● 花(桜)の命は短い。だから,花は人間(の主に女性)になぞらえられることがある。乙女の旬も短くてはかない。あたかも満開になった桜があっという間に散るがごとくだ。
が,花は来年も必ず咲くことがわかっている。ゆえに,花の命は悠久だ。人間になぞらえてはいけないものだ。
花には一回性がない。人間にはある。
● 若い頃は自分の終期が見えなかった(今でも見えているわけではないけれど)。花よりも自分の寿命が長い。何度でも見られる。今年の花を見逃したところで何ほどのことがあろうか。
けれども,この歳になれば,人ひとりの一生より桜の樹木のほうがずっと長命であることが納得される。
● 咲いては散る桜の花の前において,ぼくらの一生はあまりにはかない。
● ではおまえの寿命を倍にしてやるよ,と神さまに言われたら,ありがとうございますと受けるか。
謹んでご辞退申しあげたく思う。はかないからこそ,何とか生ききることができる。
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