店は居酒屋でありながら健康志向を謳っていたりする。女性のお客さんも多い。昔の盛り場にあった悪場所的な,かすかに淫靡な雰囲気というのは,完全に消えた。飲みに行くという行為が普通に食事に行くのと同等になった。
それで何か問題があるのかといえば,べつにぜんぜんないんですけどね。
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