● 角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズは,その名のとおりぼくのようなビギナーにも読むことができる。今のところ,『おくのほそ道』と『方丈記』しか読んでいないんだけど,『梁塵秘抄』も読んでみたいと思った。
ところが,地元の本屋にはないんでした。で,東京に行ったついでに,八重洲ブックセンター本店で探すことにした。
● かつて,ぼくは本を買う人だった。年間100万円は本代に充てていた。当時は,インターネットもアマゾンもない。パソコンもなかった。
ので,地元の本屋に置いてなければ,取り寄せてもらうか,東京の大型本屋まで探しに行くしかなかった。地元には大型本屋なんてないからさ。
● その頃,売場面積が最も広かった書店が,東京駅の八重洲南口にある八重洲ブックセンターだった。地の利も良かった。
まっすぐ八重洲ブックセンターに向かって本を探した。たいていは,見つけることができた。
● しかし,次第に本を買わなくなった。理由はいくつかある。そのひとつは東日本大震災。わが家もけっこうな被害を受けた。屋根の瓦は全部落ちたし,タンスといい食器棚といい,家中の什器は全滅した。
書庫に積んであった本もすべてこぼれ落ち,元に戻す気力すら奪われた(だから,今もこぼれ落ちたままになっている。棚に戻すのではなく,処分したのはかなりあるが)。
本なんか溜めとくもんじゃないと思うようになった。本に限らず,モノなど持っていていいことは何もないという気分が強くなった。
ちなみに申すと,家も持つんじゃなかったと後悔した。借りておくのが正解だった。不動産も持っちゃいけない。
● 本は図書館で借りればいい。図書館を自分の書庫として使えばいい。自分の書庫を一般開放しているのだと思えばいい。
そこには司書もいて,きちんと書庫の整理をしてくれている。地震があろうが何があろうが,まずは安心だ。
● 図書館にない本は買うしかない。といって,それが地元の本屋になかった場合,わざわざ東京まで行く気はなくなって久しい。
アマゾンがあるから東京まで探しに行くことはなくなったというわけではない。アマゾンはぼくも利用するけども,本を買ったことは一度もない。スマホのバッテリーとかノートカバーといったブツは買うけれど,本はリアルの書店以外のところで買う気にはならない。
地元の書店にないものは,読まないですますようになったのだ。堕落ですか。
● そうはいっても,たまたま何かの用事で東京に行ったときには,探していた本があれば,八重洲ブックセンターに行ってみるという程度のことはする。
今では,池袋のジュンク堂をはじめ,八重洲ブックセンター本店を上回る大型書店があるようなんだけど,この部分に関しては,ぼくの時間は30年前に止まったままになっている。大型書店の代表は八重洲ブックセンター本店ということになっている。
● 今回はたまたま,角川ソフィア文庫の『梁塵秘抄』を探していたということ。で,さすがにここにはあったんでした。すぐに見つかった。
なんだけど,この『梁塵秘抄』は抄本なんですね。全文が載っているわけではない。全文版があるのかどうか知らないけれど,同じ編者の,もっと収録数が多そうなのがちくま学芸文庫から出ていたので,結局そちらを買うことにした。
ともかく,用は足りた。
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