● JRの各駅に置かれている旅行パンフレット。各県のものが取り揃えられているが,地元のがこの「本物の出会い栃木」。これが2冊目になる。
● JRとすれば,新幹線を使って,長い距離を移動してほしいだろう。栃木の人間に栃木に行ってもらっても,大方は車で移動するだろうから,まるで嬉しくはない。
できれば,栃木の人には宮城や秋田に行ってもらいたいだろうし,宮城や秋田の人たちに栃木に来てほしいと思っているだろう。
● しかし,観光業者にしてみれば,どこから来た人だろうと,関係ない。自分のところでお金を使ってくれればいい。
観光業者とは広く解釈できるものだ。ホテルや土産物屋に限らず,食堂や酒場も含む。普段は地元の人しか来ないような酒場によそ者が来てくれれば,売上げは増える。
● したがって,こういったキャンペーンに参加する人たちの利害は必ずしも一致しない。最大公約数的なまとまり方をする。したがって,万人向けとなる。とんがった内容は望むべくもない。
こういうものを扱う業者って限られているのかもしれないね。どれもだいたい似たようなものになる。インパクトに乏しい。
● そもそも,こうしたパンフレットってどれほどの実効があるものなのだろう。書店に行けば,JTBや昭文社のガイドブックが溢れている。人はそれを買って行きたいところに向かう。
こうしたものに税金が投入されているのだとすれば(されているんだろうけど),ちょっと釈然としないものが残ったりもする。ま,目くじらを立てるほどの金額ではないんだろうけどね。
● とはいいながら,こうしたパンフレットの中で必ず手に取るものがある。富山県の「ねまるちゃ」だ。コンテンツが充実しているのもさることながら,表紙の美女に惹かれてのことだ。そんなものなのだ。キャッチが大事なのだ。
● で,「本物の出会い栃木」だ。このパンフもかなりいい。登場するモデルさんが美女だからだ。栃木にゆかりのある人かどうかは知らない。栃木離れした都会的なオーラを放っている人だ。
が,そんなことはどうでもよろしい。彼女ゆえに,けっこう手に取られているのではないかと想像する。
● コンテンツということになると,「ねまるちゃ」にだいぶ負けている。富山は富山湾を抱えているから,鮨屋をはじめ,海の幸が豊富だ。意地悪くいえば,地元産の魚はあまりなくて,輸入物がけっこう紛れこんでいないかと思う。ではあっても,紙面を飾る魚料理の写真には説得力を感じてしまう。魚料理は高級感を出しやすい。それも大きいね。
立山連峰,路面電車,砺波のチューリップ。絵になりやすいコンテンツがある。
● しかしながら。コンテンツだったら,栃木だって相当なものだよ。世界遺産の日光の二社一寺,中禅寺湖,華厳の滝。那須や塩原,鬼怒川の温泉郷。那須高原。これだけだってかなりのものだ。
でも,「ねまるちゃ」に負けていると思えてしまうのは,地元にはどうしても辛くなるからっていうのを別にすれば,「本物の出会い栃木」は県内各地をまんべんなく取りあげて,しかもそれぞれに同じスペースを与えるようにしているのが理由かねぇ。誰からも不満が出ないようにしちゃうとつまらないものになるね。
● 総じて,他県の人がこれを見て,栃木に行ってみようかと思うかといえば,かなり疑問。が,栃木県内の人に自分は栃木をよく知らないと思ってもらう効果はあるかも。
何はともあれ,手に取ってもらえてナンボだ。モデル嬢の功績で,そこはクリアしていると思うんだが。
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