2020年11月28日土曜日

2020.11.28 池波正太郎記念文庫

● 2,340円で泊まったビジネスホテルをチェックアウトして,日比谷線で小伝馬町から入谷まで移動。入谷で降りるのは初めてかもしれない。三ノ輪なら何度か降りたことがあるのだが。
 言問通りをスカイツリーに向かって進むこと,しばし。台東区生涯学習センターに着いた。図書館を中心にした複合施設だ。宇都宮でいえば,市立南図書館を大きくしたようなものだと考えていいだろう。


● その中に池波正太郎記念文庫がある。その池波正太郎記念文庫を拝観に来た。地元の人はあまり来ないのかもしれない。この時間帯,拝観者はぼくひとりだった。
 池波正太郎の時代小説はひとつも読んでいないのだが(これから読もうと思っている。老後の楽しみに残しておいたのだが,もうその老後にさしかかっている。ウカウカしていると,老後の楽しみを果たさないままあの世に行くことになってしまう。そろそろ,そういうことを真剣に思わないといけない時期になってきた),エッセイは若い頃にけっこう読んだ。

● 食,映画,芝居,銀座などを話材にしたものが多かったと思うが,何を話材にしたところで,結局は自身を語ることになるのがエッセイだ。自分の来し方,価値観,育ち方。そういったものを食や映画や銀座に事寄せて語る。そういうものだと思う。
 それを熱心に読んでいた記憶がある。自分には縁のない都会的なるものを求めていたんだろうか。
 で,それに影響を受けたかというと,たぶん,それはない。影響を受けられるだけの水準に,当時の自分は達していなかった(今も達していないと思うが)。単純に読むだけの読者であって,それ以上ではあり得なかった。


● 自筆原稿も展示されているが,こういう施設で最も惹きつけられるのは書斎だ。仕事場。ここで書いていたのかという,その現場。
 それをわかっているから,漱石山房記念館もそうだったけれども,書斎はそのままの状態で復元されることが多い。
 圧倒されるのは辞書。狭義の辞書ではなく,いわゆるレファレンスブックだ。調べ抜いて書いていたのだな,という。今ならネットで検索することになるのだろうか。レファレンスブックは不要になっているんだろうかな。

● しかし,こういうものは残らなくなるだろう。愛用の万年筆も自筆の原稿も,今の作家は残すことがない。パソコンで書いているだろうから(自筆派もまだ生存しているようだが)。
 ファミレスやカフェを仕事場代わりにしている人もいるかもしれない。であるなら,決まった仕事場は存在しないことになる。

● 台東区生涯学習センターの隣にあるのが金竜公園。普通の公園なのだが,土地単価が高い分,貴重だよ。
 合羽橋道具街はここから始まる。

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