2016年12月29日木曜日

2016.12.26 斎場御嶽

● 午後は南城市にある斎場御嶽(せーふぁうたき)に行った。これだけはぼくの発案だ。沖縄には何度か来ているものの,まだ一度も行ったことがない。
 首里城に続いて,世界文化遺産を見ることになる。世界遺産はどうでもいいんだけど,琉球王朝を巫女的な側面から支えていた聖地が斎場御嶽。それなら一度は見ておかなくてはならない。

● で,出発前からネットで行き方は調べておいた。モノレールの旭橋駅で降りると,那覇バスターミナルがある。38番線の志喜屋線(東陽バス)に乗ればいい。バス代は830円。時刻表もネットに載っているのでプリントアウトしておいた。
 しかし,行ってみるとバスターミナルは一部工事中で,バス停の位置が動いていたようだった。時刻表もネットにあったものとは違っていた。

● ので,すんでのところで乗り遅れ,次のバスを1時間ほど待つことになった。ま,おかげで近くにあったコンビニでオリオンビールを買って飲んだり,この近辺を散歩したりもできたんだけど。

● 出発すると,最初に県庁南口というバス停がある。次が那覇高校前。ここでまず驚いてしまった。
 普通,高校っていうのは市街地を外れたところに建てられる。市街化が進んでそこが建てこんでくると,邪魔者扱いをされるようになって,さらに遠くに追いやられる。学校とはそういうものだと思っていた。
 ところが那覇高校は正々堂々,市の中心地にあるのだ。那覇市民は市街地に高校があっても邪慳にしたりしないのだ(いや,してるのかもしれないが)。

● バスの初乗り料金は230円。宇都宮だと150円だから,ちょっと高いなと思った。が,どこまで行っても230円のまま。230円でかなり遠くまで行けるようだ。
 ところが,那覇市街を抜けると160円になった。このあたりの料金設定はよくわからないけど,理由があってそうしているわけだろう。

● どのバス停でも誰かが降りて,誰かが乗ってくる。利用者がいる。
 沖縄には空港から首里までのモノレールを除いて,鉄道がない。その代わりをバスが担っているのだろう。たいていのバス停で停まるから,けっこう時間がかかる。

● もうひとつ,驚いたことがある。途中でバスが交替するんだねぇ。起点から終点まで同じバスが運行するわけじゃないんだ。1日に数便ほど直行するバスもあるようなんだけど。
 バス会社が変わるわけではないようだし,バスが小型になるというわけでもないようなんだが。何のためにこういうことをするのか,理由を考えてみたんだけど,ちょっとわからない。
 ま,それやこれやで,斎場御嶽の最寄りバス停まで1時間20分を要した。

● バス停のそばに土産物屋があり,そこで斎場御嶽の入場券を買うことになっている。300円。
 でもって,そこから歩くわけだけれど,沿道にも地元の人たち(だと思う)が土産品店や(神さま所縁の地にあやかってか)かなり怪しげなグッズを販売している。
 南城市のサイトを見ると,観光客の不作法を戒める記述がけっこうある。立入禁止になっているところに入りこむ手合いもいるようだ。聖地を聖地にしておくために観光客にも協力を要請したい,という。

● 率直に申しあげると,聖地の聖地性を保つために,地元でもやらなければいけないことがあるのではないか。
 聖地を飯のタネにすれば,それだけで聖地は俗化される。聖地に向かうのだからと心構えを作っても,辿りつくまでにかなりタガが緩んでしまうような仕掛けになっている。アプローチがここまで低俗だと,その先にあるものをあるままに保つのは,かなり難しくなるのではないか。
 正直,ここでまず斎場御嶽への期待を削がれてしまった。

● 観光客にもたしかに問題があるかもしれない。観光客の多くが外国人でもある。その外国人の振る舞いを見ていると,高校で習った日本史の教科書にあった写真を思いだした。
 中国で租界を作っていた英国人が立てた看板。「犬と中国人,入るべからず」。その写真が教科書に載っていた。勝手に人の国を植民地にして,そんな看板まで立てるとは傲岸不遜にもほどがあると思ったものだけれども・・・・・・

● 斎場御嶽はパワースポットとしても沖縄随一であるらしい。ぼくはそういうものに感応しないタイプのようだ。特に何も感じなかった。
 だからなのか,“パワースポット”に惹かれて来るヤツなんてロクなもんじゃないと思っているのである。

● かつては男子禁制だった。相方の後ろからひっそりと付いて歩こうと思っていたんだけど,さすがに今は男であっても小さく畏まらなくてもよさそうだ。
 斎場御嶽のシンボルは三庫理(さんぐぅい)だろう。これは一見の価値があると思った。ただし,一見でよい。

● というわけで順路と示された立て札にしがたって,ひととおり見て回って,斎場御嶽を後にした。もっと空いてて静かであったら,また別の印象を持つことができたかもしれない。
 が,一介の観光者がそのような大望を抱いてはいけない。とにかく,斎場御嶽に行ってきたのだ。

● 帰りのバスは行きよりもさらに時間がかかった。特に那覇の市街地に入ってから。そんなに交通量が多いようではないんだけど,なかなか進まない。
 ただし,それが苦痛ではない。そこは観光客のお気楽なところだ。地元の人たちは慣れっこになっているんだろうか。車内にイライラ感が充満するなんてことはなかったんでした。

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