2022年6月24日金曜日

2022.06.24 鶴見線に乗車

● 川崎駅に京浜東北線の大船行き。昨日のリベンジで鶴見線に乗って来ようと思うのだけど,今(午後2時)から行くと少し(いや,かなり)早すぎるんだよね。大川支線に入るのは17時までないので。といって,待っているのも何だか。
 というわけで鶴見駅に着いてしまった。ここで40分待って,海芝浦行きに乗る。

● 鶴見線にはかなり前に一度乗っている。宮脇俊三さんのお勧めの路線だった。どういう文脈でのお勧めだったかというと,遠くへ行くばかりが旅ではないという流れでのお勧めだった。その代表例として鶴見線を挙げていたわけだ。
 ここが日本なのかと思う光景だ,オランダにでも来たような気分になる,と。首都圏にこういう路線があるのだから,忙しくて鉄道旅行になど行く暇がないなどと言っていないで,鶴見線に乗ってみたらいい,と。

● 実際に乗ってみて,なるほどと思った記憶がある。しかし,先に書いておくと,今回は日本離れした光景だなと思うことはなかった。これも日本だよなとストンと入ってきた。
 一番大きな理由はたぶん雑草だと思う。この時期は雑草が茂り放題になっている。日本の雑草はとにかく元気がよくて,濃い緑をはびこらせる。日本のどこに行ってもこの雑草光景はある。
 今回は鶴見線の沿線にもずっとこれがあった。それゆえ,夏に向かう時期の日本だなぁとしか思えなかったということだ。

● 鶴見駅の鶴見線ホームに鶴見線の時刻表が掲示されている。休日の大川行きは間違いなく1日3本しかない。しかも,うち2本は朝の7時台。まさに通勤路線。
 だから,乗り間違えたらけっこう厄介だよと注意書きもある。

● 鶴見線という名称なんだけど,起点はたしかに鶴見(横浜市)だが,線路の大部分は川崎市にあるのだから川崎臨海線とでも呼ぶのが実態には合うと思いこんでいた。
 けれども,横浜市鶴見区を走る区間の方が長いのだった。鶴見から武蔵白石までは鶴見区だ。川崎市になるのは浜川崎から先だ。だとすると,名実共に鶴見線でよろしいのだった。ただし,鶴見線の最大の難所(?)である大川駅は川崎市になる。

● ともあれ,30年ぶりになる鶴見線,海芝浦行きに乗った。3両。しばらくは江ノ電的な雰囲気があるが,江ノ電と違うのは完全複線であること。浅野〜海芝浦間も複線だが,最後の最後,海芝浦に着くちょい前で1本は閉鎖,撤去されている。
 鶴見線といえば海芝浦。ユニークさでは全国一。改札を出れないのもそうだし(改札の先は東芝(の子会社)の敷地),駅からの景観は唯一無二。ホームは海に突き出ている。目の前は京浜運河だ。

● ここから京浜運河の全容を了解するのは難しい。近くに美しい斜張橋(鶴見つばさ橋)が見える。あの橋の長さが運河の幅なのではない。さすがにあれほど長くはないのだが,どこが東京湾との境目なのかはわからない。
 海芝浦とこれから向かう大川,扇町は,直線距離にすればさほど離れてはいない。充分に歩ける距離だと思う。問題は直線距離で行くことはできないということだ。それぞれの間に運河があり,そこに橋は架かっていないからだ。

● 駅内に公園がある。東芝が自社地を整備して開放した。トイレもあるから長時間滞在も可能。このトイレもJRではなく東芝が維持しているのだと思われるが,部外者の使用はもちろんOK。
 おにぎりとペットボトルのお茶でも持って来れば,半日は絶景を楽しんでいられるだろう。そうしているオバちゃんの2人連れがいた。喫煙していたのはたぶんNGでしょ。吸殻入れはない。くれぐれも吸殻を海に投げないように。
 本日は東芝工場の定時退社の日だったらしい。定時で帰りなさい。総務の社員も定時で帰れ。

● 浅野に戻ってきた。この駅も独特だ。3面4線なのだが,3面の向きがそれぞれ違う。海芝浦支線がここで分岐するのだが,2面では足りなかったんだろうか。それとも昔は海芝浦支線の他に何かあったんだろうか。
 武蔵白石行きが来たので乗車。武蔵白石まで来て,鶴見に折り返す。このあたりまでは沿線住民も利用する普通の駅なんでしょうな。

● 運転本数が極端に少なく,乗車するのが難しい大川支線の大川駅は,ここから歩いて15分。線路は安善駅から分岐するんだけれども,最も近いのは,この武蔵白石駅になる。
 それにしても。京浜工業地帯の中核を走る鶴見線に流れているのは,少ぉし気だるいほどのローカル線感だ。時代? われ関ぜず,と言ってるような。実際には時代を支えているエリアのはずだが,そんな気負いもなく,淡々と24時間を過ごしているような。

● 扇町行きがやって来た。浜川崎までは本数があるのだが,その先は2時間に1本という時間帯もある。昨日はその時間帯に来てしまい,寸での差で乗り損ねてしまったのだ。
 昨日は諦めた扇町にも来れた。来てみれば何ということもないんだけどね。人工島にある工場地帯なんで,景観はどの駅も似ているわけだ。
 旅客より貨物なんでしょうね。貨物用の立派なレールが敷かれてたんじゃなかったかな。南武支線に入るやつ。

● 残るは鶴見線の秘境,大川駅だけだ。折返し電車に乗って,安善駅で下車。ここで大川行きを待とうと思ったわけだけども,だいぶ時間がある。
 ので,大川まで歩いてしまうことにした。ならば武蔵白石で降りるべきだったとなるのだが,鶴見線の駅間距離はかなり短いので,さして問題にはならない。

● 歩き出すとほどなく武蔵白石駅。このあとしばらく直進して右折,鶴見線の本線を横切ってまっすぐ行くと大川駅。
途中,運河を渡る。臨海エリアなんだなと思うんだけども,海芝浦の後だから,この程度で足を止めることはない。
 駅舎も昔懐かしい感じ。金はかけねーよ,とJRは語っている。
 大川駅発の時刻表を確認。これから乗るのは17:29発の鶴見行き。にしても。このローカル感はここが川崎であることを忘れさせる。人がいない。眠くなるくらい静かだ。

● しかし,17時をすぎると,人が集まりだした。電車が大川駅に入ってきた。やはり3両。降りる人はいない。仕事帰りの人を迎えに来たのだ。
 ひと駅毎にドッと乗ってくる。降りる人はいない。車内は立ち客で一杯になった。先ほどまでのローカル感は雲散霧消したと言えれば話はまとまるのだが,どっこいローカル感はしぶとく残っている。
 言葉を選ばなければならないのだが,車内が人で埋まっても,都会の混雑という感じにはならないのだ。都会とは切り離された,別世界の現象という感じなのだ。

● 安善には操車場もあるんだろうか。これほどの待避所が今でも使われているんだろうか。
 鶴見で京浜東北線に乗換えたら,ホッとした。京浜東北線は空いてた。川崎駅の改札を出たのは18時5分前。鶴見線はいい小旅行になる。全線に乗ろうなどとは考えないで,海芝浦を目指すのが賢明かと思う。

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