● 上野駅の入谷口を出て,エスカレーターで降りていくと,そこに大勢の人が集まっていた。いや,集まっていたわけではないかもしれない。たまたま,そこで立ち止まっていただけかもしれない。
とにかく,大勢の男女がいた。
● その彼ら彼女らが,一人残らずスマホをいじっていた。一人残らずだ。だから,大勢の人が集まっているにもかかわらず,いたって静かだ。口を開いている人なんていないんだから。
その場を通り過ぎる人だけが喋っている。
● この光景,驚くにはあたらない。それはわかっている。ぼくにしたって,同じようにしていることが多い。
しかし,さすがに異様感に襲われた。何なんだ,これは。これだけの人がまったく同じ時間の使い方をしている。寸分違わず同じことをしている。
● スマホを使って何をしているのかは,人それぞれなのだと思う。と言ってはみたけれど,大した違いはないよなぁ。ゲームだったり,LINEでやり取りしていたり,だいたい似たようなことをしているんだろう。
いやいや,スマホ以前も同じだった。誰もが同じような話題で喋っていた。上司の悪口だったり,売れているタレントの話で盛りあがったり,美味しいお店があるよっていう話だったり,彼がねぇっていうノロケだったり,そこにいない人の噂話だったり,要はどうでもいい話を繰り広げていただけだった。
リアルのお喋りから,スマホの画面が窓口になっただけのこと。何も変わっちゃいないのだ。
● スマホがもたらしたものは,次の2点だと思う。
ひとつは,フェイスtoフェイスではないコミュニケーションを無料で実現したこと(月額の通信料はかかるわけだが)。LINEであり,FacebookのMessengerだ。もうひとつは,一人でできる娯楽の領域をこれまた無料で拡大したこと。
ヘビーユーザーというか,頭が良くて行動力がある人たちは,それ以外にも色々と便利に使っているのだと思うけど,ぼくらにとってはこの2つだ。
● その結果どうなったかというと,コミュニケーションに言葉が要らなくなった。この変化がとにかく劇的だ。まったくスマホはぼくらの生活の仕方を変えてくれた。あっという間に大きく変えてくれたと思う。
しかし,これ,ほんとにバカに見える。バカにしか見えない。このあたりは,要は慣れの問題で,いずれこの光景があたりまえに映るようになるんだろうけどね。
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