● なんだけど,魚が嫌いなわけではない。だから,回転寿司にはしばしば行くわけですね。回転寿司にはね。
● 旨い魚を食べようとすれば,青森や函館,富山や気仙沼に行けばいいのか。高級品が集まる築地に行ってみるか。
って,そこまでする情熱は,魚に限らず,ないわけですよね。時間とお金をかけてわざわざ遠くの産地や市場に行くなんてね。
● 大昔,若気の至りで,ちゃんぽんを食べるためだけに,寝台特急に乗って長崎まで行ったことがある。昼着いて,その日の夜には帰りの寝台特急に乗った。
この話,けっこうそちこちで吹聴してるんだけど,若気というよりもある種の気取りがあるよね。これがダンディズムだっていう愚かで手軽な思いこみがチラチラ透けて見える。
今思えば,かなり恥ずかしい。
● 旨いものを喰うためなら千里の道も遠しとしないという輩は今でもいて,そういう人が書いた体験記がけっこう読まれたりもしている。
が,ここでもダンディ気取りがチラッチラッと見えて,わりとぼくは冷淡だったりする。勝手にやってろ,みたいな。
● であっても,どうせなら旨い魚を喰いたい気持ちはぼくにもある。ただ,その気持ちが人より少し弱いかもしれないと思うことがあって,そうだとすればその理由は次の2つだ。
ひとつは,自分が味オンチだと自覚していること。味オンチにチョー旨いものを喰わせても仕方あるまいよ。
もうひとつは,ケチ根性だ。旨くても高いんじゃ腰がひけてしまう。
● 旨いものは高い。このテーゼはとりあえずの法則として認めてよい。5の味から9の味に持っていくのに要する費用が100だとすれば,9から10に持っていくには1000はかかるだろう。
だから,旨いものを食べるのにはお金がかかる。とはいえ,10の味のものを自分に喰わせたいとは思っていない。
● たまたま,今日,宇都宮のオリオン通りにある「出世街道」という店に入った。この店があることは以前から知っていたけれども,名前が「出世街道」だからね。いまさら,あやかっても仕方がないしね。
入ってみれば,大衆食堂っぽい気安い雰囲気(メインは夜のほうだと思われる)。若い男性がひとりで食べに来ていたり(これから「出世街道」に漕ぎだすんだろうな。いや,漕ぎださないのかもしれないけど),家族連れや年寄りのカップルもいる。
● 丼ものと定食。刺身定食やマグロ丼など,魚がメイン。トンカツ定食やカツ丼もあるんだけど。山かけ丼を注文。690円。
びっくりするほど旨いというわけではないけれども,普通に旨い。マグロと山芋なんだから,不味いはずがない。
● で,自分にはこれで充分なんだなと思った次第です。
ひょっとすると,スーパーでマグロの刺身と大和芋ときざみ海苔を買ってきて,自分で作っても旨いのかもしれない。今度やってみよう。
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