2020年1月3日金曜日

2020.01.03 二度目の東京ステーションホテル

● 東京ステーションホテルに1泊。通算でこれが2泊目。
 このホテルのフロントはかなり狭い。通常あるロビーはない。次々にお客がやってくるのだから,ソファに長時間座っているのはためらわれる。それ以前に,ここに5分以上とどまれる図々しさをぼくは持ち合わせていない。

● 狭いけれども,質感は相当なものだ。暖炉があり,「山形の啓翁桜」が飾られている。こういうもの,ぼくはまったく不調法なのだが,手を合わせたくなるほどに,凜として毅然とした佇まいを何と言おう。
 この「啓翁桜」の方が自分よりずっと存在価値がある。この「啓翁桜」は存在を許されているけれども,自分はどうなのだろう,とあらぬことを考えてしまいそうになる。

● 3097号室。前回より小1万円ほど安い。ビューがないのと,天井が低いのと,風呂に洗い場が付いていないのが,前回との違い。といっても,48,000円はわが家的には限界に近い。
 お姫様部屋じゃないと相方は“ガックシ”。が,すぐに気を取り直したようだ。

● ビューなんてぼくはどうでもいい。いいホテルの一番安い部屋に泊まるのが賢いお客というものだ。そもそもぼくはあまり部屋にいないからだけれども,ずっと部屋で過ごすのだとしても,安いホテルのいい部屋より,いいホテルの安い部屋を選ぶのが正解でしょ。
 なぜかと言われるとうまく説明できないのだが,空気が違うからということになりますか。芯からリラックスできる空気はいいホテルにしかないっていうかね。

● どうしてもビューを問題にするなら,こういう方法もある。右の写真はホテル2階からの丸の内南口の眺め。これは宿泊しなくても来れるところ。虎屋の喫茶室があるところね。
 このホテルの長い廊下に戸惑いながらここまで歩けばいい。途中,昔の東京駅や鉄道事情に関する写真やポスターが飾られているから,それらを楽しみながらちょっとした散歩ができるぞ。

● この点で気になるのは,やはり帝国ホテルだ。帝国ホテルを扱った書物はけっこうな数読んで,耳学問ならぬ目学問はそこそこ積んでいるんだけれども,実践が皆無ではどうにもならない。はとバスに帝国ホテルのランチバイキングを食べるのがコースに組み込まれているものがあるけれど,それすらぼくは未体験。
 死ぬまでに一度は体験してみたいものですよ,帝国ホテル。

● ウェルカムスイーツは虎屋の羊羹。ブルガリの持ち帰り用のアメニティも付く。これは一休のダイヤモンド会員の特典らしいのだが。
 相方がこのホテルに目を付けた理由の1つがこのブルガ
リにあるのではないかと睨んでいる。だとしたら,釣り餌としては悪くないのではないか。

● 先に着いていた相方が色々と買い込んできた中のひとつ。獺祭の中では一番安かったものだという。普段は日本酒は飲まないのだが,飲んでみればやはり旨い。つーか,旨すぎる。それゆえ,飲まないようにしないと,収拾がつかなくなりそうなのだ。
 これに関しては,将棋の芹沢九段の言葉が思いだされる。旨いウィスキーより不味い日本酒の方が百倍旨い。
 当時は今のように大吟醸だの純米吟醸だのは出回っていなかった。糖類を加えた日本酒があたりまえで,燗をした日本酒をこぼすと,テーブルがベトベトした時代だ。そういう日本酒でも旨いウィスキー(当時のことゆえ,“スコッチ”を想定していたか)より百倍旨い,と。上手いことを言うなぁと思ったものだった。

● 何はともあれサウナに行こう。“サウナ+水風呂”を4セット。海の底にいるような気分にさせる照明の使い方。セレブ感をくすぐってくれます。しかも,ここが東京駅の地下だと思うとなおのことですよ。こんなに地価の高い場所でサウナですよ。
 唯一の疑問点は,サウナ室にテレビ受信機があることだ。健康ランドチックなんだよね。もしくは,カプセルホテルチック。

● サウナの後に血圧を測ったら,全くの正常値。そりゃそうだ。血管が開いているだろうから圧は下がる。体重も順調に落ちている。
 先月24日の人間ドックで糖尿病(疑いではなく)と判定され,血圧もあまりに高いので二度計られた。中性脂肪もコレステロールもγ-GTPも法外な数値を叩きだした者としては,それでもちょっと嬉しいのだ。

● 外に出て八重洲地下街や大丸の食品売場を覗く。入りたい店はいくつかあれど,どうにか自重。じつは,朝,餅を4つ食べてしまっている。これ以上の炭水化物ははっきり危険水域。
 相方もぼくに付き合って我慢してくれる。申しわけないことだ。といっても,近くの成城石井で焼酎のハイボールを買って,部屋で飲んでしまったんですけどね。
 このホテルにエグゼクティブ・ラウンジなるものはないから部屋で飲んじゃうってことになる。ホテルのバーに気軽に行けるご身分じゃないしね。

● このホテルにはビジネスセンターがあるらしい。場所がらということだろうか。ビジネスセンターとはいっても,バブルの頃のそれではなく,パソコンとプリンターが何台かあるだけの無人部屋だと思うけど。
 確かめてみよう。結果,こんな感じでした。やはり無人部屋。こういうブースが3つ。コピー機が1台。大人の勉強部屋みたいなもんね。利用者はほぼいない気がする。
 PCはDELL。100円で10分間使える。これではいよいよ誰も使わないでしょうね。宿泊客におけるビジネス利用もそんなに高くないと思われる。宿泊客は高齢者が多い。ビジネスセンターを必要とするとは思えない。

● このホテルにもちろんWi-Fiはある。仕事人間は自分をパソコンを持ち込んで,自室で仕事をするだろう。Wi-Fiがあるんだから,困ることはほぼない。
 というわけだから,このビジネスセンターは(たぶん)無駄なスペースになってしまっている。無駄には無駄の効用があるのかもしれないのだが,文字どおりの無駄かもしれない。
 ただ,そんなことは百も承知二百も合点で,ビジネスセンターを設けることにしたはずだ。ひょっとすると,大人の事情というのがあるのだろう。

● 東京ステーションホテルの朝食は,世上の評価が高い。食べたいものが多すぎて困る。選べないのだ。
 ので,こんなことになる。ご飯のうえに載っているのは,豚肉の粕漬けと昆布巻き。味噌汁はきのこ汁。

● マグロはその場で切り分けている。大トロもあり。









● 手前の揚げ物はヒジキのコロッケ。ステーキもその場で焼いている。





● さらに,トマト各種を追加。糖尿病患者が血糖値を気にしないで食べられるもの。







● さらに,さらに。沢庵と一夜干しとシラス+大根おろし。あと,コンソメスープ。まったく脈絡がない。要するに,頭の中で整理ができないからこういうことになってしまう。

● 最後にデザート代わりに,再びの沢庵。2種あるのだが,麹で甘みを付けている方が旨かったので,そちらを。
 これは相方の言なのだけど,100点満点で平均が50点だとすると,○○は11点。ロイヤルパークの「シンフォニー」は78点。ここは98点。超ウルトラスーパーいい。格が違う。どの料理をとっても後悔しない。

● 今回は外国人比率がやや低く,高齢者が多かった。つらつら拝見するに,高齢者の方々にもいろんなことがあったことが偲ばれる。あるいは現在進行形で“ある”やに見える人もいる。
 こういうところで朝ごはんを食べれる年寄りは幸せかというと,そこをイコールで結んではいけないと思った。ことはそう単純ではない。そして,それはぼくらを励ましてくれるあるいは癒やしてくれるはずのものなのだ。

● 自分だけではないのだ。収入を問わず,階層を問わず,学歴を問わず,職業を問わず,役職を問わず,年齢を問わず,順風満帆な人生など存在しないのだ。
 人生は苦だとして,その苦の前には収入や階層や学歴や職業や役職や年齢など屁のようなものなのだ。万人は苦の前に平等である。

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