2020年11月21日土曜日

2020.11.21 旧岩崎邸庭園

● 東武電車で浅草に着いた。浅草は素通りするのが常。浅草寺も浅草神社も待乳山も何度か行ったからもういいかな,みたいな。それだけが浅草ではないはずだけど。
 ともあれ。銀座線に乗って上野広小路。旧岩崎邸庭園にやってきた。6月に来たときはコロナで閉園中だった。

● 現在は都が管理している。入園料は400円。この方面に興味のある人なら,飽きることなく楽しめるだろう。
美術館や博物館とはそうしたもので,興味がないなら行かないに越したことはない。
 興味がなかったのに行ってみたら面白くて,それがキッカケで興味を持つようになったんですよ,なんてことはまずないとしたものでしょう。
 で,そういう自分はどうだったかというと,どうも1回で気がすんだっぽいから,行かないに越したことはない方の人間だったようだ。

● 辞典的な説明だが,この邸は三菱3代目の岩崎久彌の本邸として建造されたもの。設計はイギリス人のジョサイア・コンドルによる。東大工学部建築学科の初代教授を務めた人(日本人を妻とし,日本で永眠した)。
 2階建ての洋館(地下室もあるが非公開)がメインとなる。隣に別棟で撞球室があり地下通路(非公開)でつながっている。書院造りの和館もあるがこじんまりとしている。といっても,元々は洋館をしのぐ規模であった。そして,広い庭園がある。
 これだけの広大さでも,現在まで残っているのは往時の3分の1にすぎないという。

● 洋館の列柱の意匠や階段手摺の装飾,2階の金唐革紙の壁紙なんかは,ぼくの感応域を超えてしまっている。何とデコラティブな,という印象しか出てこない。
 和館の書院の違い棚にも見とれてしまう。今ふうの意味での実用性はあまりないと思うのだが,今ふうの実用性というのはじつは狭小すぎる見方であるのかもしれない。無用の用を用とする見方がかつてはあったのかも。っていうか,今でもあるのに,自分の目には見えないだけなのかも。

● 岩崎家の出自はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」に描かれたとおりなのだろうけど,時流を掴んだのは運以上に実力なんでしょう。金の力は偉大だよねぇ。広く薄く撒くよりも特定の人にドッと集めた方がいいのかもね。文化財になって後に残るんだから。
 成りあがりも気合を入れれば後世に残る文化になる。文化は成りあがりを許容するんですよね。そうじゃなかったら,文化って継承されていかないでしょうからね。

● 岩崎家の系図も残されている。成りあがると高貴な血筋を求めるものだと勝手に思っているのだが,岩崎家もその例にもれない。ただ,求めずともそうならざるを得ないのかもしれんね。そうした見えない仕組みがあるものでしょ。
 まぁね,徳川家にしたって家康のジイちゃんはどこの馬の骨かわからない(源氏につながるなんてのはデッチアゲに決まっている)。今の当主は立憲民主党から選挙に出る大ウツケときている。男子相続の家系というのは側室制度がなければ成り立たず,それでも足りずに養子でつなぐのでなければ存続できないものだ。“血” は基本的にフィクションだと思うが,たとえフィクションであっても無視はできないものだろう。

● 柳宗悦の「用の美」もたしかにあるんだろうけれど,こういうところに来てみると,文化とは金なり,と思ってしまいますよ。
 膨大な金をつぎ込み,その大半はそのまま泡と消える。しかし,わずかな上澄みが残り,それが積み重なって後世に文化や芸術と認知される何ものかになっていく。そういうイメージ。

● ひとりで見学(?)に来ていた若いお嬢さんがいたんだけど,建築を勉強中の女子大生だろうか。あるいは,日本近代史に興味があるんだろうか。
 まぁ,たんなる観光なのだろうかなぁ。ひとりでってところがいいよ。彼氏や友だちと一緒というのではなくね。自分もひとりだから言うのではないが。

● さて,ここからは東京駅に向かう。東武を使って東京に出ることが増えたので,JRからは遠ざかっている。都内の移動はもっぱらメトロ。
 というわけなので,メトロの24時間券を買うのが慣わしになった。600円分は乗らないかなというときでも24時間券を買う。面倒がなくていい。

0 件のコメント:

コメントを投稿