● というわけで,野口英世が描いた「メリー夫人肖像」の絵はがきをデスクに置いて眺めている。
あれだけの仕事をしながら,こういう絵も描いていたのか。凄いヤツだなぁと感心するね。医者(医学者)としての仕事がイヤで,絵描きに逃げたってわけじゃないんだからね。
● 上昇志向が強くて,妙に図々しいところもあった人だと思うんですよ。放蕩癖があって(父親の遺伝だろうか),策士でもあったようだ。人にたかるのに遠慮しない性格だったようだし,人を利用するのに躊躇しなかったようにも見える。
最後は危険を承知で黄熱病が猖獗を極めている中央アフリカに渡って,いわば殉職したわけだけど,それも「義を見て為ざるは勇なきなり」と考えた結果ではなく,「名誉のためなら危ない橋でも渡る」性格ゆえのように思われる。
● 要するに,人格者というにはほど遠い。しかし,残した仕事は,現在では否定されているものも含めて膨大だ。
質の高い仕事をする人は量をこなすものだという典型的な例ではないか。それを支えたものは不眠不休を厭わない馬力だったのだろうが,その馬力はどこから来ていたのかといえば,人格者には遠い偏った性格にあったのかもしれない。
● 彼の趣味は絵だけではなかったらしい。囲碁や将棋もよくしたようだし,何より「女遊び」には目がなかった。
というようなことを思いながら,彼の油彩画を眺めている。それでここまでの絵を描くんだから,彼は並みの人ではなかったのだ。
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