2018年5月19日土曜日

2018.05.19 都市伝説

● 今日の昼食はセブンイレブンのカツカレー。コンビニは街の大衆食堂にとっても驚異であろうな。
 以前からコンビニ弁当には保存料がどっさり入っているという風評がある。コンビニ側は一切の抗弁をしない。頑なに沈黙を守っている。大人の対応としてはそれしかない。いちいち抗弁してたら,その度に話題になってしまう。痛くもない腹を探られることになる。
 支持を受けているがゆえの余裕かもしれない。財布を開いてお金を払ってくれるお客さんがたくさんいるのだ。風評など放っておけばいいと考えるだけの余裕があるのだろう。

● コンビニ弁当には保存料が入っているから食べない方がいい。そういう風評がなぜ広まったのかというのは,検討に値する問題かもしれない。
 そういう風評が立つことで得をする側の人間がいる。いつ行ってもコンビニには弁当が並んでいるんだから,保存料をいれて長くもつようにしているのだろうと単純に思ってしまう人がいる。

● かつて船井幸雄という経営コンサルタント会社の社長がいた。著書もたくさん書いた人で,似非科学の普及に功績があった。彼が著書で紹介した人は次々にお縄になったり失脚するという,曲がりやでもあった。
 その彼が,機内食は食べてはいけないと書いていた。航空会社の人に食べない方がいいと言われたというのだ。理由は同じだ。食中毒は絶対に出してはいけない機内食となれば,保存料なしですますわけにはいかないだろうと誰でも考えるだろう。
 しかし,だ。保存料の害というのがいかほどのものであるかちゃんと知っている人がどれだけいるか。少なくとも,喫煙者や酒を飲む人や甘いものに目がない人が,保存料の害を心配する必要はないのではないか。
 ともあれ。保存料が入っているものは身体に悪いので自分は食べない,とCAに言えるほどのエゴイストが,自分の半径3m以内にいたとすると,自分の居場所を変えたくなる人もいると思う。

● 機内食に保存料が使われているのかどうか,ぼくは知らない。が,コンビニ弁当となると話は別だ。
 SNSでもコンビニを告発する投稿を見ることがある。自分はコンビニ弁当をつくる工場で働いていたことがある。マニュアルにしたがって保存料を振りかけたところ,そんな量じゃダメだ,もっと大量に使え,と上司に怒られた。と書かれている投稿を読んだことがある。もちろん,匿名だ。かなり悪質だ。

● はるかな昔。ぼくがまだ青年のはしりだった頃に,家電量販店(栃木県だとコジマ)が広がっていった。そのときもこういうことが言われた。コジマで売ってるものは安いけれどもすぐに壊れる。
 ぼくの親などもその話を信じていた。信じていると,それに適う事例を集めてしまう。たまたまであろうが,他に理由があってそうなったのであろうが,やはりそうかという根拠になってしまう。
 この場合も,そういう風評で得をする側の人間がいた。同じ商品をこれだけ安く売れるわけがないと単純に信じてしまう大衆がいた。

● 最近の小学校では運動会でも順位をつけない,ゴール前で後続者を待って皆で同時にゴールするのだ,という話もひと頃は流布した。今でもそう思っている人がいるかもしれない。
 しかし,不思議なことがある。目撃者がいないのだ。自分の通っている小学校の運動会ではそうしているという児童は一人もいない。自分が勤務している小学校ではそうしているという教師も一人もいない。自分の子供が通っている小学校の運動会でそういう光景を見たという保護者も一人もいない。
 ここから導かれる結論はひとつだ。実際にはそういう事実はなかった。つまり,これは都市伝説の類だった。口裂け女(古い!)の話と同じだ。

● 誰かが言いだした。あるいは,同時多発だったかもしれない。今の小学校ならいかにもありそうなことだと考えた人が多かったのだろう。それを聞いてそうなのだと信じてしまう。
 “いかにもありそうなことだ”から信じるのは,思考停止の典型だ。都市伝説は多数者の思考停止から生まれるのだ。

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