● 川崎駅に京浜東北線の大船行き。昨日のリベンジで鶴見線に乗って来ようと思うのだけど,今(午後2時)から行くと少し(いや,かなり)早すぎるんだよね。大川支線に入るのは17時までないので。といって,待っているのも何だか。
というわけで鶴見駅に着いてしまった。ここで40分待って,海芝浦行きに乗る。
● 鶴見線にはかなり前に一度乗っている。宮脇俊三さんのお勧めの路線だった。どういう文脈でのお勧めだったかというと,遠くへ行くばかりが旅ではないという流れでのお勧めだった。その代表例として鶴見線を挙げていたわけだ。
ここが日本なのかと思う光景だ,オランダにでも来たような気分になる,と。首都圏にこういう路線があるのだから,忙しくて鉄道旅行になど行く暇がないなどと言っていないで,鶴見線に乗ってみたらいい,と。
一番大きな理由はたぶん雑草だと思う。この時期は雑草が茂り放題になっている。日本の雑草はとにかく元気がよくて,濃い緑をはびこらせる。日本のどこに行ってもこの雑草光景はある。
今回は鶴見線の沿線にもずっとこれがあった。それゆえ,夏に向かう時期の日本だなぁとしか思えなかったということだ。
だから,乗り間違えたらけっこう厄介だよと注意書きもある。
● 鶴見線という名称なんだけど,起点はたしかに鶴見(横浜市)だが,線路の大部分は川崎市にあるのだから川崎臨海線とでも呼ぶのが実態には合うと思いこんでいた。
けれども,横浜市鶴見区を走る区間の方が長いのだった。鶴見から武蔵白石までは鶴見区だ。川崎市になるのは浜川崎から先だ。だとすると,名実共に鶴見線でよろしいのだった。ただし,鶴見線の最大の難所(?)である大川駅は川崎市になる。
● ともあれ,30年ぶりになる鶴見線,海芝浦行きに乗った。3両。しばらくは江ノ電的な雰囲気があるが,江ノ電と違うのは完全複線であること。浅野〜海芝浦間も複線だが,最後の最後,海芝浦に着くちょい前で1本は閉鎖,撤去されている。
● ここから京浜運河の全容を了解するのは難しい。近くに美しい斜張橋(鶴見つばさ橋)が見える。あの橋の長さが運河の幅なのではない。さすがにあれほど長くはないのだが,どこが東京湾との境目なのかはわからない。
海芝浦とこれから向かう大川,扇町は,直線距離にすればさほど離れてはいない。充分に歩ける距離だと思う。問題は直線距離で行くことはできないということだ。それぞれの間に運河があり,そこに橋は架かっていないからだ。
おにぎりとペットボトルのお茶でも持って来れば,半日は絶景を楽しんでいられるだろう。そうしているオバちゃんの2人連れがいた。喫煙していたのはたぶんNGでしょ。吸殻入れはない。くれぐれも吸殻を海に投げないように。
本日は東芝工場の定時退社の日だったらしい。定時で帰りなさい。総務の社員も定時で帰れ。
武蔵白石行きが来たので乗車。武蔵白石まで来て,鶴見に折り返す。このあたりまでは沿線住民も利用する普通の駅なんでしょうな。
それにしても。京浜工業地帯の中核を走る鶴見線に流れているのは,少ぉし気だるいほどのローカル線感だ。時代? われ関ぜず,と言ってるような。実際には時代を支えているエリアのはずだが,そんな気負いもなく,淡々と24時間を過ごしているような。
ので,大川まで歩いてしまうことにした。ならば武蔵白石で降りるべきだったとなるのだが,鶴見線の駅間距離はかなり短いので,さして問題にはならない。
● 歩き出すとほどなく武蔵白石駅。このあとしばらく直進して右折,鶴見線の本線を横切ってまっすぐ行くと大川駅。途中,運河を渡る。臨海エリアなんだなと思うんだけども,海芝浦の後だから,この程度で足を止めることはない。
大川駅発の時刻表を確認。これから乗るのは17:29発の鶴見行き。にしても。このローカル感はここが川崎であることを忘れさせる。人がいない。眠くなるくらい静かだ。
言葉を選ばなければならないのだが,車内が人で埋まっても,都会の混雑という感じにはならないのだ。都会とは切り離された,別世界の現象という感じなのだ。
鶴見で京浜東北線に乗換えたら,ホッとした。京浜東北線は空いてた。川崎駅の改札を出たのは18時5分前。鶴見線はいい小旅行になる。全線に乗ろうなどとは考えないで,海芝浦を目指すのが賢明かと思う。