● 昔,卵はそれだけでご馳走だった。卵焼きが憧れだった。今のように,焼いて畳んできれいに整えてなんてことはしなかった。フライパンに卵を流して焼くだけだから,薄い卵焼きになる。
それをそのままオカズにしたり,弁当にご飯を詰めてそのうえに載せたりするだけだった。
ご飯を食べるためのオカズだから,焼く前に塩を投入していた。しょっぱい卵焼きだ。それでも,それだけで立派なご馳走だったのだ。
● 今は,オムレツだの目玉焼きだのスクランブルエッグだのと,いろんな卵料理が,ぼくのような大衆の食卓にものぼるようになった。卵は安価な食材の代表だし,調理もしやすい。
● で,思うのは,卵は生で食べるのが一番旨いということだ。
その代表は卵かけご飯だ。ご飯と卵と醤油。それだけで旨い食事ができる。
卵かけうどんもある。うどんが茹であがったら,水にさらさないでそのまま器に移す。味の素と生卵をかけて,よくかき混ぜる。生醤油を垂らしてさらにかき混ぜる。餓鬼のように喰う。“めんつゆ”は要らない。
● 吉野家の牛丼に生卵をかけて食べるのも乙なものだ。牛丼が生まれ変わる。吉野家が“料亭よしの”に変わるような心地がする。
というと,いくら何でも大げさなんだけども,卵一個でただの牛丼が別の料理になる。
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