強い塩味,がそれだ。
● たとえば鮭茶漬け。塩をまぶしたというより,塩の中につけ込んでおいた鮭を使ったのだろう。鮭の風味も何もなく,塩の味しかしないような鮭の切り身を焼いて,その残りのカケラを冷や飯(おそらく,米と麦の割合が5:5の麦飯)に載せて,お茶をかけてかきこんだのだろう。
だから,茶漬けは決して旨いものではなかったはずだ。
● ちなみに申せば,夏場には冷や飯に塩を載せて,そこに水を加えて,そのままかきまぜて胃に流しこんだりもしていたろう。
とても食事とは呼べないような,そうした給餌を自分たちに与えていた。昔の日本人にはファストフード以外の食事などなかったのではないかと思うほどだ。
● その茶漬けを旨いものに変えたのが永谷園と丸美屋だ。茶漬けをインスタントにした。
お茶をかける茶漬けは,今のぼくらはまず食べることがない。ちょっと高級な旅館に泊まったときに,あるいは出てくるかもしれない。その程度のものだ。
普通は,白湯をかける。ぼくらがお茶漬けというとき,それはご飯に一袋の永谷園の“海苔茶漬け”をふりかけて,お湯をかけたもののことだ。
“海苔茶漬け”の中に抹茶が入っているんだから,白湯をかけても茶漬けと呼んでいいわけだ。
● じつにインスタント。でも,そのことによって,ぼくらは美味しい茶漬けを食することができるようになったというものだ。
そうではない高級茶漬けは,それこそ高級旅館に泊まったときか料亭にでも行ったときに,所望すれば作ってもらえるだろう。由来からすれば高級と茶漬けは相容れないだろうけれども,由来は由来でしかなく,今は成立するようになっているのだろうから。
● 今日は永谷園ではなく,丸美屋の製品を使ってみた。梅干しをひとつ入れると,一段と旨くなりますなぁ。
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