● 滅多に行かないブックオフに久方ぶりに行ってみた。本は財産と昔は言われていたのではなかったか。が,まことに今は昔のことであるなぁ。
知的生産の表現物である本は,少なくとも経済的には甚だしく経年劣化するものであることが,いやでもわかる。
● 柳田國男の全集があった。1冊300円。若い頃,ひと月分の給料をはたいて買ったのではなかったか。数十年を経て,それが1冊300円で買えるのだった。本はまったく傷んでいない。
しかもだ。ぼくは結局読まないで今日に至っているのだ。全集を売った人も,たぶんぼくの同類だろう。
● 本は保存しておく必要はないなとも思う。ぼくが持っている本はほとんど図書館かブックオフにある。であれば,保存コストがもったいない。
ブックオフで100円で買えるんだったら,必要に応じて何度でも買ったほうが保存しておくより安いかもしれない。
もっとも,最近は保存することをやめている。読んだら,ブックオフには持っていかないけれども,地元の図書館のリサイクルコーナーにそっと置いてくる。図書館が古くなった本を開放するコーナーなんだけど,そこに置いてくることにしている。
● 本が売れなくなったというけれども,これじゃあたりまえかも。ちょっと待てば,新品同様の状態で安く買えるんだから。ブックオフの再販分も含めれば,決して減っていないのではないか。
ブックオフができて本が回流するようになったのだろう。流れている本の総量はかえって増えているのじゃないかと思うほどだ。
● ここに来ると,本が特別なものではないことがわかる。消費されるものだ。古典であっても,その徴表物である本は,時間の経過とともに価値を減ずるものだというあたりまえのことが,ブックオフにいくとくっきりとわかる。
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