音楽家を志している才能あふれる若者が、いまの日本を見て「何かあったら暮らしていけない職業だ」と考えてこの世界に来ることを諦めてしまったら、将来私達が被る文化的損失は計り得ないほど大きいと思うのです。● 自身が音楽家であるらしい。これに対して引用リツイートで反応した。
そんなことはない。喰えないことは折込ずみで,それでもこの道を行く,と決めた人だけいればいい。食えないからやめておくという人は,それだけの才能しかなかったってことなんだよ。むしろ,才能がないのにこの道を目指そうとする人たちに再考を促す効果が,今回のコロナ騒ぎにはあるかもしれない。● が,同じ人の次のTweetを知るに及んで,上の引用リツイートはすぐに削除した。
音楽家に限らず、芸術文化に関わる全ての分野に言えるだろうし、観光業や飲食店なども。不測の事態が発生しても全ての人が安心して過ごすことができる世の中であることが、将来の自分たちを豊かにしてくれるのでは。● 率直に申して,ここまでのバカに何を言っても仕方がないと思ったのだ。これほどのバカに言語で橋を架けることは不可能だ。
蛇足もいいところだろうが,その所以を一応書いておく。「将来私達が被る文化的損失は計り得ないほど大きいと思う」のが,まず間違い。自分の属する領域を実態以上に大きく見てしまっている。
● 自分の立ち位置をモノサシにして世間や社会を見るのはバカでもできることだ。逆に,世間や社会の側から自分の立ち位置を逆照射するのは,バカではできない。
専門職と呼ばれる領域にいる人たちに,わりとこの類のバカが多いという印象を持っているが,その立ち位置を正確に座標化できないというのでは,バカを越えている。
● この人は「不測の事態が発生しても全ての人が安心して過ごすことができる世の中」というものがあり得ると思っているらしい。安心して過ごすことを脅かすものを,不足の事態というんじゃないか。
「不測の事態」とは今回のコロナウィルスを言っているのだろう。コロナウィルスで亡くなる人が,東日本大震災で亡くなった人を超えるとは思いたくないが,しかし,どうなるかわからない。
● それでも「全ての人が安心して過ごすことができる世の中」ってどういう世の中だよ。そんなものは洋の東西を問わず,今まであったことはないし,これからもないだろうよ。
もしあったら,それを天国と呼ぶのだろう。現世を天国にできると思っているって,小学生や中学生がそういうことを夢想するならわかるけど,大人の発言なんだよ,これ。
● しかも,その「不測の事態が発生しても全ての人が安心して過ごすことができる世の中」を建設することについて,自分も当事者だという意識はまったく感じられない。他人事だ。誰かがやれと思っている。
自分はあくまで受益者。バカにとどまらず,際限なく卑しい。
● おそらく,その誰かは政治家や官僚なのだろう。政治家や官僚が “打ち出の小槌” を持っていると思っているんだろうか。どういう世の中を作ろうとするにせよ,その原資は税金しかない。税金でなければ国民からの借金だ。あたりまえのことだ。
たとえば,アメリカから買う戦闘機を全部キャンセルしたって,「不測の事態が発生しても全ての人が安心して過ごすことができる世の中」を作るコストの万分の1にもなるまいよ。焼け石に水にすらならないだろうよ。
● まことに,世の中にはモノを考えるということを知らないバカがいるってことだね。それをわからせてくれるのがSNSの功徳のひとつだ。
教訓は,『自分は自分,バカはバカ』(西村博之さんの著書のタイトルね)ということ。自分と考えを異にする人のTweetに絡んでも,たぶんいいことはない。
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