2018年1月24日水曜日

2018.01.24 もはや老後だ。これからやってみたいことがあるか?

● 寿命が延びて老後が長くなっている。65歳定年制になるとか,70歳まで働くとか,そういうことになるんだろうから,“仕事をしなくてすむようになった時期=老後”とすると,そんなに老後は延びないということに,いずれはなるのかもしれない。
 が,只今現在は,22歳から60歳まで働いたとして,38年。60歳から先,38年生きる人はさすがに少ないだろうけれども,にしても20年は生きなきゃならない。

● 時間で測るともっと凄いことになる。現役時代の労働時間は1日10時間程度が平均だろうか。年間2,000時間といったあたりじゃないかと思う。38年間で76,000時間,3,167日,106月,8.8年。
 労働時間は一生の間で9年に満たない。このほかに,通勤やつきあいの時間があったわけだけど。
 同じように老後を迎えても,睡眠や食事や家事を除くと,自由に使える時間は多くて1日の半分,12時間程度だろう。だとしても,20年で87,600時間になる。

● これをどう使うか。それがつまり,老後の問題の大宗だ。時間でいえば老後の方が長い。
 ただし,活力に満ちた壮年期は会社なり仕事なりに奪われている。会社や仕事から解放されたときには,体力や反射神経や頭の回転は衰えている。
 それは定年前に自覚する人が大半だと思うが,その衰え方は一定ではないだろう。加速度が付くと覚悟しておかないといけない。そういう前提で老後の時間に何をするかだ。

● 若い頃,というか最近まで,電車でフラフラとそちこちへ行っていた。見たい場所があるわけではない。歩いてみたい街があるわけでもない。お目あての名物があるわけでもない。
 けど,何日も電車に乗り続けていた。「青春18きっぷ」のせいだ。

● そんなことに若い時期の多くを費やしてしまった。よほどモテなかったに違いない。
 あるいは,酒にお金をつぎ込みすぎて,それ以上のことをする経済的な余裕がなかったのかもしれない。「青春18きっぷ」で遊ぶのが手一杯だったのかも。
 そのあたりは,自分のことなのにはっきりとは憶えていない。でも,そういうことをまたやってみたいと思っていて,三つ子の魂じゃないけれど,趣味とか好きなことっていうのは,基本,若い頃のままですね。
 逆にいえば,ある程度の年齢になってから飛躍が起こることはまずない,ということですね。

● だから,老後に何をするか,あるいは何ができるか,は,定年になった時点で勝負が付いているということだ。60歳になってから,何もないところに家を建てるのは不可能だからだ。
 やりたいことがあって,それを現役のときからできる範囲でやっているのでなければいけない。

● たとえば,時間ができたら本でも読もうと思っている人は,時間ができても本は読めない。本を読むにはけっこうなエネルギーと根気が要る。
 還暦になってから身につくとは考えない方がいい。せいぜい,毎日図書館に通って,新聞や雑誌を読む程度に終わるだろう(それが悪いということではない)。

● 見るとか聴くといった受け身の趣味なら,誰にでもできそうだと思えるかもしれない。が,これまたそうはいかない。還暦過ぎに,それまでまったくなじみのなかったクラシック音楽を聴けるか,歌舞伎を見れるか,といえば,答えはノーだろう。
 美術館巡りもそうだ。二,三回でもう止めたとなるだろう。見る目がないんだから,絵画や彫刻を見たところで面白いわけがないのだ。
 映画ですら,映画館で見るという習慣がなかった人が,定年後に映画館通いができるかといえば,やや疑問符が付く。たとえ娯楽映画であっても,家でテレビを見るようなわけにはいかないのではないか。

● 仕事人間では困るというのはここのところだ。サラリーマンの転職希望者に,あなたは何ができますかと訊くと,具体的なスキルではなく,部長ならできますとか,主任ならできます,と答える人がいるという話が,ビジネス書に載っていることがある。
 おそらく,実話ではないだろうが,実際には転職後に部長や主任が務まることは稀だろう。仕事のノウハウはその会社や役所でしか通用しない。しかも,いつまでも通用するとは限らない。
 だから,財務省の官僚の天下りでも務まっている銀行の頭取なんていうのは,そもそも誰でも務まるポストなのだろうと考えておけばいいのじゃないか。
 仕事人間であるというのは,期間限定・職域限定のノウハウを溜めることしかしていない,ということだ。そういうヤツは放っておくしかない。ガキじゃないんだから,それくらいわかってろということだ。

● これ,自分にも跳ね返ってくる。おまえは老後を「青春18きっぷ」で過ごすしか能がないのか,とね。悲しいけれど,そうかもしれん。
 あとは自転車だな。ジャイアント(→なぜジャイアントかというのは,こちら)のロードバイクを買う方向で,相方と調整がすんでいる。問題はひとつ。最近,めっきり自転車に乗らなくなったこと。特に昨年4月以降はバッタリと乗ってない。
 でも,ま,死ぬ前に一度はロードバイクの乗り味を体験したいし,自転車が変われば乗るようになるかもしれないからな(ならないかもしれないけど)。何せ,手元にある安物はブレーキがまともに利かないんだから。

● 自転車で日本一周くらいはやってみたい。若い頃にやっておけばいいんだろうけど,若い頃はそういうことに頭が向かなかった。それをバカというのかもしれない。自分はいろいろとバカだった。
 そのバカゆえの欠落を,老いてから埋めたいと思っている。いろいろと妄想は逞しくしている。その前にまず,自転車に復帰しなくちゃいけないわけだが。

● あとは今までやってきたことをそのまま続けていくことになる。その先に何があるのかといえば,たぶん何もない。いや,“たぶん”はいらない。何もない。
 寿命がいくら延びても同じことだろう。人生に自分なりの区切りをつけるというのは,おそらくできないことだ。つけられると思っているとすれば,それは幻想の最たるものではないか。

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