2018年3月12日月曜日

2018.03.12 オールドパー

● ぼくには不似合いなこのウィスキー。どういうわけか家にあったのだ。容赦なくハイボールにして飲んだ。
 といっても,今どきはスーパーで売ってますよね。しかも,3千円で買える。

● 大昔,1万何千円かした頃は,こいつを珍重する人がいたものだ。味じゃなくて値段に幻惑されていたのだろうと,意地悪くも思っている。それが証拠に,今は特別扱いされることはなくなった。
 そういうのって,今でもあるだろう。世に存在するグルメ,食味評論家の人たちの中には,稀少性,価格,すでに確立された評判を食べている人がけっこういるだろう。料理そのものではなくて,稀少性や価格や評判を味わっている。
 分野を問わず,評論家は間違えるのが仕事であるから,それはそれでいいと思う。間違えるのを仕事にしている評論家は,今後は存続が難しくなるかもしれないけれども,今は存在を許されているのだから,堂々と間違えればいいのだ。

● ひと口飲めば,こいつがスコッチであることはわかる。が,スコッチ=旨い,が,そう安々とは成立しがたくなっている。
 スコッチがウィスキーの本流であって,世界のウィスキーはその本流にいかにして近づくかが課題だった時期があった。サントリーにしてもニッカにしても,そのための試行錯誤をたくさん重ねて現在に至っているのだろう。そしてその成果は確実にあったのだろうけれども,スコッチ絶対ではなくなっているようだ。
 多様性の追求というかなぁ。スコットランドで誕生して大きくなったウィスキーという枠は維持される。その枠内で一点に向かっていくのではなく,ソチコチに散らばる方向になってきたような印象。

● ま,ぼくはニッカならクリアブラック,サントリーならトリスを普段は飲んでいるくらいだから,ウィスキーの味にはうるさくない。というより,細かい違いは気にならない。いや,わからない。
 ぼくは食味評論を業しているわけではないから,気楽にわからないと言ってしまえる。違いのわからない男だよ,と。もっというと,そんな違いなどわかったところで仕方あるまいとも思っている。
 だから,評論家が間違うことに対しても寛大である。

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