2017年3月8日水曜日

2017.03.07 Moteco 2017-03 見送る春,迎える春

● フリーペーパーの「Moteco」を初めて見てみた。小山・宇都宮周辺版とある。このエリアの食べ物屋や整体院,エステ,ネイル,ヘアサロンを紹介している。
 宇都宮にモテコ出版株式会社というのがあって,そこが発行している。編集後記には「F1層をターゲットに発行してきて10年」とある。
 ちなみに,F1層のFとはfemaleの頭文字。つまり,女性のこと。F1層とは「20歳から34歳までの女性」を指すマーケティング用語であるらしい。

● 若い女性が好むお店が紹介されているのだとすると,エステやネイルが多くなるのは当然ですかね。この分野に投入されている金額は膨大なものだろう。
 泡沫の美のためにこんな大金が使われているとは,それこそ壮大なムダではないか,もっと本を読むとか,絵画を見るとか,そういう内面に関わることにお金を使ったらどうなのかね,と言いたくなるんだけど,これは二重の意味で間違っているだろうなぁ。

● ひとつは,内面にお金をかけるのは良くて,外面にお金をかけるのはダメというのは,そもそも根拠がないということ。
 もうひとつは,生存が確保されれば,人は自ずとそういうところに向かうものだということ。
 エステやネイルに使うお金がムダ金だというのなら,オッサンがコナカや青山のスーツじゃなくて,Kitonやエルメネジルド ゼニアを着るのもムダだってことになってしまうがな。
 もっと言うと,生きること自体がムダだというところまで行ってしまうかもしれない。

● F1層はそんなにお金は持っていないのじゃないかと思う。独身で稼いだ分はぜんぶ自分のために使える人もいるのかもしれないけれど,一人暮らしをしてたりすると家賃の支払いだってあるわけだからね。
 したがって,ここに登場する飲食店の多くは大衆店だ。つまり,ぼくでも行けそうな店ばかりだ。何となく馴染み感があるというか。

● この種の情報はネットで見る人が多いだろう。MotecoもTwitterやFacebookでも情報を流しているようだ。
 が,紙媒体の便利さは厳然としてある。パラパラとページを繰っていけることだ。ネットよりも手軽だ。ま,今の時代,紙にこだわるのは資源浪費,悪しき贅沢ってことになるのかもしれないけど。

● ところで。この冊子には不動産の広告もある。小山の中古マンション(64㎡)が700万円。小山駅まで徒歩25分(この25分は広告用語の25分ということね)。同じく小山市(羽川)の戸建て住宅(8DK)が580万円。もちろん敷地込みだ。
 ずいぶん安くなってしまうんだなぁ。

● つい最近まで家を建てるのが男一生の夢みたいなところがあって,ぼくも前世紀の終わり頃に建ててしまった。何の疑問も持たずに。バブルの絶頂期は過ぎていたけれど,土地神話はまだ生きていた頃だ。
 今手放すと,買い手がついたと仮定しての話だけれども,どれくらいで売れるんだろうか。取得コストの4分の1くらいにはなるんだろうか。

● 結局,一生分の稼ぎのかなりの部分を住宅取得につぎ込み,それが目減りしてしまったということだ。今を生きる中高年の大半は同じ思いを味わっているだろう。
 やはり,だ。多数派の一員でいるとロクなことがない。土地神話に背を向けて,俺は賃貸でいいと賃貸主義を貫くことができた人もいたに違いない。偉い人だなぁ。

0 件のコメント:

コメントを投稿