● 世界一周クルーズ。以前は,日本の「飛鳥」や「にっぽん丸」など複数のクルーズ船が毎年催行していた。それでもすぐに予約が埋まった。
同一国の乗客だけで世界一周クルーズを満員にできるのは日本くらいのものだと言われていた。バブルがはじけてからもしばらくはその状態だったようだ。
● が,今は昔の物語。「飛鳥Ⅱ」も「にっぽん丸」も「ぱしふぃっく びいなす」も世界一周はやらなくなった。いや,「飛鳥Ⅱ」は今年はやるんだったかな。来年の告知はないようだが。
その代わり,JTBがサン・プリンセスをチャーターして催行する。
● 世界一周クルーズが下火になった一番の理由は,地中海に海賊が出没するようになったことだ。さらに,中東での戦争の影響。
「飛鳥Ⅱ」のクルーズが復活したのも,海賊の取締が効果をあげたからのようだ。
● つまり,日本人の経済力が落ちて,参加できる人が激減したからクルーズを取りやめたわけではない,ということになっている(?)。とはいえ,それがまったくないのかどうか。
世界一周に要するコストも上がっているはずだ。となれば,料金も上がるのが道理なのだが,それでもかつてと同じように,定員の倍も予約が殺到するという状況になるのかどうか。
● ところが,このJTBのクルーズ。「飛鳥Ⅱ」とは設備もサービスも違うんだろうから,単純比較はできないんだけど,価格もだいぶ安くなっている。
300万円が平均的なところとして,夫婦で600万円。「飛鳥Ⅱ」の半値近くではないか。98日間でオールインクルーシブなんだ(ろう)から,300万円は安い。
もっとも,ピースボートならツインで198万円からあるらしいんだけどね。
● 対象となる顧客はリタイア世代に限られる。彼らがあとに何も残らないものに300万円を一度に使えるかという話。
ぼくなんかは新車が1台買えるなと思ってしまいそうだし,家も直さなきゃいけないしとか考えてしまいそうだけど,この料金なら殺到するよね。
リタイア組もかつてほど豪放磊落ではなくなっているようにも思えるんだけど(ぼく一個はそれでいいのだと思っている),安けりゃお客は集まる。
● というわけで,皆さん。世界一周クルーズ,だいぶ障壁は低くなってますよ。
一世紀前なら,そんなことをできる大金持ちは世界にひとかけらしかいなかった。一部の貴族と大富豪。
それが,たったの300万円ですよ。ちょっと無理すれば,誰でも行けるようになってるんですよ。
● しかし,そうなってしまうと,世界一周クルーズの価値が大きく低減するのも事実。行ったところで,話のタネにもならないかもしれない。
希少だから価値がある。希少価値以外の価値っていうのは,なかなかないものですなぁ。
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