● 八重洲ブックセンターの店頭にこういうコーナーが。新書の一部を3割安く販売。
● 書籍は再販価格維持。しかも,よく売れるものもそうではないものも,あまり価格差がない。同じ新書で同じページ数なら,値段もだいたい同じ。
そうじゃないと困る理由があってそうなっているのだろう。
● しかし,本にも生鮮食品的なところがあるんですねぇ。出版されて期間が経つと,新刊書店でも安く販売する。合理的ですよね,それが。
返品されて裁断されて最後は灰になるよりも,買ってもらって誰かに読まれるのが本にとっては本望のはずだから。
● 本の本体は紙に印刷されている活字にある。ところが,一度読めば活字が消えるというふうにはなっていない。紙だから長くもつ。たいていの本は製本もしっかりしている。
CDを買えば何度でも好きなだけ聴くことができる。本も一度買えば好きなだけ読み返すことができる。
が,一度読めばもうたくさんって本も多いわけで,したがって転売のルートが自ずとできる。読まれた本はブックオフに持ちこまれる。
● 問題は転売するときの価格だ。住宅も自動車もわずかでも使われると,経済価値はガクンと下がるという。
本も同じ。一度読んだ本の価値って,こんなに下がってしまうものかと唖然とする。新品同様の状態であっても,買い叩かれるからね(ということをしばしば聞くので,ぼくはブックオフに持っていったことはない)。
ブックオフでも売れないでズルズル時間が経つと,100円で販売される。読むにはそれで充分なわけだが。
● それとは別に本の鮮度っていうのもあるんですね。鮮度があるということそれ自体は,ぼくのような者にも理解できるんだけど,劣化(経済価値の下落)の速度がこちらの理解をはるかに超えて進行する。
次から次へとおびただしい数の本が刊行されるんだから,刊行後の劣化もそれに似合ったものになるのだろう。
● 半年前に出版された書籍のうち,今も書店の棚に残っているのはどれくらいあるだろう。印税で喰っていくというのはかなり難しい時代になっているんだろうね。
昔,山口瞳さんが「文庫が10冊になるまで我慢しなさい。そうすれば喰っていけるようになるから」と書いているのを読んだ記憶があるんだけど,今ではとても通用しないでしょうね。
文庫といえば岩波,角川,新潮しかなかった時代と今とではぜんぜん違うし,3年間の風雪に耐えたものが文庫になるという状況でもなくなっているし。
● 新書3割引のコーナーを見て,以上のようなことを思った。
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